『戦車椅子-TANK CHAIR-』の過去編はめちゃくちゃ面白いけどアンニュイな気分になってしまう

過去編ってあまり好きじゃないんですけど、この過去編(学園編)はかなり最高!今までもかなりイカれた連中が多かったけど、学園は「世界最強の組織」と言われるだけあって、まさに奇人変人博覧会の様相。しかも凪とか静の回想じゃなくていきなり出てきた新キャラの朧視点というのが面白い。朧が最初に出会う学園A組の生徒・鰐口くんがもうかなり好きなキャラ。あまりいないタイプのキャラだよなあ。終盤はミサイルバンバン乱射して活躍するし、かなり好き。A組、クセ強い外見のやつ(カマキリ系女子とか)多いのにこの巻だとほとんど出てきてないんだよなあ。今後活躍の機会があるのか気になる…。

で、これに加えて最高なのが学園生活を満喫(?)する黒坂兄妹ですよ。というか主に騰子ちゃんですけど。朧と部屋で女子会するところとか部屋着が可愛すぎてやばいですね…。3巻であんなことになるのを見せたあとにこれを出すのは反則でしょ。ランチしてるところも可愛すぎる。いやー、ワンチャン生きててくれないかなー。ほんと好き。

あと文字通り影は薄いけど朧姉妹のあたりもグッときますね。ちょっと『血界戦線』の人狼チーム感ある。

やや失速気味だけど面白い:『終戦後のスカーレット』第2巻

正直1巻ほどのインパクトはないんだけど、それでもかなり面白い。因習村(ではないが)、謎の和装美女、やべー村人たちといったお膳立てはどこかで見たような気がするものの、そこで出てくる謎の軍人・安食少佐のインパクトがすごい。変顔が良い。このあたりも『ゴールデンカムイ』フォロワーという感じがしますね。

それにしても門出は毎回銃で撃たれていて大変だな…(このへんも金カム感)。おもむろにケツで銃弾を受けてるシーンは笑ってしまった。頑丈すぎる。辰見女史は山でもスーツでとてもいいですね。

それにしてもあっさりスカーレットが見つかってしまいそうで話としてはやや小粒なのが残念。コンパクトでまとまりがいいとも言うけど。3巻で完結したら映画一本分でちょうどいいし、映像化したら面白そう。

『スキップとローファー』9巻はモブへの目配せが素晴らしい。

毎回言ってるけど、常に最高のものを出してくるのがすごい。

9巻はやはり冒頭に置かれた山田のエピソードがいい。めちゃくちゃ解像度が高い。いわゆるキョロ充…というカテゴリーが適当なのかはわからないけど、こういう「面白キャラ枠」みたいな子いたよね〜、というところから彼にスポットを当てるというのがすごく好き。このあとで氏家くんのエピソードも描かれてるんだけど、こういった物語の周縁にいるキャラクターの人生をきちんと描いていく姿勢が実に素晴らしい。山田も氏家くんも幸せになってくれ…。

『作画マニアが語るアニメ作画史 2000〜2019』が濃すぎて最高!

タイトルの通り、アニメーターであり作画研究家でもある沓名健一氏がここ2000年から2019年の20年間のアニメーションの作画を語ったイベントの書籍化。聞き手はアニメ様こと小黒祐一郎さんだけれども、聞き手というよりは二人の対談集という感じが強い。アニメスタイルのイベント、行くともちろん100%楽しいのだけど、この歳になると他の用事やら体力的な事情やらでなかなか厳しいものがあるので、こういった書籍化はとても嬉しい。

このタイトルなので、もちろん内容は異常に濃い。とはいうものの、作画というものに興味があるけどどうやって勉強したらいいかわからないような人(例えば自分のような)なら挙げられている作品を順番に追っていくという使い方もできるのがありがたい。

読んでいると、観ていない作品も当然多く「うわ〜これも観てないあれも観てない。観なきゃ!」となるのだけど、一方で「うんうん、そうだよね!」と頷ける場面も多く、作画ファンとして何か通じ合うようなものを感じられたのが良かったです。個人的に納得ポイントが高かったのが『SAMURAI7』(2004年、TV)における森久司さんの仕事のくだりとか、近年の小西賢一さんの仕事ぶり、浅野直之さんのフィルモグラフィーにおける星野源の『地獄でなぜ悪い』のMVの位置付けのあたりですね。特に『地獄でなぜ悪い』は重要な仕事だけど知名度低いよなあ…と思っていたので言及してくれたのが嬉しい(ちなみに今ではカラオケじゃないと全編観れないと書かれていますが、実は星野源のMV集に入っていたりします)。

個人的にWeb系の系譜についてあまり詳しくなかったので、そのあたりの詳細が当事者である沓名さんによって語られているのも勉強になりました。イベントの方も行きたいなあ…。