今月のおすすめ

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 この映画に関しては他の人々がさんざん考察やら感情やらを垂れ流しているので特に内容についてここで書くことは無い。とりあえず、四半世紀に渡って携わってきた庵野監督を始めとするスタッフの皆様、そして待ち続けたファンの皆様、お疲れさまでした!

 …と言いつつ、やはりめちゃくちゃ面白い映画だったので、めちゃくちゃおもしろかったポイントはメモとして記しておきたい。全3作(特にQ)もそうだったけれど、新劇はアバンタイトルのアクションがとにかく面白い。シン・エヴァのそれはパリの攻防戦だけど、「こんな恥ずかしいスーツ、エヴァパイロットだけでしょ」のメタ視点とか行進してくる足だけの発電エヴァとか戦艦バリアーとか、「よくもまあそんなもん思いつくよな」というある意味でバカバカしいガジェットのオンパレードで、ここだけでも100回くらい観たいレベルで面白い。第3村での生活の予想外な感じとか、最後の対決の書割のあたりとか、全編これみどころだよなあ。あと思ったのは「最後の最後でゲンドウくんめっちゃ喋るな」ってこと。NHKの密着ドキュメンタリーでも言ってたけど、「視聴者が思ったより理解してくれなかった」ってことなんだろうなあ。あのへんは蛇足というか要らんやろ、とは思いましたね。あ、あと全てのエヴァがさようならのあたりで「え、お前もエヴァだったっけ??いやそうだけどシレっと入ってくるよな…」みたいなくだりとか、ネタバレで見た腕エヴァがマジで出てきて吹いたとか…いやー、やっぱ見どころしかないなあ。また劇場で観たいわ(とりあえず2回は観た)。

 物語の結末については、「それしかないだろう」というある意味で平凡な着地なのだけど、これだけ振り回された方からすると、拍子抜けすると言うよりは肩の荷が下りたという感覚が近いかもしれない。とにかく25年間の集大成というにふさわしい結末だったことは間違いないだろう。色んな意味で。

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観た映画一覧(時系列順)

TAAF2021 コンペティション部門短編作品 スロット1

 毎年恒例、東京アニメアワードのコンペ上映会。今年も(一応)コンプリート。『トゥルーノース』は東京国際映画祭で観たし、日本ロードショーが確定してるからスルーしちゃったんだけども…。

 大体ハズレはないんだけど、個人的にはこのスロット1が一番良かった。フランスのESMAの学生制作作品「いい感じ(It’s All Graavy)」は排水管を通じて人種も性別も異なる人々がセッションする気持ちのいい作品。同じくESMAの「似たものどうし(Oeil Pour Oeil)」は古典的な海賊の宝探しをゲーム感覚で描いたコミカルな作品。ゲームチックな効果音と演出が楽しいが、「見ている世界の狭さ」というテーマも孕んでいて、現代的だ。フランスの監督集団「イロジック」による「マエストロ(Maestro)」は2分にも満たない掌編ながら、リアルな森の動物たちがオペラを奏でるというアイデア勝負の作品。リスが超絶かわいい。ナタ・メトルク監督の「気まずいなあ(Awkward)」は気まずい瞬間のあるあるネタものなんだけど、切り取る瞬間が絶妙。すれ違えない二人がベタながらいい。中国のグオ・チュチュ/フェイ・リンボ監督による「選んでごらん(Chose)」は子育てにまつわるジレンマ的な話。手拍子に合わせて進んでいくテンポが超楽しい。オチは皮肉たっぷりでそこもいい。ゴブランの卒制「夜に輝く我が友よ(My Friend Who Shine in the Night)」は2018年の傑作映画『A GHOST STORY』(デビット・ロウリー監督)を思い起こさせる叙情性たっぷりな作品。バンド・デシネ調のビジュアルも合っている。

 スロット1、そして今回の短編コンペで個人的なベストだったのが、これもまたゴブランの卒業制作である「ローラースケート売っちゃったの?(You Sold My Rollerskates?)」。ポップなキャラクターとめちゃくちゃ好みの色彩設計で見ているだけで楽しい。2D全盛期のゲーム的な演出をベースとしつつ、コミックとアニメーションへも越境していく自由さがいい。ポンポン進んでいくテンポの良さも最高!主人公の少年ルーは、タイトルの通り母親に売られてしまったローラースケートを探して冒険を開始する。おもちゃの山に住む少年や怪しいジャケット売りのおじさん、かつてローラースケートの虜だった老人など、ルーは行く先々で様々な人々に出会い、彼らの人生の一片と交わっていく。80年代のカルチャーが現代に受け継がれていくというテーマが垣間見えるのも素晴らしい。

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 アバンタイトルの作画が凄まじく、Ufotableかと見紛うほどの熱量で「これは期待できるな…」と思っていたら、本編はピクサーライクの3DCGで若干拍子抜け。とはいえ、それでも十分に面白かった。一部で「話が分かりづらい」という評が出ていたけど、そこまで難しくもない。まあ子供が観ても理解できるかは微妙だけど。

 タイトルのジャン・ズーヤー、知らんやつやな…と思っていたら漢字で書くと「姜子牙」で要するに太公望じゃん、という肩すかしというかお馴染み感というか…。まあ封神演義も別に内容覚えてないんですけども。もちろんお供のスープーシャンとかも登場する。ゲストキャラクターというかこちらがある意味で主人公なんだけど、狐っ娘のヒロインが可愛くて今どきのアニメっぽさがある。ジャン・ズーヤーとこの娘が妖狐を倒しに行くというのがメインのストーリーなのだけど、その過程で天の犯した罪が明らかになり、ジャン・ズーヤーは天と反旗を翻す…。とまあざっくり言うと叛逆の話ですね。

 ストーリーは特筆すべきところは特に無いんだけど、素晴らしいのは豪華なビジュアルの数々。例えば冒頭の妖狐の処刑シーンの無駄に大掛かりな磔マシーンも度肝を抜かれるし、天まで届く階段のビジュアルもシンプルなようでいてめちゃくちゃ凝ってる。後半のジャン・ズーヤーと妖狐が対決するススキ野原っぽい異界のイメージもいい。この場面はアクションも素晴らしく力が入っていて見ごたえがある。日本でやらなそうだし、観れてよかった。

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TAAF2021 コンペティション部門短編作品 スロット2

 特に印象的だった1本目の「プロトコル・サンドイッチ」はゴブランの卒制。ノイズが生じる世界を直していく人々の話で、断片的すぎてこれが仮想現実なのか現実なのかもわからないのだけど、魅力的なビジュアルだけで世界観とストーリーを感じさせてくれる良作。携帯扇風機みたいなやつでノイズを修復するんだけど、あのへんはゲームの『デス・ストランディング』を思い出す。

 ダニエル・グレー監督の「かくれんぼ」は他愛の無い子供の遊びが異世界へと繋がっていくホラー風味の作品。キャビネットの中での少年の息遣いが耳に残る。フレデリック・シーゲル/ベンジャミン・モラール監督の「孤独の軌道」も良かった。人工衛星のオペレーターがミスで世界のネットワークを崩壊させていしまう話。世界的なネットワークと個人の人付き合いがシームレスに接続されていくのがいい。ユンシアン・ファン/ペイユー・リャオ監督の「リトル・ヒリー」は台湾製のウェルメイドなクレイアニメ。小学生が主人公なので「ちびまる子ちゃん」みたいなコミカルな話かと思いきや重すぎる話だった…。中盤に訪れるパラダイスっぽい島の場面はコミカルでいいのだけど、救いがなさすぎるオチ。アニメートとジオラマが素晴らしい。

 えー、すみません、短編コンペグランプリの「棺」はピンポイントで寝てしまいました…。

TAAF2021 コンペティション部門短編作品 スロット3

 スロット3は大人向けと言っていいのか、エログロナンセンスブラックジョークが多かった印象。去年もたしかそんな区割りだったし、スロット1から段々対象年齢を上げていく感じなのかな。

 一本目のアニエス・パトロン監督「そして熊が」から難解で暗い作品を突っ込んでくる。ストーリーの印象のようなものはむしろ明瞭に伝わってくるのだけど、解釈は難しい。少年少女のまたがる熊たちの大行進がアニメーションとしても美しく、印象的。マティヤ・ピサチッチ/トヴルトコ・ラスポリッチ監督の「グロリア・スコットの冒険~大聖堂殺人事件~」はロンドンを舞台にしたナンセンス探偵冒険活劇。クロアチア/セルビアからの出品というのも珍しいが、女探偵グロリア・スコットがあまりにも破天荒すぎて場内爆笑。「ドイツ人の青年画家」が登場したりして、歴史改変の要素もチラリ。短編は比較的コミカルな作品が多いんだけど、これくらいバカバカしいのも珍しい。最後に置かれたESMAの卒制「生まれ変わり事業」もナンセンス系。主人公(魂)がいい感じの生き物に生まれるためにリセマラ(自○)するというひっどい話でゲラゲラ笑ってしまった。

 スロット3でとりわけ良かったのはシモン・フィリオ監督のクレイアニメ「黄金の心臓」。病気の子供を持つ貧しい寡婦と裕福な老夫婦。母は老夫婦の妻に臓器を売って生活の糧を得ることになる。…というよくある胸糞話かと思ってみていると…。「テセウスの船」を連想させる、見事な逆転の物語。母子の貧困の表現が面白くて、金がないときは左右の家に押しつぶされて住んでいる家が歪んでしまうという、めちゃくちゃ強引だけど説得力があって笑ってしまった。こういう無理くりな表現ができるのもアニメーションならではだなあ。

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 チリの長編アニメーション。上映後の監督インタビューによるとチリでの長編アニメーションの製作は年間1、2本ということで、そういった意味ではまだまだ発展途上の産業だと思うのだけど、本作を観るとそんな未熟さは感じられない完成度。作画も丁寧だし、全然作ってない国のレベルじゃない気がする…。キャラクターの造形がとにかくキュートで好き。東映長編の大塚康生さんとか小田部羊一さんなんかを思い出させるような柔らかなフォルムで、シンプルなストーリーも相まって懐かしい気持ちになる。

 漁師の息子なのに海を恐れているいじめられっ子のナウエルはひょんなことから魔法の本に出会う。「勇気が出る魔法」が記されていることを知ったナウエルは本を盗んでしまうが、本を狙う邪悪な魔法使いに襲われることとなる…。…という、まあ言っちゃうとよくあるファンタジーなんだけど、チリの伝承が散りばめられていたり、ヒロインの女の子が可愛かったりと見どころはたくさん。特に中盤に訪れる酒場の異種族が入り交じった雰囲気であるとか、そこで行われるなぞなぞ対決のあたりはとても楽しい。でかくて喋る犬も出てくるし。最後の対決で特に魔法を使うこともなく子どもたちだけで戦いに赴くあたりは『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』を思い出した。「強大な魔力を秘めた本が雑に盗めてしまう」あたりの設定のあらっぽさみたいなものはあるんですけど、それはそれとして全体的に楽しい作品で、優秀賞取れたの嬉しいですね。

 個人的に面白かったのは敵方の魔法使いとその手下のキャラクターデザインがめちゃくちゃ藤子・F・不二雄っぽいこと。予告編観るとわかると思うけど、いかにも藤子作品に出ていそうなデザインなんですよね。めちゃくちゃ好きだわ。物語の序盤には(その後全く絡まないけど)ジャイアンとスネ夫みたいなキャラクターも出てくるし、なんか影響を与えたところがあるんですかね…。まあ『ドラえもん』は向こうでも放送してるだろうし、そのあたりの影響関係が興味深くもあったり。

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 今回の映画祭の長編グランプリ。始まったときはアニメーションというにはあまりにも動かなくて「ほんまにアニメ映画なのか??」と思ったのだけど、「老人の昔語り」というコンテクストにはむしろベストマッチと言っていいくらいの表現だった。記憶語りの表現として、こんなやりかたがあるのか、という衝撃もあり、納得のグランプリ。

 フランコ政権から逃れてきた共和派の人々を、フランスが劣悪な環境の収容所に閉じ込めていたという史実は、恥ずかしながらこの映画で初めて知った。フランスがドイツからの攻撃の被害者でありつつ、同時に加害者でもあったという現実。物語はイラストレーターのジョゼップ・バルトリを主人公に据え、フランス人の看守セルジュとの交流を描いていく。このセルジュという人物自体は実在の人物ではなく、実際にジョゼップを助けた複数の人々を一つに統合した架空の人物とのことで、このあたりのさじ加減は近年のドキュメンタリー寄りの劇アニメショーション、例えば片渕須直監督の『この世界の片隅に』や去年のTAAFの長編コンペ作品『フリッツィ』などにも共通しているポイントだ。日本でも「フランスの強制収容所」についてはほとんど知られていないと思うので、グランプリも取ったことだし、是非上映して欲しい作品。

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 大洗VS知波単決着。夜戦で目が効かないみほさんのジト目のレアさとか、まさかの麻子さんとの一瞬だけ車長交代とかの場面が良かったですね。いくら特殊なカーボンで保護されてるとはいえ、落ちて轢かれたら終わりだよな〜などと思いつつ…。最後のミスリードも上手いし、華を持たせた感があって好き。それにしてもいくら日本軍の軽戦車がスピード勝負とはいえ、あの爽快感はアニメならではという感じ。福田対アヒルさんチームもめちゃくちゃ盛り上がる。まさかここまで知波単が強くなるとはという面白さ。

 幕間はトーナメントの他の各校の戦いっぷりが描かれてるのだけど、ここも幕間とは思えない力の入れ方で、特に、どう考えても格上の聖グロリアーナに立ち向かうアンツィオのトリッキーな戦術が良かった。今までも狂った戦法が多かったけど、まさかCV44をあんな使い方するとは思わなかったわ。

 後半の第三試合はまさかのあの高校が登場。しかもここに来て新キャラが追加されるという。まああの国だしこのキャラも出るよな〜と思ってたけど、スタッフよく劇場版で出すの我慢したなー。すごくいいタイミングで出てくるのも美味しすぎる…。第4章への引きも、よもやよもやの事態が起こってからのスタッフロール!いやー、また2年くらい待つのか〜。死ねねえ〜。

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