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『普通は走り出す』のグルーヴ感が最高ー!【2018年12月に観た映画感想レビューまとめ/全10本】

投稿日:2018年12月31日 更新日:


はじめに

 TOHOシネマズのフリーパス発動したけど全然観れなかったなー。あと新文芸坐のシネマカーテンコールも行けなかったし、アップリンクの「見逃した映画特集」も…。師走はやっぱり忙しい!

 年間ベストは三が日で書きます!

今月のおすすめ!



1

普通は走り出す  100 min

予告編(ポップアップします)
監督:渡辺紘文
音楽:渡辺雄司
脚本:渡辺紘文
撮影:バン・ウヒョン

出演:渡辺紘文/萩原みのり/古賀哉子/加藤才紀子/ほのか/黒崎宇則/永井ちひろ/久次璃子/平山ミサオ/松本まりか
 MOOSIC LAB最終日に滑り込みでなんとか観れた!渡辺監督作品が毎年観れるなんてしあわせだなあ。今回はMOOSIC LABということで、アーティストとのコラボ作品なんですが、渡辺監督と組むのはトリプルファイヤー!果たしてどんな曲がどんな映像に悪魔合体するのか興味津々だったんですが、これがめちゃくちゃ合ってるんですよ!特に良かったのが、ダメな一日を過ごしてしまった渡辺監督が一日中布団の上でゴロゴロする映像に「今日は寝るのが一番良かった」がミックスされてる映像、これはハマりますね…。すげーいいよ!『七日』の時はかなりアーティスティックな映像美を追求していた感じがあったんですが、前作の『地球はお祭り騒ぎ』からかなりコメディタッチというか、積極的に物語に何かを突っ込んでいく方向に舵を切った感じがして、またこれが非常に面白い。前作同様、渡辺監督がひたすらしゃべくりまくる車中の風景、今回はかなり毒が強い感じです。映画評論家をボコボコにしたり、今流行りのクラウドファンディングで制作資金を集めるスタイルを猛烈に批判したり。もちろん、かなり虚構側によっている発言だとは思うのだけど、そこはかとなく本音が透けて見えるような気もして、観ている方がドキドキしてしまうんですよね。そういえば物語の構造もかなり面白くて、この映画は「トリプルファイヤーの曲とコラボして映画を作る渡辺監督を描いた作品」という倒錯した構造。メイキング映画、というかメタ・メイキング映画というべきか。これまでの作品と違って、「映画監督・渡辺紘文」の創作の苦悩が顕になっていて、新しい領域に踏み込んだという感じがします。方又玹撮影監督の美しいモノクロームの映像、反復するモティーフといったこれまでの要素をベースにしつつ、新しいものを取り込んでいるのも良かったですね。後半のサイケデリックな苦悩の表現とか、喋らないものだと思っていた黒崎さんが重要なセリフを喋ったりとか。ベストシーンは歯医者さんでのクソかわいい渡辺監督と燃やされる今泉(力哉)監督。金の話が出た後に置物になる大田原市長もクッソ笑ったw あと女優さんが凄まじく可愛い人ばかり揃えていて、知らない人ばかりだったので注目していきたいと思ったり。今回は特に見どころが多すぎる渡辺作品でした!必見(だけどたぶん次は栃木上映だろうな)。東京でやってたら絶対観てくれよな!ていうかそろそろ特集上映やってほしいよね。アップリンク吉祥寺とかでさ。

観た映画一覧(時系列順)


2

機動戦士ガンダムNT  90 min

予告編(ポップアップします)
監督:吉沢俊一
音楽:澤野弘之
脚本:福井晴敏
撮影:脇顯太朗

出演:榎木淳弥/村中知/松浦愛弓/梅原裕一郎/藤村歩/古川慎/塩田朋子/てらそままさき/中井和哉/山路和弘/星野貴紀/佐藤せつじ/駒田航/荒井勇樹/島田岳洋/玉野井直樹/中村文徳/横溝菜帆
 これも独立した話のフリをしながら「ガンダムユニコーン」全7話観とかないとわけがわからないという作品。「コロニー落としを事前に察知して町を救った3人の”奇跡の子供たち”」が主人公で、成人した彼らがそれぞれの葛藤を胸に、突如として現れたユニコーン3号機争奪戦に巻き込まれる、という筋立てで、ここはまあいい。特にフェニクス奪取に異常なまでの執念を上げるミシェルが過去の贖罪として行動していることがわかるパートはそれなりに見どころがある(とはいうもののサイド6での行動は許されないと思うけど)し、「アニゴジ3」と違ってちゃんとタイトルにあるガンダムが活躍してるだけでもあっちよりマシ感がある(「あくまでも」相対的なものだが…)。ひどいのがサイコフレームとニュータイプの拡大解釈が過ぎる点。サイコミュを「人の思念の実体化したもの」という科学的な解釈はいいし、これまでのシリーズとも矛盾しないと思うのだけど、「時間を巻き戻す」はさすがにやりすぎじゃないすか…。まあそういうガンダムがいてもいいけどさ…。フェニクスの背後にいる組織も結局わからなくて、なんだか妖精さんみたいな曖昧な存在になっちゃってるのがなー。ガンダムってそういうものだっけ。それから、主役メカのはずのナラティブガンダムの存在感が薄すぎるのも気になった。何の特徴もないガンダムって逆に新しいな!量産機のおっさんのほうが活躍してた。敵のゾルタンも背景がほとんど見えないからただのキチガイになっちゃてて、ポスターに出てるメインキャラクターなのに扱いが可哀想…。かといってTVシリーズワンクールやったとして面白くなったかは微妙だと思うけど。ヤマトでもガンダムでもSFの皮を被っておきながらスピリチュアルな方向に行ってしまうのが多いイメージ。面白くなればいいけど、つまらないのがね…。良かった場面はヘリウム3の備蓄タンクを力技で臨界させるネオジオング2。あの機体もバランスブレイカーだよなー。お話もモビルスーツもインフレしすぎてついていけない。


3

ボヘミアン・ラプソディ  Bohemian Rhapsody135 min

予告編(ポップアップします)
監督:ブライアン・シンガー

脚本:アンソニー・マッカーテン
撮影:ニュートン・トーマス・サイジェル

出演:ラミ・マレック/ルーシー・ボーイントン/グウィリム・リー/ベン・ハーディ/ジョセフ・マッゼロ/エイダン・ギレン/アレン・リーチ/トム・ホランダー/マイク・マイヤーズ/アーロン・マカスカー/マックス・ベネット
 洋楽全く聞かないのでクイーンとやらにも全く興味がなかったんだけど、猫が可愛いというので観に行く。どれくらい洋楽に興味が無いのかというと、本作の主人公であるフレディ・マーキュリーが『魁!クロマティ高校』のキャラだと思いこんでたレベル。で、そんなレベルの知識で観に行ったわけですが、これがとってもいい映画で。知識がないので史実との違いとかは全然わからないんだけど、逆にその方が良かったみたいですね。クイーンの映画ではあるのですが、中心となるのはやはりフレディ(ラミ・マレック)で、実質彼の伝記映画のような仕立て。キャラクター的にもフレディが濃すぎて、申し訳ないんですけど、他のメンバーの名前を覚えて帰ることができませんでした…。すみません。音楽映画という側面とともに、優れたLGBT映画でもあって、ゲイであるフレディの孤独と悲哀が物語の中心に据えられているんですが、特に良かったのはアメリカツアーの道中、妻のメアリー(ルーシー・ボーイントン)へと電話をかける場面。いかにも男ウケの良さそうなトラックの運ちゃんが、受話器を握るフレディの脇を通り過ぎる。メアリーと話しながら、つい目で彼の姿を追ってしまうフレディ。トイレに入っていった彼の後を追おうかと逡巡するフレディ…。ゲイとしてのフレディの孤独感が伝わってくるいい場面。ライブ・エイドの直前に運命の人・ジム・ハットン(アーロン・マカスカー)に再会し、その足で疎遠になっていた両親の元へと彼を紹介しに行くくだりもとても好きな場面。映画の最後、人生の最後に素晴らしい人に出会え、そして圧巻のライブパフォーマンスへと雪崩れ込む展開の巧みさ。多分このあたりは脚色してるんだろうなあ、とは思うものの、映画としてはすごく正解だと思う。そして、もちろんたくさん出てくる猫さんたちもかわいかった!こういった映画がアメリカでも日本でもヒットしているのを見ると、やはり世界は少しずつ良くなっていると思わざるを得ない。そういった意味でも「希望ある映画」だ。


4

来る  134 min

予告編(ポップアップします)
監督:中島哲也

脚本:中島哲也/岩井秀人/門間宣裕
撮影:岡村良憲

出演:岡田准一/黒木華/小松菜奈/松たか子/妻夫木聡/青木崇高/柴田理恵/太賀/志田愛珠/蜷川みほ/伊集院光/石田えり/松本康太
 「ぜぇってええ結婚したくないし子供もほしくないな」と思わせてくれる良映画。もうアバンタイトルの田原さんちの十三回忌の場面からしてもう嫌すぎる。多少誇張されて描かれてるなー、とは思ったんだけど、それにしてもリアルだ…。法要の最中に後ろで子供たちが全力で走り回ってるとことか。主人公の秀樹(妻夫木聡)はキラキライクメンパパでブログ更新に夢中なんだけど、この家庭も壮絶で、あー、たしかにこういう家ありそうだわー、って思ってしまった。思えば法事の時からそんな雰囲気あったけどね。2ちゃんねるとかでよく見る、「全く家事にコミットしない夫」がそこにいて、さらにそれがブログで「めっちゃできるイクメンパパ」を演じているという地獄。そりゃあ黒木華も病むわな。「来」なくても十分地獄。で、途中で気づいたんだけど、この映画、どんどん主人公が入れ替わってくのね。中盤の主人公となる黒木華のやさぐれた演技は上手いねー。正直、(名前に反して)ビジュアルは華やかな女優さんじゃないと思うんだけど、演技が本当に丁寧。盛り塩を踏み砕くシーンの不気味な感じとか、ほんといい。除霊師がキャバ嬢のあたりからは、白石晃士感がすごく出てきて、「白石監督だったらもっと雑で面白いだろうな〜」とは思ったものの、中島監督らしい外連味も十分発揮されていて良かったと思います。特に良かったのは沖縄からやってきたテンションも霊力も高そうなおばあちゃん霊能力者4人組がタクシー乗ってる場面ね。ああいう、いかにも活躍しそうでキャラ的にも立ってるやつらを一蹴するの、痛快だし、「アレ」の強さがすごく伝わってくる。なんか白石監督のやつでも「いかにもな強キャラが即死」ってあったよね。で、その後の新幹線おじいちゃん4人組もいい。「誰か一人はたどり着けるじゃろ…」なんて、すごく悲壮感があって、敵の強さも表現されていて。彼らが正装するのがカプセルホテルってのもあのアンバランスさがねー。いいねー。並べられた鏡、割れた鏡を使った「人の二面性」を暗示するかのような表現も良かったですね。イクメンパパのキラキラブログについて「複雑な現実から逃れようとする場所」という指摘にはハッとさせられるとともに、同時代性を感じました。謎の存在の恐怖、生きている人間の恐怖、どちらも堪能できるとてもよいホラー映画です。おすすめ。


5

デッドバケーション  27 min

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監督:八幡貴美

脚本:八幡貴美


出演:原愛音/GALAXIEDEAD/岩井拳士朗/生越千晴/亀田侑樹/ニクまろ/有佐/メクダシ・カリル
 MOOSIC LABにて『普通は走り出す』と併映。27分という短編ながら、綺麗にまとまっている印象。間のとり方が独特というか、良く言えば瑞々しい、悪く言えばたどたどしい感じがして、好みが分かれるところだけど、インディーズ系を観ている人々にとっては好ましく映るはず。主人公・ミツコ(原愛音)と地縛霊・ケイスケ(GALAXIEDEAD)の発泡酒とビールのくだりとか、隣の部屋のゲイ(ニクまろ)とのタラタラセッションのあたりとかすごく好き。曲もこの雰囲気に合ってるよねー。一番好きなのは謎の神様(メクダシ・カリル)がスッと神様らしく現れたかと思ったら普通に歩いて画面外に出ていくところ。お前、消えるんじゃないんかーい、というツッコミと、そこに至るまでのびみょーに長い間が面白さマックス。ラストカット、ミツコがちゃんとビールを用意しているところがまたいいよね。また物語が始まるような予感がするし。90年台から00年台っぽい風物や画面の質感が、まあよくありがちといえばそうなんだけど、映画全体の雰囲気と妙にマッチしていたのも面白い。主演の原愛音さん、この人の演技もいいですね。


6

カランコエの花  39 min

予告編(ポップアップします)
監督:中川駿

脚本:中川駿
撮影:伊藤弘典

出演:今田美桜/永瀬千裕/笠松将/須藤誠/有佐/堀春菜/手島実優/石本径代/山上綾加/古山憲正/イワゴウサトシ
 開館2日目のアップリンク吉祥寺、「見逃した映画特集5years」にて。評判良かったのに観てなかったやつですね。いわゆる(?)「良かれと思って」映画…。ものすごく後味が悪い…。花ちゃん(山上綾加)、良かれと思ってやったのにね…。月乃ちゃん(今田美桜)もね、傷つけないようにと思って最後ああいうふうにフォローしたのに…。あのあたりのそれっぽさは、今の時代にすごく合ってる。LGBTであることを隠すのではなく、ありのままを受け止めてほしいというのはとても同時代的な感覚だとは思うのだけど、それを受け止める方との感覚の齟齬が非常にリアルだ。それは例えば、実際にああいう状況になったとして、「だから何なん??」と咄嗟に言えるのか、という存外に身近な問いかけなのだと思う。しかもよりによって月乃ちゃんがその「フォロー」しちゃうのがね…。エンドロールで内幕が明かされるんだけど、なるほどね、という。最後に、あの場面の明るいガールズトークを流すというセンスの良さと伏線を回収する構成の巧みさ。緊張感のある自転車二人乗りの場面も良かったなあ。その後の不穏な展開を予感させるところもあって。主人公2人の女優さんも素晴らしかったんだけど、個人的に気になったのが、問題の発端となる2人の男子。いかにも高校生、といった演技が巧すぎるし、誰がLGBTかが判明した後に見せる戸惑いと恋慕の仄めかしも物語に深みを与えている。39分の短い作品だけど、とても完成度の高い作品だった。


7

眠り姫  80 min

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監督:七里圭
音楽:侘美秀俊
脚本:七里圭
撮影:七里圭/高橋哲也

出演:つぐみ/西島秀俊/山本浩司/大友三郎/園部貴一/榎本由希/橋爪利博/張替小百合/横山美智代/五十嵐有砂/馬田幹子/坂東千紗/北田弥恵子/斉藤唯/新柵未成
 こちらもアップリンク吉祥寺にて。噂には聞いていたけど、凄まじい映画だ…!基本的に人物が登場せず、情景描写だけが延々と流され、そこに登場人物たちのモノローグがかぶっていくという唯一無二のストイックな構成。しかし、ストイックすぎてちょっと寝ちゃった。ごめん…。原作、山本直樹先生なんですね。道理で、エロティックな声が聞こえてきたわけだ。主人公の青地役はつぐみさん、印象的な男・野口は西島秀俊さん。この二人の静かな声がとてもいい。ラジオドラマのような淡々とした調子に、抑制された、しかし痛烈な感情がかぶさっていく。カメラは主観であったり、誰の目線でもない状況描写だったりするのだけど、とりわけ良かったのが、冒頭の青地がトイレから出てきて、また戻る場面。「閉めたはずなのに開いている」というくだりから、わずかに覗くトイレの空間に分け入っていく、このホラーのような秘めやかな感じ。最後にこの同じ情景が視点を変えて変奏されるのだけど、これまで一切出てこなかったものが闇の中に浮かび上がるように映し出されるラストカットは夢に出てきそうなほど印象深い。侘美さんの音楽もこれまた素晴らしいので、いつかどこかで再見したい作品。


8

くるみ割り人形と秘密の王国  The Nutcracker and the Four Realms100 min

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監督:ラッセ・ハルストレム/ジョー・ジョンストン
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
脚本:アシュリー・パウエル
撮影:リヌス・サンドグレン

出演:マッケンジー・フォイ/キーラ・ナイトレイ/モーガン・フリーマン/ヘレン・ミレン/ミスティ・コープランド/セルゲイ・ポルーニン/エウヘニオ・デルベス/ジェイデン・フォーラ=ナイト/マシュー・マクファディン/リチャード・E・グラント/エリー・バンバー/トム・スウィート/アンナ・マデリー/オミッド・ジャリリ/ジャック・ホワイトホール
 話はなんだかフワッとしたよくあるビルドゥングスロマンなんだけど、とにかくビジュアルの華やかさが強い。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの壮大とも、「ハリーポッター」シリーズの黒くてジメッとした雰囲気とも違ったディズニーらしいカラフルで、そして少し浮ついた非現実感が楽しい。崖と急流の上に立つ宮殿、ネズミが寄り集まった奇怪な化物(後半になるとこいつが頼もしくてかわいいんだわ)、マザー・ジンジャー(ヘレン・ミレン)の手下のマトリョーシカは不気味だけどコミカルだし、マザー・ジンジャーの城でもあるジンジャー・ロボ(仮)はスチームパンク的なテイストが盛り込まれていてめっちゃかっこいい。特に良かったのが、ブリキの兵隊たちの質感と動き!普通のおもちゃの兵隊が等身大まで巨大化され、整然と列をなして動いていくのがなんとも楽しい。そして、主人公クララ役のマッケンジー・フォイの可愛さは必見!後半はクラシカルな赤い軍服姿なんだけど、これがもう最高!軍服フェチじゃないけど、これはヤバイわ…。帽子かぶるとさらに完璧!これだけ元取ったわ…。母の死を乗り越えていく少女の話ではあるのだけど、全く重たくなく、サラッと観ていけるのもいいですね。クリスマスに観たい映画。


9

おとなの恋は、まわり道  Destination Wedding87 min

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監督:ビクター・レビン
音楽:ウィリアム・ロス
脚本:ビクター・レビン
撮影:ジョルジョ・スカリ

出演:ウィノナ・ライダー/キアヌ・リーブス
 ウィノナ・ライダーとキアヌ・リーブスのラブコメなんだけど、この二人がひたすらくっちゃべってる驚異の映画。本当にずーーーーーーーーっと喋ってて、二人でいて沈黙する瞬間がほとんどない!!草原でおっぱじめた時も腰を振りながら実家でのママの思い出とかをひたすら語り続けるキアヌに爆笑しつつちょっと引いた…。初ファックでママの話をするなっ!しかも内容があるようで全く内容がない話をずーーーーーーーーーとしてて、このカップルマジでやばいよ…。押井守系のわからなさじゃなくて、本当に中身がない感じのわからなさなので、虚無。もうこいつらの会話聞くの飽きたわ…早く帰りたいわ…と思い始めたらエンドロールが始まる87分という親切設計。で、結局、つまらないかというと、別にそんなことはなくて、普通に面白いんですよね。あの居心地の悪さのようなものに浸るのが楽しいのなら、イケる。ベストシーンは二人で草原を散歩してたらライオンが出てくるとこ。何この映画。


10

シュガー・ラッシュ:オンライン  Ralph Breaks the Internet113 min

予告編(ポップアップします)
監督:リッチ・ムーア/フィル・ジョンストン
音楽:ヘンリー・ジャックマン
脚本:フィル・ジョンストン


出演:ジョン・C・ライリー/サラ・シルバーマン/ガル・ギャドット/タラジ・P・ヘンソン/アラン・テュディック/ジャック・マクブレイヤー/ジェーン・リンチ/アルフレッド・モリーナ/エド・オニール/ショーン・ジャンブロン/パメラ・リボン/ジェニファー・ヘイル/ジョディ・ベンソン/ペイジ・オハラ/リンダ・ラーキン/アイリーン・ベダード/ミンナ・ウェン/アニカ・ノニ・ローズ/マンディ・ムーア/ケリー・マクドナルド/イディナ・メンゼル/クリステン・ベル/アウリー・クラバーリョ
 前作は「社畜のおじさんが反乱を起こしたらちょっとだけ待遇が良くなった話」だったけど、今回はヴェネロペのお話。ヴェネロペ視点で見ると彼女が開放される話だし、ラルフの立場からしてみると「子離れ」の話でもある。ラルフによる過剰なまでの束縛・過保護が「どこにも行けない/繰り返しの毎日」であるゲームセンターの世界とリンクし、それが自由で広大なインターネットの世界と対比されるというシンプルな構造。この可視化されたインターネットの世界の描写がまた素晴らしく良い。Twitterこそでてこないものの、Google、Amazon、eBay、Instagramといった現実のサービスがそこかしこに現れてリアリティを醸し出すのはもちろん、例えばスパムやポップアップブロック、メッセンジャーなんかがコミカルに擬人化されていて、これを見ているだけでとても楽しい。「3Mbps以下は罰金になります」とかね。一押しの擬人化キャラはノウズモアさん!「検索バー」を営む彼はGoogleとか検索サービスの擬人化なんだけど、客が何か口にするたびに候補を予測しようとする癖があって、あー、文字だとただ便利なだけだけど人になるとクソうぜえなってなるのが面白い。あとeBayに出品されてる『シュガー・ラッシュ』(ゲームの方)のハンドル(27,000ドル!)を手に入れるために、ラルフがYouTuberになるという超展開も最高だった。
 この映画はヴェネロペという少女が親(ラルフ)の束縛を逃れて世界へと乗り出していく話だけど、ラルフを束縛する恋人として読むならばフェミニズム的な視点も生まれる。多分制作側もそのような内容を意図しているだろうと思うのは、予告編でも印象的な「ディズニープリンセスの部屋」の場面。予告だと「強くてたくましい男性に救ってもらったと思われてる?」「そう、でもそれがなんなの?」だけど、本編ではより直接的な表現で、それを歴代のディズニープリンセスというキャラクター資産を使ってやってしまうというところは流石ディズニーといったところ。このシーンは、「水面を覗き込むと歌が始まる」とか(メリダを指して)「あの子はスタジオが違うの」なんてメタなセリフも楽しいし、私服姿のプリンセスたちのだらけっぷりも見どころ。全体のテンポもサクサクしていて2時間があっという間の楽しい作品で万人に超おすすめ!

まとめ

 というわけで、2019年のエイカツ!はこれにて終了!年間ベスト記事はまた別に書きますね。来月はぱっと見観たいやつがあまりないけど、「未体験ゾーンの映画たち2019」でつまらなそうなB級映画でも観ようかな…。

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