濃厚な「コ哀」で体調を崩した:『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』

毎年はちゃめちゃに面白いコナンさんの映画、今年も面白かったです。とはいえ、例年あるトンチキ描写(「緋色の弾丸」のリニア貫通弾とか「ハロウィンの花嫁」の超巨大サッカーボールとか)が薄目でストーリー重視だった印象。いや、よく考えると変なシーンは結構あるんだけど、麻痺していまっている気がする…。

今回は黒の組織がメインで出張ってくるということもあり、見どころしかない構成(まあいつもそうですけど)。しかも黒の組織の新キャラ・ピンガが登場。噛ませ犬みたいなやつだったけど…。序盤からインターポールの巨大海上施設パシフィック・ブイがデカすぎて楽しいし、欧州と日本の全警察監視カメラを統合してるのに速攻でバックドア仕掛けられてるし、そのおかげでシェリーの正体がバレそうになるし、哀ちゃんが誘拐させそうになって蘭ねえちゃんとピンガがタイマン張るし(一般女子高生に押し負けそうになる黒の組織構成員…)、崖から落ちるスケボーアクションの作画がヤバいし(これもいつもだけど)で、これだけで最初の30分くらいですからね。

後半は潜水艦が出るわ、魚雷も出るわ、必要最小限の安室さんと赤井さんも出るわで盛りだくさん。安室さんと赤井さんは今回もいいところを持っていくんですよね〜。でも今回のメインはやはり濃厚なコ哀。序盤の眼鏡交換もグッとくるんですが、特に最後のあれが最高…!「返したわよ」は上手いなあ。早く本編終わって元の姿に戻った新一×蘭×志保で三角関係ラブコメやってほしい。

ところで、特に気にしないで観に行ったら監督が「モブサイコ100」シリーズの立川譲監督だったので驚いたんですが、そのせいか「大人と子供」の関係に焦点が絞られているような印象がありましたね。「子供の言葉が人生を変えることもある」はコナンならではの価値観だなあと膝を打ちました。

サブキャラも大切にしているのがいい。表紙とか。:『SPY×FAMILY 』第11巻

「バスジャック編」がメインの巻。この漫画の一番の魅力は無力な超能力者であり子供でもあるアーニャの存在だと思っているのだけど、この一連のエピソードはそれが見事に表現されている素晴らしいエピソード。

物語としてはイーデン校の生徒たちが課外授業に出かけ、バスジャックに遭う、というシンプルなものながら、今回は両親が不在というのがこれまでにない展開で面白いポイント。必然的にアーニャが一人で頑張らなければいけないわけなのだけれど、ここで超能力者設定が生かされていて、例えばジャックされたバスがどこに向かっているかがわかったり、首にはめられた爆弾が実は空だというのがわかったり…。とはいえ、わかっただけではどうしようもないので、どうやって外に知らせるか、といったあたりをクラスメートたちと協力して進めていくあたりの展開がいいですね。さらに、空の爆弾をはめられていることを知っているアーニャが全く怯えないことで舐めプ的な雰囲気が生まれているのがめちゃくちゃ楽しい。超能力設定をこういう風に使うの上手い。別に超能力でテロリストを倒すわけでもなく、豪快にメシを食ったりするだけでじわじわと精神的ダメージを与えていくという。

後始末をちゃんと大人がやるというのも個人的に好きなポイントです。子供達が戦うのではなく、精神的に揺さぶりをかけつつも、物理的な部分は大人がやるという住み分け、役割分担は「子供を守られるべきもの」としてはっきりと描いていて、さらにそれを担うのがいつものようにロイドやヨルといったスーパーヒーローではなく、ベッキーの執事であるマーサやヘンダーソン先生といった人たちが奮闘するという点も非常に良かったです。また、この騒動の中でアーニャとダミアン(次男)との関係性に変化が生じていく様が描かれるのも楽しく、今後の展開が楽しみ。やっぱりアーニャ×ダミアンは既定路線だよね、ここまでくると。

ロズ&ウェルメイン巻:『東京入星管理局』第4巻

巻を重ねるごとにどんどん面白くなっていく奇跡のような漫画。

冒頭に置かれた異星の王子が初恋の人を探しに地球に来る話(Twitterで宣伝されていたやつね)もテンプレート的展開が突然SF的視点に切り替えられるダイナミズムがいかにも窓口先生らしいハッタリが効いていてかなり好きなのだけど、この巻のメインは脇役の豪運のロズと不可視のウェルの誕生譚。

ロズのキャラが改造前で違いすぎてて面白すぎるというのがまずありつつ、初めて姿を見せたエージェント:ウェルがかなり癖に刺さる感じで良かったです。『戦車椅子』の騰子さんとかの系列ですね。元の姿が出てきたことでロズもさらに好きになりましたね。ギャップ萌え的な…。あとこれまで名前だけだった暗号課の人々が出てきたのも嬉しい。キャラ増えてるけどキャラ立ってるから違和感ないんだよなあ(情報量が多すぎて忘れるというのはある)

『これ描いて死ね』第3巻は(暫定)2023年ベスト漫画

祝「マンガ大賞2023」大賞受賞!

2巻までも十分に面白いのだけど、3巻はそれのさらに上を行く面白さ。暫定的に今年のベスト1冊。

序盤のてっしー(手島先生)が活躍するパートで「この物語、手島先生が主人公じゃね??」と思っていると(1巻ごとに「ロストワールド」も入るし)、文化祭のエピソードで藤森さんの姉・真が登場して、この人がまた素晴らしいキャラなんですよね…。他の作品で例えると『ガールズ&パンツァー』シリーズの西住姉妹的な。典型的なツンデレシスコンキャラなんだけど、愛情表現が独特すぎてめちゃくちゃ楽しい。文化祭のエピソード自体も素晴らしく、たしかにあのオチだとお姉ちゃんもぶっ倒れるわ。

で、さらに素晴らしいのがヒカルと赤福に焦点を当てた第13話「この世の90%はカスである」。SFファンにはシオドア・スタージョンの言葉として有名だと思うのだけど、ここでは当然、天才のヒカルが10%であり、ザ凡人の赤福が90%の側なわけです。この箴言をそのまま受け取るなら90%側である赤福は落ち込む…とおもいきや、彼女はこの言葉を全く正反対に捉えるのですね。ここがすごい。90%の側だからこそできること、「何者でもない者」が持っているものを素朴に褒め称えるこのエピソードは、例えば漫画家から平凡な教師になった手島先生の人生と繋がっていくし、作品の主題となっているマンガという媒体自体の逆転的構造をも明らかにしていきます。つまり、読み専であり90%の側にいる凡人の赤福が10%の側にいるマンガ家たちをジャッジするという構造です。この短いエピソードには作品に通底するテーマが幾重にも重なって表現されていて、それだけでも今年ベストのエピソードだと思います。

冬アニメ最終回&春アニメ

(終)『REVENGER』

全滅エンドかと思ったらそんなことはなかった。最終話の敵利便事屋のやられ方がソードマスターヤマト感があってよかった(テンポが良いの意)。宍戸さんのところとかも、「あ、そこは別にへんなひねりはないのか」みたいなあっさり感。やっぱり書きたいことってエピローグにあったと思うんですよね。後味の良いビターエンドでよろしうございました。一人の男の物語として上手くまとまっている感じ。

(新)スキップとローファー

原作大好きなのでPV見たときはちょっと不安だったんですよね。ラブコメっぽさを押してる感じがして…。でも蓋を開けてみたら原作の雰囲気そのままで、逆に驚きました。キャラクターデザインがいいのはもちろん、色彩設計が雰囲気を後押ししている気がします。動いているのを観て思ったのは「変顔アニメ枠だな…」ということ。みつみちゃんの表情の豊かさを楽しむ作品という感じがします。須田景凪のオープニングがまた素晴らしい。ダンスの自然な感じ。

(新)この素晴らしき世界に爆焔を

久々の「このすば」ですが、こないだの映画の舞台が紅魔の里だったので、このスピンオフのチョイスはナイスですね。とりあえず第一話ではまともな紅魔族がゆんゆんしかいないのがわかった。これまでのシリーズ同様、テンポの良さが楽しい。一方で「このすば」特有の変顔(作画崩壊とも言う)がなかったのは残念。体調悪いので見学しますーのあたりは、独特のテイストが生かされていて面白かったですね。

いきなり『電脳コイル』が出てくる陸秋槎『ガーンズバック変換』

『アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー』に収録された「色のない緑」、久々に読んだけどやはりかなりいい。AI技術が急速に進展した今改めて読むと、言語学的なあれこれに意識がいく。

「物語の歌い手」は吟遊詩人をテーマにしたファンタジー的な物語だけど舞台は中世のフランス。創作者の創造の秘密にまつわる物語だけど、残酷な結末が秀逸。人生にはある種の制限があった方が幸せなのではないか?という最近の自分の考えと呼応する内容だったのも印象的。

表題作の「ガーンズバック変換」は香川の「ゲーム条例」をカリカチュアライズした「そうはならんやろ」的な世界観が秀逸。しかしある種のリアリティがあるのが恐ろしい。いきなり『電脳コイル』が出てくるあたりがいい。一瞬で磯監督のアニメの絵で再現されてしまう。ネットがある世界でもない世界でも生きづらさは変わらないが、そこでシスターフッド的な関係につながっていくラストが素晴らしい。

『Slay the Spire』ウォッチャーを始める

サイレント→ディフェクト→アイアンクラッドときてようやく最後の一人ウォッチャーの攻略を始めました。アイアンクラッドはA20H達成してないけど、まあいいか…という感じ。

ウォッチャー、なんとなく予想はしてたけど、クセが強い!スタンスの概念がまずよくわからないし、憤怒で一気に攻めるのが定番なのかな?と思いきや「神人化」でエナジーを溜めまくって剣を召喚するのも楽しそうだし、マントラ貯金で毎ターン攻撃力3倍というのも良さそう。

とりあえずマントラデッキで攻略しようと思います。