『スパイダーマン/アクロス・ザ・スパイダーバース』は今年ベスト級の面白さ!

めちゃくちゃ面白いんですが、情報量が多くて疲れますね…。前作でも思ったけどストレートに表現が面白い。前作よりもかなりアート寄りになっている印象。特に序盤のグウェンパートのアース65のビジュアルが商業アニメーションの主流から外れまくっていて個人的にはすごく良かったんですが、これは大衆的にウケるのか…?と変な心配をしてしまいましたね。

ビジュアルもそうなんですが、そこに縦横無尽なアイデアがプラスされていて、その相乗効果が凄まじい。マイナスの発想ではなくてとにかくプラスしていけば面白いんじゃないかというあまりにもアメリカンな志向だと思うのですが、近年の情報量が多ければ面白いという風潮にぴったりハマっていて、そのあたりも上手いですね。余白とか全くない感じ。いや、探せばあるんだろうけれど、初見だとついていくだけで精一杯なまさに映像のジェットコースター。そしてそれがとんでもなく気持ちいい。例えばマイルズたちが中盤に訪れるアース50101のムンバッタン。名前の通りムンバイとマンハッタンが融合したような多層都市でスパイダーマン・インディアが登場する。都市の情景もいいし、スパイダーマン・インディアことパヴィトル・プラパカールのキャラクターも抜群にいい。あるいはスパイダー・ソサエティでの大捕物のシーンで登場する色とりどり老若男女、それどころか猫や恐竜までいるダイバーシティ極まるスパイダーマンの大群も見ものだ。頭がおかしくなる。

そして、この多様性の極みに達したマルチバースですら抗えない「運命」が物語の軸になっているのもとても面白い。メタ的な「ネタ」として消費されてきた「ベンおじさんの死」がこんなところでシリアスな物語を生むとは。いやまあ元の話の中では元々シリアスな事象ではあるんだけど。端的に言ってしまうと「運命に抗う/抗わない」みたいな非常にベタな話になってしまうと思うのだけど、後編でどのように料理するのかが楽しみでならない。あと前作のキャラの使い方が上手いですね。このあたりも後編への期待が高まる。

『グリッドマンユニバース』のノベライズは若干物足りない。

うーーーん。かなり評判良かったので買ってみたんですが、普通のノベライズ+αといった感じでしたね…。まあその「+α」の部分がかなり良いのでコアなファンは買ってもいいと思うんですが、ちょっと自分的には物足りなかったかなあ…という。内海とはっすのくだりとか、

もうちょっともうちょっと読ませてくれー、という。読んでいて映画版の映像が脳裏に流れていくというのはちょっと楽しいのですが。かなり分厚く1,980円というそこそこ強いな、と思わせる値段設定。いや、真っ当なノベライズとしてよくまとまってはいるんですが、もうちょっとこうなにか…。で一番きつかったのがこの年になってラノベコーナーをウロウロするという体験(結局HMVで買った)。そんなこと気にしてられねえよ!と言われればそうなんですけどねえ。

OPとEDが最高な作画アニメ:『Dimension W』

そういえば最後まで観ていなかったので、U-NEXTに入ったタイミングでまとめて観た。

やはりOPとEDが神がかっている。OPの梅津さんの謎ダンスも印象強すぎるけど、注目すべきは江畑諒真によるEDの一人演出・一人絵コンテ・一人原画。後半のアクションもさることながら前半の静かな場面の丁寧な芝居も素晴らしい。江畑さんはアクション監修でもあるんだけど、面白い動きが多くてその点でもいいし、「転スラ」の片鱗のようなものがすでにでてきている気がする。

内容も原作未完の状態から12話できっちり綺麗にまとまってるし、3Hzはこれがスタジオ2作目なのにやたらと手際が良い(ような気がする)(共同制作はオレンジ)。作画も安定してるし、ミラの服装が話数ごとにちょいちょい変わるのも楽しい。