『The JOJOLands』第1巻は先行き不明の魅力。

タイトルの「ジョジョランズ」、ディズニーランド的なものをイメージしてたんだけど、ハワイの島々の「ランズ」だったのね。

これまでのシリーズと同じように、出だしからはどっちに転ぶか全くわからないのがいい。主人公の兄弟が魅力的。「大富豪になる」という漠然とした若者らしい夢を持つ主人公のジョディオ。彼の兄にしてトランスジェンダーのドラゴナ。トランスジェンダーが主人公の一人として当たり前に出てくるのが2020年代といった感じだ。特に信念を持たないように見える二人がどのように成長していくかが楽しみ。

ジョジョといえばスタンドだけれども、第1巻の時点ではこちらも得体がしれない。ジョディオの「ノーヴェンバー・レイン」は「スパイスガール」的な能力なの?ドラゴナの「スムース・オペレーターズ」はなんとなく「ずらす」系の能力だということはわかるのだけど…。パコの「THEハッスル」に至ってはビックリ人間博覧会だし。

そして最初の事件でまさかのゲストキャラクターが!これは本当に驚いた。まあ「日本人の富豪」のあたりでまさかあの人じゃないよなあ、とは思ってはいたのだけど。

とりあえず第1巻を買えたので今回はリアタイで読んでいこうと思います。

無限に読みたい。『ハガネとワカバ』完結第2巻

え!これ2巻で終わりなの???無限に甘々エピソード見ていたかった…。まあでも2巻くらいでサッと読めるほうがいいのかもね。

2巻は出張に行く話とワカバさんの実家にいく話が良かったですね。今思うとタケシさんのサイボーグ感ってあまりないんだけど、表情が見えないだけでここまで面白い関係性を作れることに驚き。お互いの臭いで一週間別居生活を過ごすくだりとかすごく好き。結婚したてというわけでもないのにここまでイチャラブ感を醸し出せるのはすごすぎ。

面白かったけど、やっぱり二人の話をもっと読みたかったというのが本音ですね。評価も高かったみたいだから打ち切りじゃないんだろうけど、どうして連載終わっちゃのかは気になるところ。

名台詞の洪水すぎてヤバい。『ゴクシンカ』完結第2巻。

これもめちゃくちゃ面白いのに2巻で終わりか〜…と思っていたのですが、とんでもなくきれいにまとまっているんですよね。最近、2、3巻で完結している作品に名作が多いイメージがあります。岩国ひろひと先生の『草野と希』とか。

暗木との対決をかろうじて制した手塚が若頭代行となるのが前半の展開ですが、ここからしてもうめちゃくちゃ面白い。松茸窃盗、オンラインカジノ、女衒といったシノギを展開する光線組の組員たち。彼らの適当すぎるシノギを見るに見かねて1on1を決行する手塚。ヤクザと1on1というこのギャップの面白さ!この辺のセンスがやはり天才的。普通は「弱者を食い物にするシノギはよくない」みたいな方向に行くと思うんですが、普通に邪悪なアドバイスしてて最高。「松茸の窃盗は逃げられないように多重債務者を使おう!」みたいな。で、このあとまたトラウマになる出来事を経て「やっぱりシノギは良くないな…」みたいな方向になるんですが、そこで発動するスカー能力が「合法的ヤクザのススメ(サステナブル・シノギ・スタイル)」というのも最高すぎる。組のやべーやつ・魔井との対決で発動するコンボスカー能力「極道維新(みんなヤクザで、みんないい。)」も最高。このあたりの言語センスも常にフルスロットルでこれ読んでるだけでかなり楽しいのです。

そして最終決戦の「三色双極会」(ネット中継あり)がめちゃくちゃ熱い!ディベート対決なんですが、スカー能力というトラウマから生まれた能力であり呪いでもあるもの、つまりこれまでの自分の人生を肯定していくという流れが実に上手く、名台詞がバンバン出てくるということもあって正直かなり感動してしまいました。というかオールタイムベストに入れます。ラストカットも実に気が利いてます。2巻なのでサッと読めるしかなりおすすめです。と、言いつつ万人向けではないかも。

『マイエレメント』は予想外の面白さ。

https://www.youtube.com/watch?v=TvgZzt01Zt4&pp=ygUV44Oe44Kk44Ko44Os44Oh44Oz44OI

はいはい、よくあるタイプのあれね。と思ってたのでスルーするつもりだったんですが、タイムラインの評判が異常に良かったので観に行ったんですが、これがとてもいい作品で。よくあるパターンですね。

確かにオチは予想範囲内だったんですが、そこに至るまでのプロセスであるとか演出が実に素晴らしいんですよね。予告を見た限りでは『ズートピア』的な「差別と共生」をベースにしたラブストーリーだと思っていたんですが、より現実世界に寄せた移民の問題、「ロミオとジュリエット」の類型をベースにしたラブストーリー、父と子の関係、女性の自立といった現代的かつ普遍的な様々なテーマがパッチワークのように緻密に組み立てられているのがかなり予想外。特に主人公エンバーの属する火のエレメントがあからさまに中東や中国といったオリエンタルな国々からの移民の象徴として描かれていて、他のエレメント(特に水や土)と触れ合うことができないということがビジュアルとして表現されているのが実に上手い(と同時に描き方としては危ういなあとも思うわけですが)。それだけに、本来絶対に触れ合えないはずの火と水であるエンバーとウェイドが指を絡ませる場面は実に感動的(と同時に非常にエロティックでもある)。

他にも設定や演出が上手いなあと思うシーンが山盛りで、たとえば「Too Hot」が火のエレメントたちに対する差別語として機能しているあたりであるとか、風のエレメントたちのスポーツ「ガスケットボール」、そしてガスケットボールの会場やエレメントシティ(のシティの方)に火のエレメントがほとんどいないとか。あるいはウェイドの家族たちとエンバーとの会話の解像度の高さ。セレブ、悪気なくああいうこと言いそうよね〜。特に良かったのがカップルが各々お香に火を灯す相性占いで、火を灯せないウェイドが取った機転。はからずも「最初の共同作業」になっているし、このアイデアはすごい。

絵柄こそ子供向けですが、現代を生きる大人たちにとっても切実なテーマが盛り込まれていて、かなり万人におすすめできる作品です。