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『僕はイエス様が嫌い』、難しい作品だけど観て欲しい。【2019年6月に観た映画感想レビューまとめ/全5本】

投稿日:2019年6月30日 更新日:


はじめに

 今月も視聴本数過去最低!忙しくて映画館に行けない…。『僕はイエス様が嫌い』、評判通りの素晴らしい作品。難しいけど…。

今月のおすすめ!


1

僕はイエス様が嫌い  78 min

予告編(ポップアップします)
監督:奥山大史

脚本:奥山大史
撮影:奥山大史

出演:佐藤結良/大熊理樹/チャド・マレーン/佐伯日菜子/木引優子/ただのあっ子/二瓶鮫一/秋山建一/大迫一平/北山雅康

 まず素晴らしいのが主演の二人の男の子の演技力。いやー、俺が知らないだけだと思うけど、日本でもこんなに自然な演技をする子役がいたんだ!という衝撃!いやまじで自分が知らんだけで他にも普通にいるのか…?日本の子役と言えば棒読みが主流だったはずだが…。予告編でも印象的な、雪の中を二人で戯れる場面、人生ゲームに興じるいかにも小学生っぽいやりとりなどが心に残る。特に主人公・由来役の佐藤結良の演技は必見。主人公なので見せ場が多いのもあるけれど、へそくり1,000円もらう場面の「なんだ、これっぽっちか」と言ったセリフの朴訥さには唸らされる。このあたりは監督の演出、ディレクションも上手いんだろう。

 慣れない雪国での少年たちのふれあい、といった印象で臨むと、かなり毛色の違う、というよりも、あまりにもハードな展開と、繊細で難しいテーマに驚かされる。いやいや、こんなところまで踏み込んで良いのか、と驚愕すること必至である。「お祈り、意味なかったですね」という由来の言葉の重み。何のために我々は「信仰」するのか。「小さいイエス」がもたらす現世利益的なある意味で安っぽい奇跡と、由来が本当に求めていた奇跡との乖離。非常に難しいテーマに果敢に挑んでいる姿はそれだけで価値のある物語を生み出している。一方で、物語の転機となる、あの衝撃的な場面は若干安っぽく感じてしまったのだけれども、しかしそれまでの日常的なパートとの乖離がうまい具合に非日常的なところにすっ飛んでいくのはむしろ計算された演出なのか、とも感じた。カメラ、演出、音楽、とどれも素晴らしい。

 それにしても感心するのはこのセンシティブでいかにもミニシアター向けの作品を上映しようと決意したTOHOシネマズである。しかも旗艦館である日比谷でやってくれるという英断。『カメラを止めるな!』からこっち、インディーズ邦画の波が来ていると感じる…。とにかく、今年の邦画で必見の作品であることは間違いないし、例えば最後の障子の場面など、解釈に時間と思索を必要とする場面が多いので、また観てみたいと思う作品である。

観た映画一覧(時系列順)

2

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ  Godzilla: King of the Monsters132 min

予告編(ポップアップします)
監督:マイケル・ドハティ
音楽:ベアー・マクレアリー
脚本:マイケル・ドハティ/ザック・シールズ
撮影:ローレンス・シャー

出演:カイル・チャンドラー/ベラ・ファーミガ/ミリー・ボビー・ブラウン/ブラッドリー・ウィットフォード/サリー・ホーキンス/チャールズ・ダンス/トーマス・ミドルディッチ/アイシャ・ハインズ/オシェア・ジャクソン・Jr./デビッド・ストラザーン/渡辺謙/チャン・ツィイー

 面白いかつまらないかという二択で答えるなら、かなり迷いつつも「すごく面白い」と答えざるを得ない。怪獣たちの造形、特に本作における裏番とも言えるギドラのいかにも悪役らしい、そして悪魔的な表情とうねる三つ首の動き、モスラの羽化の瞬間の荘厳な美しさと新解釈された腹部のギミックの意外性(しかしアレも悪役っぽいよな…スターシップ・トゥルーパーズ的というか)…。怪獣たちに蹂躙される都市の崩壊する様もこれまでの東宝特撮では観られなかった凄まじいディザスターっぷり。アクションシーンだけに目を向けていれば、圧倒的なスケールで展開される「怪獣プロレス」として大満足の出来だ。

 しかし…しかし、その映像的な満足感に水を差すかのように、脚本が本当にひどい!昔のゴジラ映画でもツッコミどころはたくさんあったけども、この映画は最初から最後までツッコミどころしかない。開幕早々で一般のご家庭のリビングに機密情報の塊があるシーンでも「んん??」ってなっちゃったけど、タイミングの悪いテロリスト乱入(盛り上がるけど)、モナークのガバガバな警備体制(つい先日襲われたばかりなのに…)、リスペクトなんだろうけどなんとなく投入されるあの秘密兵器(やっぱり『ゴジラ』(1954年)は偉大だった…)、監禁されてるかと思いきや普通に外に出れる秘密基地(なんだったんだあれ…)…。そもそも登場人物が狂人しかいない。唯一まともなのが最年少のマディソン(ミリー・ボビー・ブラウン)、次点が環境テロリストのおじさんという…。警備ガバガバのモナークとか環境テロリスト軍団、ゴジラキチガイの芹沢博士(渡辺謙)もやばいんだけど、ダントツで狂ってたのが裏主人公とも言える「エクストリーム自然派ママ」(これだけ書くだけでネタバレになってしまう…)。いや、まじでわからないんだけど、あの喪失がなんでああいう方向に向かってしまうのか…。まあこれくらい狂ってるやつがいたほうが盛り上がっていいかもしれないけど、本当に何がやりたかったんだろう…。残された人のケアをちゃんとしないとああなるということですかね…。音で操るあたり、ナウシカ感もある。狂ってるが。ああそういえば、どうしても劇場で吹いてしまったシーンはあれですね、「古代ギリシャより古い謎の海底遺跡のゴジラの絵に添えられた”ゴジラ”」。なめとんのか。夢に出そうだわ。

 バカ映画として観るなら100点満点!だけど、金かけるならシナリオもちゃんとして欲しいよね。むしろあんなガバガバな人間ドラマなら無いほうが怪獣プロレスに集中できて良かったんじゃないかな。ギドラをキリスト教的な文脈で堕天使(魔王)ルシファーと捉え、一方でゴジラを始めとする地球古来の怪獣たちを日本的な八百万の自然神と捉える解釈はわかりやすいし面白くもあるのだが、1954の『ゴジラ』が「核の恐怖の象徴」として描かれていたことや、『シン・ゴジラ』でのゴジラが明らかに原発事故のメタファーとされていたことと比較すると、やはりアメリカ人にはヒロシマ・ナガサキ(そして第五福竜丸)の悲劇は伝わらないのではないか、という思いをひしひしと感じる。あの人に核兵器運ばせてゴジラを覚醒させる場面なんて、当人がゴジラに入れ込んでいることを考慮しても脳天気すぎるのではないか。まあそういうアンビバレントな感情を持つのが人間とは言え…。エンディングの「ゴジラが通ったあとに生命が蘇りました」なんてテロップ見ると、「(『もののけ姫』の)シシガミ様かよ!」って思わず突っ込んでしまったし(シシガミが生命と死を司る神であったことを考えると直接的なモデルは本当にこれなんじゃ……)、「放射能とは…???」という気持ちにもなりましたね…。まあ、そういう点ももやもやしたポイント。怪獣バトルは本当に迫力あって素晴らしい(ただし飽きる)んだけども。あとゴマすりクソバードが本当にゴマすりクソバードだったのが良かったです。

3

海獣の子供  111 min

予告編(ポップアップします)
監督:渡辺歩
音楽:久石譲



出演:芦田愛菜/石橋陽彩/浦上晟周/森崎ウィン/稲垣吾郎/蒼井優/渡辺徹/田中泯/富司純子/誠子/渚/大谷満理奈/門脇実優菜

 「面白い」というよりは「すごい!」という感想がまっさきに出てきてしまうあたり、実に4℃らしい作品(褒めてる)。少なくとも日本のアニメ史に残る作品であることは間違いないだろう。興行は微妙そうだけど、じわじわと再評価されていくタイプだと思う。

 まず特筆すべきはビジュアルの豊かさだ。後半の、海中を行き交う魚や鯨たちの饗宴ももちろん素晴らしいのだが、個人的に素晴らしいと感じたのはむしろ海に出るまでの、前半部分の日常風景だ。琉花の登場するファーストカットのアングルといい、先生に説教受けてる場面の扇風機の所作、嵐の中を走る琉花、カミキリムシを威嚇する場面、ソフトクリームを舐める海、海の手に引かれて水中に進んでいく琉花…。数え切れないほどの印象的な場面が訪れる。特に良かったのは木村真二さんの背景美術で、ワンカットしか映らないソフトクリーム屋の設えの質感などはとても印象的。『鉄コン筋クリート』を思い出す。もちろん、後半の海での「まつり」の場面も凄まじく、逆にすごすぎて何が起こっているかわからないので印象に残りづらいというのもまた本当だったりする。

 一方で、脚本に関しては若干弱さを感じたのも事実だ。とりわけ、肝心の「まつり」の部分が初見では上手く理解できず、ビジュアルはすごいのに何が起きているのか全くよくわからないという事態に…。もっとも、あの場面は「何が何だかわからない」というのは多分重要な要素で、「わからないからいいッ!」とでも言えば良いのか、少なくともなにやら宇宙的スケールの壮大な出来事があの場で起こっているというのは十分に伝わってきたし、それを伝えるだけの映像表現が伴っていたということがある種の奇跡であるとも言える。万人がすぐに理解できるようならそれはその程度の出来事だということだ。むしろ気になったのは、壮大なストーリーを琉花の日常へと引き寄せようとする部分、具体的には後半になって急に家族愛に目覚める父と母の場面で、あそこから漂ってくる強烈な違和感が拭えない。

 とは言うものの、全体としてみれば素晴らしく完成度の高い作品であることは確かだし、Blu-rayも購入確定の出来である。っていうか後半の「まつり」の部分がちょこっと退屈で寝てしまったというのもある。人は選ぶかもしれないが、少なくともアニメファンは必見。

4

メン・イン・ブラック:インターナショナル  Men in Black International115 min

予告編(ポップアップします)
監督:F・ゲイリー・グレイ
音楽:ダニー・エルフマン/クリス・ベーコン
脚本:アート・マーカム/マット・ホロウェイ
撮影:スチュアート・ドライバーグ

出演:クリス・ヘムズワース/テッサ・トンプソン/リーアム・ニーソン/エマ・トンプソン/レベッカ・ファーガソン

 全く予備知識無しで観たので、今回もウィル・スミス×トミー・リー・ジョーンズだと思ってたら全く出てこないので笑ったw なるほどスピンオフかー。主人公・エージェントM役のテッサ・トンプソンのMIBパンツスーツ姿がどちゃくそ可愛いのでそれだけで元取った感じはある。ただ、白人男子(クリス・ヘムズワース)と黒人女子のバディものという「はい、ポリコレに配慮しましたよ〜」という布陣がなんか嫌だなあ。わざとらしくて。黒人男子×黒人女子じゃだめなのかい?あ、『エンドゲーム』観たばかりだったので、「クリヘムのお腹がへっこんでる!!」って思ってしまった。マヌケなイキリ系男子で好印象。

 ストーリーはスピンオフってことで「組織自体がもしかして」という『相棒』あたりがよくやってるパターンのやつですが、そこで出てくるのがシリーズの象徴とも言えるあのガジェットってところにしびれますね。上手い。「銃一丁と知恵だけを武器にして…」は「膝に矢を受けてしまってな…」を思い出す絶妙なセリフで印象に残る。正直、黒幕の正体もすぐに検討がつくし、そこまで盛り上がるものでもないんだけど、その過程でクリヘムの元カノ(手が3本の美女宇宙マフィア)が出てきたり、その部下の毛むくじゃらのヤクザみたいなおっさんが実はオープニングのあの生き物だったりして危機を脱したりといったあたりは盛り上がる。善行は積んでおこうね!というお話(しかしMがあいつを逃したおかげで地球人が結構な数殺されているわけだが、さて…)。

 そうそう、シリーズ通じて素晴らしいエイリアンの造形も見もの。今回はゲーム盤みたいな社会を構成しているミニミニ種族が登場してとってもかわいい。しかし、ポーニィが最後にあんな活躍をするとはなあ。バイク修理する場面での慇懃無礼な態度も楽しいし、いいサブキャラクターだ。次回作があるならまたぜひ出て欲しいな。

5

ガールズ&パンツァー最終章 第2話  54 min

予告編(ポップアップします)
監督:水島努
音楽:浜口史郎
脚本:吉田玲子
撮影:関谷能弘/棚田耕平

出演:渕上舞/茅野愛衣/尾崎真実/中上育実/井口裕香/福圓美里/高橋美佳子/植田佳奈/菊地美香/吉岡麻耶/桐村まり/中村桜/仙台エリ/森谷里美/井上優佳/大橋歩夕/竹内仁美/中里望/小松未可子/多田このみ/山岡ゆり/秋奈/井澤詩織/山本希望/石原舞/金元寿子/喜多村英梨/葉山いくみ/倉田雅世/上坂すみれ/佐倉綾音/高森奈津美/大地葉/米澤円/七瀬亜深/椎名へきる/喜多村英梨/明坂聡美/石原舞/高森奈津美/倉田雅世/川澄綾子/伊瀬茉莉也/平野綾/吉岡麻耶/早見沙織/大地葉/ジェーニャ/小笠原早紀/佐藤奏美/田中理恵/生天目仁美/仙台エリ/瀬戸麻沙美/米澤円/大空直美/七瀬亜深/能登麻美子/下地紫野/石上美帆/竹達彩奈/藤村歩/飯田友子/中原麻衣/原由実/津田美波/安済知佳/倉田雅世/愛河里花子/冬馬由美/川原慶久

 毎度毎度、この短い尺にめちゃくちゃ詰め込んでくるなー。試合1回分(対BC学園後半+対知波単学園前半)+河嶋先輩の実家の様子+復活したボコミュージアムでのみほと愛里寿のデート+インターミッションで買い食いする大洗の面々+一回戦での他高校の奮戦のダイジェスト…。54分だぜこれ…。特に、今回の物語の発端とも言える河嶋先輩の実家の様子は短い尺ながらとても印象深い。「わしぶんぐ」が「かわしまぶんぐ」だと気づいたときの衝撃といい、実は大家族だったと判明したときの驚きといい…。あの場面の子どもたちがわちゃわちゃ動くシーン、好きだなー(『AKIRA』っぽくて)。一回戦で他の高校がどんな戦いを繰り広げていたのかをものすごいスピードで観せてくれるダイジェストも良い。各校の戦法が現れているのはもちろんのこと、ノリの良いメドレー調のテーマが盛り上がる!とりわけ、カルロ・ベローチェの軽さを活かしたアンツィオの戦いぶりは宮崎駿的な楽しさがあり(ルパン的なと言ってもいいかもしれない)、「アンツィオ戦」を思い出した。いくらCVが軽いといっても上から降ってきてまとわりつくような挙動はマンガならではの表現で実に楽しい。

 さて、肝心の戦車戦、前半は前回からの続きで対BC戦。相変わらず反目する押田/安藤とのんびりお茶するマリー様の対比が楽しい。同士討ちしていると聞いて珍しく慌てるマリー様とルノーに飛び乗るワンカットの場面、そして押田と安藤の間に飛び込むマリー様のぬるっとした動きは必見。その後のマリー様一人称視点の立ち回りも臨場感があって良いですね。

 後半はまさかの対知波単学園なんですが、ここもすごい。「どうせ突撃だろ…」という視聴者の予想を鮮やかに裏切る手際の良さ。「足踏み突撃」とか「ごきげんよう突撃」とか、よくこんなアイデア出してくるなー。知波単が(福田以外)バカしかいないという点を逆手に取った天才の発想だわ…。ジャングル戦というのもいかにも日本軍らしいし、これまでになかったシチュエーションで盛り上がる。あのごちゃごちゃ感は手間かかってそうだなー。そして土壇場での西隊長のあの発言、知波単ですら成長しているという意味で感動的であり、物語の終わりの兆しを感じさせる少し寂しさを感じさせる印象的なセリフ。結構ピンチな状況だけど、あそこからどういう戦いを見せてくれるのか楽しみすぎですね。また1年後だとは思うけど笑

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