本のレビュー

『チェンソーマン』、これ今年のベスト漫画では…??というくらい推せる!【2019年4月に読んだ本 感想レビューまとめ/全5冊】

投稿日:2019年5月1日 更新日:


はじめに

 今月もマンガしか読んでねえ…。

ブクログ本棚→ https://booklog.jp/users/suitiku

映画の方のログ

今月のベスト1冊!

藤本タツキ『チェンソーマン』第1巻

 Twitterで宣伝マンガが流れてきた時はイマイチな印象だったんだけど、風のうわさで面白いと聞き、買ってみれば、あら不思議!今年ベスト級の超絶大傑作じゃねーの!!!

 悪魔がはびこる異世界日本で悪魔狩り、主人公は自身の内に秘められた悪魔の力で彼らに立ち向かう…。というなーんかありがちな設定なんだけども、いやー、これはすごいわ。まず台詞回しがいいよね。これ、ほんとに「週刊少年ジャンプ」に載ってるの??っていう感じの粋なsリフが満載で最高!!「そっか!テメエら全員殺せばよぉ!借金はパアだぜ!」とか「逮捕だ逮捕!嘘なんとか名誉なんとか罪で逮捕だテメエ!!」とか「よしエッチ確認」とか主人公が言うわけ。言語センスが良すぎる。アフタヌーンに載っててもおかしくねえよなあ〜。そりゃ、道満晴明とか沙村広明とまではいかないけど、もう声に出していきたい日本語ってカンジだぜ。

 キャラクターも超キュート!特に主人公デンジの上司のマキマさんが小悪魔系で可愛すぎるんですよええ。好きな男のタイプ聞かれて「デンジ君みたいなヒト」とか真顔で答えちゃうの。うわー、悪い大人だぜー。めっちゃ犬になりたい。マキマさんにうどん食べさせてもらってるデンジ君の絵面がもう最高にキューーーーーートでいいわーー!!あと同僚の魔神パワーちゃんもかわいい。バカ系だし。アニメ化したら絶対髪の毛ピンクだよな。主人公が不幸な境遇すぎるんだけど、それを感じさせないバカっぷりで、働く目的も「おっぱいもみたい」とか「ちゃんとした朝飯(パンにバター塗ったやつ)食べたい」、ってのも地に足がついていて素晴らしいよね…。今後の展開が超楽しみすぎるマンガ。超絶おすすめ!!

おすすめの新刊!

新刊の定義は過去3ヶ月以内くらいに発売された本でお願いします…

吉田エン『月でウサギを飼う方法』

 『世界の終わりの壁際で』で早川デビューしたけどその後さっぱり消息を聞かない吉田先生の新作。『異世界ねこ歩き』シリーズは短編連作でサラッとした作風なんだけども、本作はどっしりとした長編。普通に商業で単行本出ててもおかしくないボリュームに驚く。

 月面に各国が基地を構え、月面人口(といっても基地の人口だけど)が100人以上になった近未来。中東を発端とするテロによって月面開発を担う工学者たちが大量にいなくなってしまう。主人公であるこじらせ系同人女子高専生・五所川原はゼミの教授が件のテロに巻き込まれ卒業の危機に。卒業をかけて、同じゼミの仲間である3人の訳あり男子たちとともに宇宙公団の月面基地事業コンペに応募したのは「月面でのウサギ養殖」だった!

 ウサギは肉であり毛皮であり、さらにほっておいてもどんどん増える。劇中でも突っ込まれているのだけど、「月にウサギ」という冗談みたいなアイデアが、緻密な計算によってどんどん現実化していくプロセスがまず面白い。宇宙公団で公募している事業は採算性重視なのだけど、もちろん、月面にものを運ぶのは非常に高価。水は地下の氷層にあるとはいえ、それでも地球上とは比べ物にならない値段だ。一番最初の計算では1キロの肉が数千万円というレベル。それをいかにして価格を下げていくのか…。この値段を下げていく過程のリアリティの面白さ。

 さらに、月面では地球のテロも絡んだ陰謀が進行しており、物語を盛り上げる。藤井太洋的なオプティミスティックな未来観に基づく結末も好ましい良作。

フィリップ・リーヴ『廃墟都市の復活』(上下巻)

 待ちに待った4部作最終巻!!発売されたの去年だけど、結局第一部から読み直さないとわけわからんので全部読み直した。第一部と第四部がロンドンという象徴的な都市を軸として綺麗にまとまっている。このシリーズの魅力は第一に都市が移動するというありえないセンス・オブ・ワンダーだが、第四部で印象的だったのは物語のメインとなる超巨大移動都市群「トランクシュタットゲゼルシャフト」。ストーカーとして蘇ったアナ・ファンによって好戦的な集団になってしまった反移動都市同盟に対抗するため、ドイツ語圏の移動都市が大同団結したのがこれ。でも金を出してるのはイギリス系のマンチェスターというのが面白い。戦闘特化型ながら芸術家が屯する都市ムルナウや大都市のキャタピラ跡に潜む山賊のような戦闘都市も登場する。これだけでも読んでいて飽きない。そしてもちろん、あの都市も。

 コミカルでありながら人間らしさに溢れるキャラクターも相変わらず魅力的だ。第四部で新たに登場するキャラクターの中で特に好きなのはムルナウの大元帥。トランクシュタットゲゼルシャフトの前線部隊都市ムルナウを率いていながら、戦争の終結に尽力する人間味あふれる好人物。一方で、人間の愚かさをえぐり出すようなキャラクター描写もシリーズを通じて健在だ。主人公のひとりであるヘスターは母親となったにもかかわらず相変わらず暴力が全てのような人間だし、みんなの大好きなペニーロイヤル教授も相も変わらずクズofクズ。ヘスターの前作での行動が結果としてある種の悲劇に結実するところは、悲しいながらも人生とはそういうものだ、という感慨を覚えずにはいられない。

 4部を費やして本シリーズが描いてきた物語は、一方で輝かしい新世界へ、また一方では悲劇へとつながっているが、素晴らしいのはそういった些末な出来事(登場人物たちにとってはそれどころではないが)を「歴史」の中に溶け込ませていくあるキャラクターの存在である。無限の命という伏線がここで効いてくるとは。彼が最後に語りだす第一部冒頭のシークエンス(ロンドンはその日、北海の…)は、歴史(物語)を再び「物語」として蘇らせる素晴らしい幕引きだ。

『邦キチ映子さん season2』

 いやー、今回もめちゃくちゃ面白かったなー。前巻で一番ドン引きした「シネフィル系の映画部で映子さんが実写版『デビルマン』のプレゼンをしてつまみ出される」エピソードで感銘を受けて邦キチに会いに来たエンタメ系映画女子でさらにドン引きして爆笑。正気かよ。「ザムの話ができないんです!!」じゃねーよ笑(ザムは『High & Low The MOVIE』の略) ていうかザムだけ2話取ってて圧がすごい。シリーズ一本も観てないけど観たくなっちゃったわ。「ウィーッス!」。ザム話の中で印象的だったのが、部長の「確かにザムは面白い!(中略)でも同時に感じるんだよ…(中略)部外者感というか…(中略)知らない高校の文化祭を見ているような!」に対する邦キチの「部長は自分に優しい映画しかハマれないという事ですね」。うーん的確!!あるある!邦画好きな人、自分を痛めつけるのが好きな人が目立つ気がするわ(自分も含め)。

 ザム以外だと去年自分もかなりハマった『来る』の話とか良かったですね。柴田理恵のものまね流行ったね〜(自分のTLでは)。あと意外なところで想田和弘監督の『選挙』なんてマニアックなドキュメンタリーにも触れられていて懐が深い…。一番観たくなったのは番外編でヤンヤンが紹介してる『超強台風』!「市長映画」というキャッチフレーズも気になるし、「台風の中土のうを担いで海に飛び込む中国民衆」の場面が観たすぎる…。いやー、邦画しばりでもこのシリーズ無限に作れると思うんで、season3も是非!

松田舞『錦糸町ナイトサバイブ』第2巻

 なんだろうね、この妙な面白さは。やっぱりテンポがいいのかなあ。あんまり歯医者の話もないし、キャバクラの話もないのに、なぜか面白い。バカと健常者の区分がはっきりしていると言うか、キャラクターがボケとツッコミにしっかり別れているのがいいのかな。秋田から8時間車飛ばして小夏に会いに来る幼馴染とか、この時点でおかしいんだけど、1万5千円しか持ってないのにキャバクラ行ったりする…。秋田のキャバクラだと1万5千円あれば足りたりするわけ?

 エピソードに幅があるのもいいよね。2話かけて人違いだったみたいなアホな話があるかと、歯並びが悪くて姉の結婚式に出れない青年のいい感じの話があったりして。あ、これガチで歯医者の話だったわ。思うに、この作品は主人公・小夏のボケと周囲のまともな人達のツッコミによる会話劇を楽しみつつ、都会の片隅で夢をつかもうとする彼女の成長を見守るのがなんだか親という親戚の人目線で楽しい。それと少しずつ錦糸町という町に根付いていく小夏と、彼女の周りに作られていく人間関係。この漫画に出てくる人たちってクズっぽい人もいるけど悪人っていないんですよね。夜の街の話なのに。そういうところもいいなんだか楽しい作品。

まとめ:その他良かった本&来月買う本

その他良かった本

吾峠呼世晴『鬼滅の刃』第1巻

 アニメの出来が良かったので買い始めた。第1巻の時点だと割と微妙な絵だな…という印象(ジャンプっぽくないという意味で)。話がポンポン進むのはいいですね。

来月買う本

 今月買った早川SF新人の3作を崩したら評判のいいクリスティーナ・ダルチャーの『声の物語』と宮内悠介の『偶然の聖地』を買う予定。

読んだ本一覧

suitikuの本棚 – 2019年04月 (17作品)
沖縄やくざ戦争 [DVD]
沖縄やくざ戦争 [DVD]

読了日:04月01日
評価5


powered by Booklog

関連コンテンツとスポンサードリンク

-本のレビュー

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

今更だけど『円環少女』読んだよ!【2018年6月に読んだ本 感想レビューまとめ/全5冊】

ライフログです。2018年6月に読了した本の感想など。積読消化月間につき。長谷敏司『円環少女(サークレットガール)』全13巻、藤津亮太『新聞に載ったアニメレビュー』、大童澄瞳『映像研には手を出すな!』第3巻ほか。

【本のレビュー】川上弘美『大きな鳥にさらわれないよう』:穏やかで残酷な遠未来史

川上弘美先生の『大きな鳥にさらわれないよう』のレビューです。超遠未来の人間の行く末を描いた叙情性豊かな、しかし果てしなく残酷な、神話のようなSF小説。

【本のレビュー】加納新太『君の名は。 Another Side:Earthbound』:映画の裏側を描く。

新海誠監督の映画『君の名は。』を観た後に絶対読んで欲しい本です。瀧が入った三葉がどんな日常を過ごしていたのか。そして糸守に住む3人のサブキャラクターの視点から見えてくるもう一つの『君の名は。』の物語。特に三葉の父・俊樹のエピソードが衝撃的です。

【本のレビュー】『世界の終わりの天文台』:なんかしらんけど世界が終わってたっぽい話。(リリー・ブルックス=ダルトン著、佐田千織訳)

リリー・ブルックス=ダルトン『世界の終わりの天文台』(原題:GOOD MORNING, MIDNIGHT)のネタバレなしレビューです。「どうやら終わってしまったらしい」世界の極北で生きる老科学者と少女、そして地球に帰還しつつある人類初の木星探査船の人々。過去を反芻する人々が迎える穏やかな終末の日々。ラストの余韻がとても良いのでみんな読んで!

いきなりスケールが万年単位になっちゃった『筺底のエルピス』を読むのは今!【2019年2月に読んだ本 感想レビューまとめ/全5冊】

2019年2月に読了した本の感想まとめです。今月は小説2冊しか読んでないの…。『筺底のエルピス 6 四百億の昼と夜』はスケールがいきなり大きくなっちゃったけど、まだ追いつけるので、みんな読もう!

search