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『名探偵ピカチュウ』のもふもふ感が尊すぎて死亡。【2019年5月に観た映画感想レビューまとめ/全5本】

投稿日:2019年5月31日 更新日:


はじめに

 今月も全然観れませんでしたね…。やっぱり春はアウトドアなので…。全く外にも出てないが…。まあ6月はガルパンもあるし4℃の新作(『海獣の子供』)もあるし、ゴジラもあるし、今月よりは映画館に行くことになると思います!

 今月のイチオシはもちろんピカチュウ。これだけ観とけばオッケーっしょ。

今月のおすすめ!


1

名探偵ピカチュウ  Pokemon Detective Pikachu97 min


監督:ロブ・レターマン
音楽:ヘンリー・ジャックマン
脚本:ダン・ヘルナンデス/ベンジー・サミット
撮影:ジョン・マシソン

出演:ジャスティス・スミス/キャスリン・ニュートン/渡辺謙/ビル・ナイ/リタ・オラ/スキ・ウォーターハウス/ライアン・レイノルズ

 予告編見た時誰もが思った、「ハハハ、ナイスジョーク」という印象を真っ向から覆すポケモン愛に満ちた大傑作でした…!

 まず素晴らしいのが、「ポケモンが実在する世界」のリアリティ。ポケモンたちはもちろんCGなんだけど、実写の世界にマッチする具合が絶妙なんですよね。序盤に出てくるペロリンガとかはかなり実写よりというか、ある意味ホラー映画的なテクスチャなんだけども、物語の中心的な舞台となるライムシティはポケモンが町並みに溶け込んでいて、そのあまりの自然さに驚くこと請け合い。これまでのアニメとかでもポケモンが日常に存在している光景は描かれていたわけだけど、この映画ではトレーナーという概念が薄いため、人間のパートナーとして普通に街中を闊歩している姿が新鮮。まああれだけうじゃうじゃポケモンがいると絶対野良ポケモンとか社会問題化してるよな、とも思うのだけど(笑)

 そして、主役であるピカチュウのありえんかわいさ!!これだけでも観る価値はあるし、なんならずっと画面にピカチュウ映ってるだけでも十分満足!程よくふさふさもふもふの毛並みがこれでもかとちょこまか動き回るのがもう最高!!程よい大きさの毛玉が主人公・ティム(ジャスティス・スミス)の肩に乗ったりするの(ちょっと重そうなのがまた良い)。水に濡れて毛がしっとりとした感じも最高!「しわピカ」という単語の語源ともなった常に眉間にシワを寄せている表情は今世紀のGOOOD DESIGN賞を進呈したい。コダック(こっちもかわいー!)と並んで座ってる車中での白目多めの顔も良き。そしてかわゅーい外見とおっさんな中身のギャップにまた萌える。前評判が悪かった吹替版で観たんですが、えー、西島秀俊さんのピカチュウ、普通にめちゃくちゃ良くないですか?つーか、このネズミめっちゃしゃべるな…。闘技場での「乳首が気になって話聞いてなかった」からの「オレにかかれば今度も楽勝だぜ!」→「ピカピヵ~…」(ここだけ大谷育江!)のコンボとかもう…。「ピカチュウがおっさんの声でしゃべる」という突拍子もないアイデア、ナイスすぎるでしょ…。あとコーヒー飲みまくっててめちゃくちゃ親近感湧いた。最高!

 脚本は後半若干気になるところもあったりするんだけど(ミュウツーが便利すぎて、いわゆる「スーパーハカー問題」になっちゃってるのはちょっと残念)、ティム⇔ハリー、ハワード⇔ロジャーという二組の親子の関係性が物語の大きな軸として機能していて、さらに状況が二転三転する本格的なミステリが加わる大盤振る舞い。ビル・ナイも何故かノリノリだし…。劇場にはちびっ子も観に来ていて、それなりに複雑な話なので理解できるのか不安ではあったんだけど、前述したようにピカチュウの可愛さとポケモンの実在する世界のリアリティがビジュアルとして楽しすぎるので、多分彼らも楽しめたに違いない(と思おう)。ポケモンファンからピカチュウしか知らない人まで割と誰にでもおすすめできる作品なのだけど、ポケファンにはさらにエンドロールが感涙もの!必見です。

観た映画一覧(時系列順)

トンコハウス映画祭 プログラムD「今世界が注目するアニメ作家たち」

 第一回トンコハウス映画祭にて。TAAFといいGEISAI ANIMATIONといい、短編アニメーションが観れる機会が増えてきて嬉しいですね。Netflixでドワーフさんが作ってる『カオルさんとリラックマ』も評判いいし、短編アニメーションの評価が高くなってきている気がしますね。

 プログラムDは現在進行2系の世界の作家特集。日本初上陸の作品もあってありがたい。特に良かったのはトップバッターのオンソン・リー監督『マイ・ムーン』、日本初公開のオクスフォード映画祭ベストアニメーション賞受賞作品。擬人化された地球と月、太陽の動きが楽しい。モーショングラフィックスのビジュアルもスタイリッシュだし、短い中にラブストーリーの要素が詰まった作品。もう一本はチョン・タヒ監督の『椅子の上の男』。始まって早々の歩くテーブルにも、オッという新鮮な驚きがあったけども、入れ子状になったエッシャー的な展開と映像が楽しい。まさにアニメーション的な自由という感じがする。「この世界は全て想像なのではないか」というテーマは多いけど、ここまでミニマルでシンプルな表現方法はあまりない。描線の柔らかさも楽しい作品。

トンコハウス映画祭 プログラムE「トンコハウス作品集」

 トンコハウス、実は全然観たことなかったので、ようやく『ダム・キーパー』観れました。とてもシンプルな話なのに引き込まれるのはやはりビジュアルと演出の豊かさでしょうか。中盤のバス停の場面の衝撃とか、すごかったな…。最初はてっきり普通のダムのように「水」から街を守っているのかと思ってたんですが、なるほど、そういう仕掛けかあ。水だったらあんな場所に街作らないよね。闇というものが実は街(人間)のすぐそばにあって、逃れられないものだというメタファーが上手い。ダムの決壊とピッグの心情のシンクロもよく考えられていて、地味ながら素晴らしい作品。

 『ムーム』も良かった。ポストアポカリプス的な世界観で、「モノ」に取り付いた「思い出」を開放するムームたち。3DCGらしいリアルな描写で失われゆく世界の美しさを描いた作品。最後に小さく手を振る場面など、ムームの赤ちゃん的な可愛らしが凄まじいが、自然光っぽいライティングも美しく印象的。このあたりはドワーフっぽさもさるよね。

 『ONI』のテスト映像とメイキングも良かった。ストップモーションのドワーフと共同制作らしいのだけど、メイキングでのトンコハウスとドワーフのリスペクトっぷりが微笑ましくてそれだけで観る価値あり。なりどんのあのフォルム、安定感合って好きだなあ。本編に期待大です。この映画祭も是非また開催して欲しい!第一回って銘打ってるってことはまたやってくれるよね?

4

プロメア  111 min


監督:今石洋之
音楽:えびなやすのり
脚本:中島かずき
撮影:池田新助

出演:松山ケンイチ/早乙女太一/堺雅人/ケンドーコバヤシ/古田新太/佐倉綾音/吉野裕行/稲田徹/新谷真弓/小山力也/小清水亜美/楠大典/檜山修之/小西克幸/柚木涼香

 今石監督作品はほぼだいたい観てるけど、今までで一番暑苦しい!今石さんって最新作が最高傑作という稀有な作家だよなー。プラスプラスプラスの発想で作家性を先鋭化させつつも、中島さんのシンプルでわかりやすい脚本とわかりやすいキャラクターで引っ張っていくので一般の方にも優しい感じになっております。なにしろ、ポスターと配役を見るだけで誰が黒幕かわかってしまうという…。しかし、それがわかってしまっても全く面白さが削がれないのがすごいところだ。

 とはいえ、わかりやすいとは言ってもそこは今石×中島なので、開始5分で超絶アクションの戦闘シーンが始まるわ、何の説明もなく(いやあるんだけど、わかりづらい)いきなり巨大化したり変形したりするわで、まあ初見の人は置いてきぼりだろうな、という気はする。『ニンジャ・バットマン』の時も思ったけど、やっぱりこの狂ったようなテンポは癖になるわ…。めちゃくちゃ評判悪いのもわかるけど…。

 これまでの伝統的な日本のセルアニメっぽいテイストと、輪郭線のない背景美術・モブのアートアニメっぽい雰囲気も新しいし、中心的なモティーフである炎の幾何学的な形態の面白さ。そして何より色彩と動きの暴力とも言えるアクションシーンの設計が見事。バーニッシュが氷で凍らされる場面のちょっとしたコミカルさは「パンスト」や『キルラキル』を思わせるし、ロボアクションの変形・分解・巨大化からは『天元突破グレンラガン』の遺伝子が感じられる。これまでの今石作品の集大成というべき作品で、単発ではもったいない設定の緻密さも魅力的だ。中毒性がすごい。

5

アメリカン・アニマルズ  American Animals116 min


監督:バート・レイトン
音楽:アン・ニキティン
脚本:バート・レイトン
撮影:オーレ・ブラット・バークランド

出演:エバン・ピーターズ/バリー・コーガン/ブレイク・ジェナー/ジャレッド・アブラハムソン

 一般人がイキって『レザボア・ドッグス』やったらこうなっちゃいました!みたいな映画で大変に地獄絵図。現実は映画のようにはいかないという「映画」でもある。「事実は小説より奇なり」とはよく言ったものだが、逆のパターンを忠実に(なにしろ冒頭の「A story based on the truth(真実に基づく物語)」が「真実の物語」にわざわざ直される演出がある…!)描いた作品は珍しい。

 仲間集め、綿密な準備といったあたりは、この手の映画の定石だけれども、「現実」を描いたこの映画がすごいのはその後、そしてさらにその後だ。念入りにシミュレーションを行って臨んだ実行当日。いやあ本当に現実は映画じゃないんだなあ、という残酷な事実が次々に4人の素人強盗団に襲いかかる…!何一つとしてスマートに行かないのが本当に見ていられなくて、思わず目を覆ってしまうこと必至。司書をスタンガンで眠らせる件とか、殺してはいないはずなのに、観ているこちらにも恐ろしいまでの罪悪感が伝わってくるし、うっかり1階のボタンを押しちゃうあたりは本当にリアルだ。「真実の物語」だから当然なのだが。強奪に失敗した後の4人の葛藤も尺が長く取られていて見ごたえがある。というよりむしろこっちが本編とも言える。映画の真似は頭の中だけにしておこうね、という映画。

 劇映画の合間に、本人たちが出てくるのも意表を突かれたが、真実の物語を描こうとしたこの映画にはむしろ必須の要素だったのかもしれない。4人の大学生は退屈な日常を抜け出し、何者かになるために本の強奪を決行したが、その失敗談が映画として公開されるというのは皮肉な話だ。

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