映画レビュー

【映画レビュー】『アタック・オブ・ザ・キラー・ドーナツ』

投稿日:2016年7月18日 更新日:


 ところで、人喰いドーナツがパトカーを無免許運転する[note]明白に無免許だという描写はないが、おそらく無免許だと思う。少なくとも免許不携帯であることは確かだ。[/note]映画をご存知だろうか?おそらく世界で唯一のそんな映画。それがこの『アタック・オブ・ザ・キラー・ドーナツ』である。

 タイトルから分かるように、この映画はジョン・デ・ベロ監督による傑作トマト・アクション映画『アタック・オブ・ザ・キラートマト』に想を得た作品だ。1978年の「キラートマト」と決定的に違うのは、ちゃんとドーナツが動き回り、飛び跳ね、感情豊かに人々を襲うという点。40年近い歳月、科学の進歩がついにドーナツを(CGで)自在に動かすことができるようになったという感慨と、40年経ってもやってることが変わらないという一抹の虚しさのようなものが頭をよぎるが、それはそれとしてトマトよりドーナツの方が弾力があるから飛び跳ねやすいよなあ、という気もする。

 監督は傑作サメ映画『アイス・ジョーズ』[note]雪山とサメを組み合わせた画期的なやつ。安心のアルバトロス。結構ちゃんと面白いですよ(個人の感想です)。[/note](2014年)を手掛けたスコット・ホイーラー。ストーリーはB級映画定番の展開で、主人公ジョニー(ジャスティン・レイ)とヒロインのミシェル(カイラ・コンプトン)が働くロサンゼルスのドーナツ店(この店のチープな感じがもう最高!あとくさそう)にジョニーの叔父であるキチガイ科学者がやってきて「生物を凶暴にしてしまう薬」をうっかりフライヤーの中に入れてしまう。こうして、キラードーナツが登場するわけだが、ドーナツそのものよりも脇役たちの強烈なキャラクターのほうが印象深い。一日中ドーナツ屋にいすわるおっさんとかテイクアウトしたドーナツを全裸(誇張)で食べるおばちゃんとか。あと全く空気読めないジョニーの友達ハワード(ベン・ヘイマン)。こいつ何のためにいるのか前半だと全くわからないと思うけど、後半大活躍するのでお楽しみに。このあたり、本家「キラートマト」へのオマージュととれなくもない(向こうのほうが100倍くらいイカれてるけど)。ジョニー、ミシェル、ハワードの漫才的なやり取りがテンポよくて楽しい。そして極めつけはやっぱり「パトカーを運転するドーナツたち」!まさかのカーチェイス!スピード遅いけど!

 『アタック・オブ・ザ・キラートマト』ほどの突き抜けた感じはないものの[note]というより「キラートマト」がキチガイを煮詰めて蒸留したような内容なのが問題。対トマトロボットとかクソの役にも立たないエージェント軍団とか。[/note]、冒頭に掲げた「パトカーを乗っ取って暴走するドーナツ」のようなキチガイじみた描写にはオリジナリティを感じるし、トマトと違ってフレーバーが様々に変えられるドーナツには無限の可能性がある(気がする)。続編が3作[note]『リターン・オブ・ザ・キラートマト』『キラートマト 決戦は金曜日』『キラートマト 赤いトマトソースの伝説』の3作品。イカれてやがるぜ![/note]も作られた(どうかしてるよ…)「キラートマト」のようにこれからの活躍に期待したい。

基本情報

アタック・オブ・ザ・キラー・ドーナツ  Attack of the Killer Donuts85 min

監督:スコット・ホイーラー

音楽:ジョエル・ソメイラン

撮影:ハワード・ウェクスラー

出演:カイラ・コンプトン/クリスティーン・ヌエン/ジャスティン・レイ/アリソン・イングランド/C・トーマス・ハウエル/マイケル・スワン/ベン・ヘイマン

関連商品

関連コンテンツとスポンサードリンク

-映画レビュー

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

師弟共闘バトルが熱苦しい!『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE 2人の英雄』【ネタバレなしレビュー&考察】

原作ファンなんで義務的に観に行ったら大当たり!単なるファンムービーに留まらない面白さ。シリーズに通底するテーマがしっかりと語られていて、さらにBONESらしい高密度アクション作画炸裂!原作読んでなくてもなんとなく楽しめる(はず)。おすすめです!

【映画レビュー】『スパイダーマン:ホームカミング』:イキリスパイディVS中小企業のおっさん【あまりネタバレなし】

ジョン・ワッツ監督、トム・ホランド主演の『スパイダーマン:ホームカミング』の(基本的には)ネタバレなしレビューです(最後の最後に結末についてのネタバレがあります!)。今回は最初からベンおじさんが死んでるから話が早いぞ!あと敵の空飛んでるやつがそこらの町工場のおっさんなのでとても良い。

【映画レビュー】『イレブン・ミニッツ』:大人のピタゴラスイッチ!

イエジー・スコリモフスキ監督の最新作『イレブン・ミニッツ』のネタバレなしレビューです。とある街の一角に起きた11分間の群像劇。めぐり合わせって素敵ですね、というおはなし。

【映画レビュー】『ゾンビスクール!』:「ナゲットを ゲットだぜ!」

イライジャ・ウッド製作・主演のゾンビコメディ映画『ゾンビスクール!』のレビューです。全編爆笑!ブラックジョーク割と多め!チャイルドゾンビを皆殺しだ!

【映画レビュー&レポート】東京アニメアワードフェスティバル2018「短編コンペティションスロット②」(+選考委員解説覚書):『Negative Space』が眼福すぎてつらい…。【TAAF2018】

東京アニメアワードフェスティバル2018、「短編コンペティション部門スロット②」で上映された作品の簡単なレビューと選考委員解説の覚書です。短編部門グランプリの『ネガティブ・スペース(Negative Space)』(マックス・ポーター/ルー・クワハラ監督)がもう素晴らしすぎて…。選考委員解説は加藤タカさん、白石慶子さん、叶精二さん(モデレーター)。

search