今月のおすすめ

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 今までの生涯で最高に爽やかなゾンビ映画。予想よりも何倍も面白かった。コメディ×ラブコメ×ゾンビっていうとジェフ・ベイナ監督の『ライフ・アフター・ベス』なんかがあったけど、あれよりもさらに爽やかで声を上げて笑える楽しいゾンビ映画。万人に勧めても問題ない(しらんけど)。もちろん、ゴア描写もあるっちゃあるんだけども、なにしろ主役ゾンビのチョンビ(チョン・ガラム)がイケメンでベジタリアンなんだから、もうゾンビ映画のお約束をぶっ飛ばしてる感がある。キャベツを生のママかじりまくるゾンビ初めて見たよ。最初の方こそきったねえ普通のゾンビなのに、小綺麗になった中盤からはそこらへんにいる無口のイケメン兄ちゃんにしか見えないという…。みんなと一緒に食卓囲んだりしてるし(食べるのはキャベツのみ)。

 で、このイケメンゾンビに恋しちゃうのが田舎ガソリンスタンドの一人娘ヘゴル(イ・スギョン)。ラブコメゾンビものって大抵は生前の恋人を忘れられずに大惨事になるパターンがわかりやすい気がするんだけど、この映画だとすでにゾンビ化している男に惚れちゃうのが面白い。ゾンビでもイケメンなら彼女ができるという残酷な現実笑 ヘゴルとチョンビがキャベツ畑で戯れる場面はゾンビ映画的な文脈のようでもありラブコメのワンシーンのようでもあり、ゾンビ×ラブコメという特徴を生かしたいい場面である…。

 さて、この映画のもう一つの特徴はゾンビに噛まれるとなぜか若返るという謎の現象が起きること。潰れたガソスタで阿漕な商売をしているジュンゴルたちがこれに目を付けないはずはなく…。かくして、「ゾンビに噛まれるために行列を作る」という、これまたゾンビ映画ではかつて見たことのなかった光景が現出するのであった…。ベジタリアンゾンビであるチョンビが噛めるように爺さんたちの腕にケチャップを塗りたくるくだりとかもう笑える笑える。で後半になってゾンビ・パンデミックが起きるわけですが、さもありなん、という感じですね。この後半のゾンビ映画らしい展開の中でも素晴らしいカットがいくつもあって、打ち上げ花火の場面の美しさであるとか、突如ガソスタで始まるクラブシーンとか見どころが多すぎる!最後にヘゴルの名前を口にするチョンビもいいんだよなあ…(しかもこれが最後の伏線にもなっている)。

 ゾンビ映画のくせに思いっきり笑えて泣けて、しかも投げっぱなしじゃなく爽やかに終わる。てっきりハワイに行った爺さんが…というというパンデミックオチだと思ってたのだけど、まさかあんな展開になるとは…。ホラー苦手な人にもすごくおすすめ!っていうかホラー感がほとんどない(笑

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観た映画一覧(時系列順)

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 月またいで早速2回目!『君の名は。』の時もそうだったんですが、普段映画を見ないような人たちも見に行こうとして、全然別のクラスタからお誘いがかかったりするってわけ。今回は『君の名は。』ほど大大大ヒットはしない感じだからこれで打ち止めだとは思うけど。

 せっかくなんで、2回目は先日出来たばかりの池袋・グランドシネマサンシャイン、その中でも日本最大のIMAXシアターに行ってきました!一般2,500円なんで結構あれですが、その価値はありまくりでしたね。とにかくでかい。劇場入ると思わず笑っちゃうくらいの大きさなんですよ。これは一回行く価値ありです。『天気の子』は比較的アクションシーンが少ない映画だと思うんですが、それでもやはり存在感が圧倒的。2回目ということもあって、細かいところに注目して観れて良かった~。音響もめちゃくちゃいいので、正直言って最高でした。1回目観たときはRADの音楽の使い方が雑かな~って思ってたんですが、再見するとほとんど気にならなくなり、劇場出て即サントラも購入。やっぱ色々思うところもありつつもいい映画だと思いますわ…。

 あ、今回はかなり注意して観てたので四葉ちゃんも見つけられました!確かに声付いてるけどワンカットでかなり尺が短いから厳しいと思ったり。

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 いつものONE PIECEなんだけど、今回の敵は徹頭徹尾脳筋だったので更に良かった。なんだかベトナム帰還兵ものの映画を思い出しましたね。ロジャー海賊団の連中が出てくるとまあこういう雰囲気になりますわな。今回は本編の流れにもものすごく影響を与える、マジもんのロジャーの遺産が出てくるんですが、最後にああいう選択をしたのは流石俺らのルフィさんや!という感じで嬉しくなったり。

 さて、今回の敵は脳筋戦争帰り野郎なんですが、やっぱりロギアじゃないヤツのほうが面白いなー。ロギアも覇気で殴れば同じだから別に緊張感無いっちゃ無いんだけども。「FILM Z」のゼファーが無能力者かつ強物というキャラで、今回のバレットと被るんだけど、バレットの方は能力で巨大化するのが面白い。まあ巨大化する能力ではないんだけど、結果としてアホみたいにでかくなる。なんかガシャガシャの実の能力がもったいないような気もするし、もっとテクニカルに戦ってほしかったというのもあるけど、「とりあえず大きければ強い」という脳筋戦略はキャラクターとも合っていたのでまあ良いか。「質量には質量をぶつけんだよぉ!!!」とでも言いそうなこれまた脳筋ルフィとのガチンコなぐりあい、前座で出てきた即席連合軍の戦略とかガン無視だけどONE PIECEっぽくてね、逆にいいよ…。ワンピにジョジョみたいなの求めてないしさ…。今思ったけど、ワンピって『ドラゴンボール』と「ジョジョ」の中間くらいの立ち位置だよなー。腕力メインだけど、特殊能力もあるという。

 見所はバレットとルフィの脳筋対決の前座に出てくる「麦わら・最悪の世代・七武海・革命軍・海軍(・世界政府)」の即席連合軍による共闘。スモーカーさんとサボの予想通りのやり取りも面白いし、脳筋野郎の対決にちゃんと戦略を練って挑もうとするトラ男のリーダーシップの頼もしさ。まあ結局は脳筋質量対決でかき消されてしまうんですが…。スモーカー中将は前半から潜入捜査してて海賊コスプレもいい感じだったし、優遇されてるよなあ。ちなみに、この即席連合軍の場面でちゃっかりバギーも巻き込まれているんですが、必死に逃げる場面の長台詞がさすが千葉繁さんという感じで見所あり(個人的には)。こいつも愛されキャラですね。とにかく、出てくるキャラクターが多いので、「ああ、そういえばこんなやつもいたなー」という思い出にふけることができるのも長寿作品の利点ですよね。最悪の世代の連中とかほんと久々にみたけどみんな変わってなくって良かったよ…。カポネの大技(ビッグ・ファーザー)とか初めてみたんだけど、そういやこいつシロシロの実の能力者だったな、とか。何もかもがみな懐かしい…。老人向けコンテンツになりつつある気がする。ちなみに劇場はガキの皆さんばかりでしたが。

 バスターコール周りの演出がおかしい(5分以上経ってるよな…とか砲撃があまりにもしょぼいとか…)のは気になったけど、「海賊万博」の名に恥じないてんこ盛りの大盤振る舞いで盛り上がるので大変良かったです。あと、ゲストキャラのフェスタの作画が妙に良かった。

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 実写版『デビルマン』クラスだというのでワクワクしながら観に行ったら普通に微妙な作品だったのでガッカリ…。Twitterで「綺麗に作った壺にうんこを塗りたくったような作品」って言ってたけど、まあ概ねそんな感じですね。ただただひたすらに微妙なクソ映画で「最悪すぎる…」と言って人に勧めることもできない…。1,900円は返してくれなくてもいいけど時間は返して欲しい。

 映像と基本的なストーリーとかは普通にいいんですよ。『STAND BY ME ドラえもん』と同様、アニメーション制作は安心の白組で、映像と音楽だけならむしろ良作と言ってもいいくらい。ドラクエファンじゃないので音楽の使い方も気にならなかったしね。キャラクターの質感や背景との調和もとても良く、多少オーバーアクションなところはありつつも演出面も問題なし。ストーリーは…三部作くらいにするのが妥当なんじゃないかなあ、という詰め込み具合で、原作をやってない身からすると目まぐるしく時代が飛んでいくので若干話の筋が分かりづらいというのはある。良かったシーンとしては主人公が自分の本当の気持ちに目覚めてからのビアンカへの告白のあたり。普通にかわいい。

 …さて、原作ファンが激怒している後半の「アレ」。意欲的なことをやろうとしているのはわかるけど、なぜここでやった??としか思えない。原作未体験の自分からしてみても「ハァ???」って感じだったので、ファンの人は本当にかわいそうだし、そこまで普通にいい話だったのに急にゴミになるのがすごい。このシーンの一点突破で2019年のクソ映画ランキングの上位に来ることは間違いない(とは言え冒頭言ったように『デビルマン』クラスというのは言いすぎだと思う)。なにもこのIPでやらなくてもねえ…。サブタイが「Your Story」だったのでまあこういう展開かな…というのは予想できていたのですが。せめて、XXXのシーンは実写にしてくれたらまだマシだった。あと「ウイルス」の造形とか思想とかの一昔前の安っぽい感じ。2019年でこんなの目にするとは思わなかったよ…。

 ファンにはもちろん勧められないし、映画として後半まで観るなら普通すぎて退屈するくらいなのでお世辞にもおすすめとは言い難い2019年に生まれた怪作。悪い意味で歴史には残りそう。

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 「新文芸坐×アニメスタイル セレクションvol. 118 『この世界の片隅に』三度目の夏」にて。今回の目玉。なにしろ、近藤喜文監督版は日本で唯一作られた70ミリフィルムのアニメーション(アニメ様談)でかつ、今回初めて劇場でかかるという…!すごい。ゲストの片淵監督の思い出話も面白く、見ごたえのある上映でした。

 近藤喜文監督の方はニモとオーメンの空中デッドヒート、ベッドVS複葉機。終始テンションが高いが静かな雰囲気の不思議な心地。セリフもほとんどなく、ストーリーと言うよりはまさにコンセプトを表現したような作品。作画のクオリティが異常に高いし、レイアウトもすさまじい。観れて良かった。

 映像的には近藤版の方がすごいんだけど、一本の作品として観るなら出崎監督版も見応えあり。キャラクターがたくさん出てくるし、何かしら軸となる物語が想定されていたことを感じさせる映像。コンセプト映像である近藤版と対象的なダイジェスト版のような様相。リスとヒロインの姫(?)が可愛い。アニメ様が指摘してたけど、カメラワークがすごいですね。本当にグワングワン回り込むの。同じ原作からここまで違うものが生み出されてくるという面白さ。2本並べて上映してくれたことに感謝です。

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 毎年1回はこうやって劇場で観られるのありがたいなあ。Blu-rayもないし配信もされないし。今年も例によって初見の人が多かったので、毎年コンスタンスにやっていただいて、ファンを増やしてもらいたいですね。

 さて、オールタイム・ベストということもあって、しょっちゅう観てはいるんですが、今回は一味違いました。というのも、オールナイトの直前に出版された片渕監督のエッセイ集『終らない物語』を読んでいたため。『名探偵ホームズ』から『マイマイ新子と千年の魔法』制作の直前までを回顧するものですが、これがまあ抜群に面白く、かつ資料敵価値も高いという代物。『リトルニモ』をめぐる顛末も面白いのですが、やはり個人的に嬉しかったのは『アリーテ姫』にかなり尺が割かれていた点ですね。アリーテの居住する塔の大きさを知るために模型を作ったくだりであるとか、デジタル彩色で四苦八苦したあれこれとか、あの湯浅監督が「魔法使いの水晶の作画がすごい!」と評しているのをこっそり聞いていた話とか…。

 そんなわけで、何回も何回も観ている作品でありながら、実に新鮮な気持ちで観ることができました。まあ、この作品、観る度に何かしら新しい発見があるんですが…。今回注目してみたのは、前述のボックスの持つ水晶のきらめきと、金色の表現。確かに、普通にスルーしてたけど、あの水晶のキラキラしたのが全部手描きというのがすさまじい…。言われないと気づかないけども。あと、魔法使いの本の装丁とかアリーテの頭の輪っかの金色。これも工夫をこらしたということが書かれていて、改めて見ると、なるほど確かに…、という感じですね。この映画、アリーテが雑踏に消えていくラス前くらいのカットが最高に好きなんですが、ここも完成直前に変更になったとかで、片渕監督英断ですね…。ここが違うとかなり印象が違ってきますよね。

 また来年もスクリーンで観られますように!

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 片淵監督の3作品の中ではなんとなく苦手意識のあったマイマイですが、毎年観てるとなんだか慣れてきました(と言いつつBlu-rayは限定版で持ってる)。やっぱり初見の時にガツンと食らったショック、金魚のひづるとかバーカルフォルニアのあたりの現実世界のリアリティが子どもたちの空想を蝕んでいく展開がつらかったんですよね。むしろ今はあの部分こそがこの映画の魅力であり本質的な部分であることがわかるんですけども。特に昔は、新子とタツヨシがあの生々しい現実世界に踏み込む場面で、それとは直接的に関係なく貴伊子が自らのマイマイを発動させて1000年前にタイムスリップする部分がよくわからなかったんですが、『アリーテ姫』『この世界の片隅に』と続け様に観ることによって、一本の軸のようなものが見えてくるのが非常に面白い。基本的には日常ものの比較的淡々とした映画なのだけど、印象的な音楽によって飽きずに観られるのも良いところですね。一回だけだとよくわからないけど、何回も観ていくうちにどんどん面白くなっていくスルメみたいな映画。また来年!

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 オールナイト3本目だったのでぐっすりしてしまった…。空襲が激しくなる後半ではあまりにも大砲の音が大きくて度々目を覚ましました。エピローグのあたりではすっかり覚醒してたんですが、やっぱりあのあたり涙が出てきてしまいますね。満員の劇場で鼻をすする音を聞きながら観るのがベスト鑑賞ですわ…。さて、来年は『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』との2本立てオールナイトが来るかどうか…!期待。

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 ワイスピ、なんか久々に観た気がする…。4年くらい前に観たようなツイートが残ってたけど、スカイミッションを観たっぽいけど全く覚えていない…。今回はスピンオフらしいし、シリーズ多すぎるので予習なしで鑑賞。結果から言うと全く問題なかったし、「ワイルド・スピードとは…?」という疑問が残る作品だった。まああまり難しいことを考えなくてもめちゃくちゃテンション上がって最高なのだが。ドゥエイン・ジョンソンとジェイソン・ステイサムがコンビを組んであれこれやるだけで十分でしょって感じはする。勢いで押し切る感じ。

 アバンタイトルの光のロック様と闇のステイサムが画面分割で対比的に描かれるシーンがスタイリッシュすぎて冒頭から引き込まれてしまうし、お約束のいがみ合いの場面もアメリカVSイギリスみたいな感じで実に楽しい。二人と相対するブリクストンはキチガイテクノロジー集団による改造人間で、このアホみたいに強い人外野郎にアンチテクノロジーで立ち向かう後半の場面がいかにもこのシリーズっぽくて最高なんすよ。仲間の絆と車の機動力とあと棍棒が武器っていう。あえて銃とか無いのね。ハイテク武装集団+脳筋改造人間 VS サモア島民!この意外性が最高。戦闘ヘリが車ごとかっさらおうとしていくシーンもとりあえず連結しとけばいけるやろ!っていうこの感じ。いいぞ。

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 2回のTVシリーズを経て、2年生になった黄前たちの1年間が描かれる。「完全新作」という情報だけで観に行ったのだけど、まさかこの尺で1年間を描き切るとは。2クールをかけて1クールをじっくり描いたTVシリーズとは対照的で、若干詰め込み過ぎなのではないかとも思ったのだけど、これはこれでテンポが良くて観やすいし、なにより短いながら素晴らしい場面が盛りだくさんで全編見どころと言ってもいいくらい。

 見所は北宇治高校吹奏楽部に入部してきた1年生達と上級生たちとの関係の面白さ。TVシリーズから、部内の人間関係がこの作品の肝だったけれど、新たに入ってきた1年生達も個性派揃いと言うか、一言でいうとめんどくさい連中。観ながら「(うわぁ、めんどくさそう…)」と思っていたら、黄前ちゃんが「はぁ〜〜めんどくさーー」って言い出して完全にシンクロしてしまった…。くらいの面倒くささ。

 中でも、ユーフォ担当の天才小悪魔系少女である奏ちゃん絡みのエピソードは非常に印象的。「こんなに練習しても何にもならないかもしれない」と言う彼女に対して、「私、上手くなりたいんだあ…」と語る雨の中の黄前さんの姿は第1期12話の「上手くなりたい、上手くなりたい、上手くなりたい!!」を思い出させる、個人的な本作のベストシーンだ。

 そして、覚悟はしていたのだけれど、やはりスタッフロールを流れる人々の名前を見るのは辛いものがあった。事件の前に「3期」の発表があったけれど、これまで京アニの作品群の中核を担い、そして本作の総作画監督でもある池田晶子氏・西屋太志氏のお二人を失ったことで、実現はかなり遠のいてしまったにちがいない。しかし、今はただ、犠牲になった方々の冥福を祈り、傷ついた人々が癒やされることを願いたい。

 そしてまた、次の曲が始まることを願って。

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