『本なら売るほど』、2巻も抜群に面白い!
1巻も衝撃的な面白さだったけれど、2巻も勢いが全く衰えていない。若き古書店の店主と客との交流、といういかにも手垢のついた題材をここまで面白くできるのは素直にすごい。
第2巻で特に良かったのは最初に置かれた「鷹の目を持つ男」。新しく常連になった中年男とブック○フでばったり出会い、そのまま飯を食いに行くだけの話なんだけど、これがなんだかすごくいいんですよね。特に気に入っているのが、この手の作品でありがちな大手批判みたいなものがないところ。大手であっても、同業のちょっと領域が違う店という捉え方をしていて、共存、というかあるがままに受け入れてるところが非常に良い。この常連のおじさん(中野さん)のキャラクターも面白くて、渋いオジサマ風なのに集めているのが漫画というのがいいんですよね。こうやって少しずつ十月堂の世界が広がっていくさまも楽しい作品です。
祝アニメ化!『これ描いて死ね』7巻
ついに、というべきかようやくというべきか、アニメ化楽しみですね。
7巻は見どころだらけなんですが、再びのコミティア参加で色々イベントが巻き起こるのがいいですね。初めてのファンが差し入れ持って来るくだりとか、例の独特のコマ割りで4人(3組)の出張持ち込みの様子を同時並行的に描いていくあたりとか超楽しい。特に出張持ち込みのくだりは三者三様というか、天才から努力家まで、編集の対応も適当な感じから崇拝者までバリエーションがあって実に面白い。そして、コミティア編の個人的なMVPは手島先生のかつての担当、金剛寺さん。心の声がめちゃくちゃファンキーで実に楽しい。このあたりのギャップは藤森姉(真)のキャラクターと似ていて面白い。そして、ここで漫研部員ながら全く漫画を描かない赤福の存在が活きてくる。キャラクターとしては立っていたけど、漫研の中での立ち位置、将来何を目指すのかがいまいちわからなかった彼女が将来の目標を見出すエピソードでもある。
そして、やはりこちらもめちゃくちゃ良い「ロストワールド」。今巻では☆野先生の連載についに決定的な瞬間が訪れるのだけど、それが直前に描かれていたコミティア編の手島先生の行動につながっていくあたりがあまりにも良い。漫研の物語同時に、一人の女性の挫折と再生が描かれていく予感がする。
いよいよ、次巻で最終巻。『筺底のエルピス 8 我らの戦い』
第1巻が出たのが2014年なので足掛け10年以上、次巻でいよいよ終幕。長かったような短かったような。この第8巻は最終章の前編にあたるとのことで派手なアクションはほとんどなく、嵐の前の静けさといったところなのだけど、それでもめちゃくちゃ面白い。例によって前巻までの内容を殆ど忘れてしまっていたので、一巻丸ごと「前回までのあらすじ」+αみたいな感じなのだけど、その中でも様々な新要素が明かされ、飽きさせない。真白田さんの正体とか(名前にヒントがあるとは)、ペルラ三姉妹の過去とか、パペッティアの○○が登場するくだりとか…。そういえば最終章はマーシアンシリーズが活躍する感じなのも意外でした。アクション的な見せ場としてはついに敵との戦争が勃発するわけですが、その最初の小競り合いの中で、寄生端末がまさかの使われ方をしたり、人類側もゲートをあまりにも予想外の方法で使ったりする応酬がとても良かったですね。
それにしてもどうやって決着をつけるのか、最終巻があまりにも楽しみです。
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