はじめに

 今月はここ5年くらいで一番本数が少なかった…。東京国際映画祭のあとはいつもこんな感じだなあ。オールナイトも行かなかったし。

本の方のログ

今月のおすすめ!

[cf_cinema format=3 no=1 post_id=9612 text=” 「不慮の事故で命を落とした夫が幽霊となって妻を見守る…」。あー、はいはい良くあるお涙頂戴話ねー。なんか幽霊も布かぶっただけで手抜き感が半端ないし、これはスルーだなー。なんて思ってたんですが、映画クラスタの評判が妙に高いので、「多分おもろないけど一応観ておくか…」くらいのテンションで映画館に赴いたんですが…。アイエエエエエ!!!めちゃくちゃいい!!っていうか普通に年間ベスト級じゃん!!ビジュアルとあらすじで損してるよこれ!あらすじ、「不慮の事故で命を落とした夫が幽霊となって妻を見守る…」、まあ確かに間違ってはないんだけど、タイムスパンで言うと映画全体の1/3もないし、物語内時間的にはほんの一瞬の出来事なんですよねこれが。このミスリードというか予想外の方向にすっ飛んでいくのが気持ちいい。考えてみれば当然なんだけど、妻・C(ルーニー・マーラ)が家を出ていっても、夫・M(ケイシー・アフレック)はそこに残るわけで、そこから長い長い本編が始まるわけです。このとてつもない時間感覚は幽霊を主人公にしないと表現し得なかっただろうし、そこでタイトルである『A GHOST STORY』が大きな意味をもってくる。妻と死んだ夫という「家族の物語」ではなくて、あくまでも「幽霊の物語」なんですよね。しかもわざわざ「A」が付いている孤独な幽霊の物語。ただ幽霊が家の中にいる、という非常に地味な(しかし非常に豊かな)物語を支えるのは、恐ろしいほど印象的な完璧に近い映像表現。特に長回しの場面が素晴らしくて、例えばMが幽霊となって蘇る病院のカット。部屋の片隅からカーテンの向こう側に小さく遺体が置かれたストレッチャーが写っている。遺体には白い布がかけられ、Cがそれをめくり夫の顔を確認し、部屋を出ていく。機械類の立てる唸りだけが画面を流れていく。何かが起こりそうな気配が高まっていくが何も起こらずにカメラはじっと白い布を写し続ける。ふいに白い布が起き上がる。といった感じで、タイミングが完璧すぎる。もしくは家に帰ってきたCがパイを貪り食べる場面。ここでは感情が高ぶっていくルーニー・マーラの演技が上手い。ただひたすらにパイを食べるだけの場面で尋常ではないくらい長い(5分くらいはある)にもかかわらず目が離せない。そして画面の奥の奥にトイレが置かれているという構図も完璧。この場面がこの映画の中で一番好きだし、なんなら今年の映画ベストシーンかもしれない。そして、音。あるものを取り出すため、幽霊となったMはひたすら壁をこすり続けるのだけど、この音はどうしても印象に残ってしまう。この「あるもの」を取り出した後のオチも完璧なタイミング。今年ベスト3には絶対入れる!!これだけ地味な話なのに何回でも観たくなるのは本当にすごいな。”]

観た映画一覧(時系列順)

[cf_cinema format=3 no=2 post_id=9596 text=” 控えめに言ってクソ面白くねえ。前作の「機動増殖決戦都市」はいわゆる「メカゴジラ詐欺」だったわけですが、今回は「ギドラ詐欺」!予告とか前作の流れからすると「キングギドラ」が出てくると思うでしょ?はい出ませーーーん!!!その代わりに自称「ギドラ」とかいう金色のマンダが3匹出ます…。いやー、新しいねー。新しすぎてもはや別物だよ!ギドラの正体とかメトフィエスの思惑なんかはとても面白かったし、「観測することで顕現する」というあたりもすごくSFしていていいんだけど、まあとにかく話が長くてつまらん…。虚淵さんの悪いところが全部出ちゃってる感じで、序盤から延々と続く説明シーンに辟易…。傑作と思っている『楽園追放』でも中盤の解説シーンが長すぎると思ってるくらいなので、ああいうのがだめな人にはよりつらいと思います…。怪獣映画なのに人間が出しゃばっちゃ駄目でしょ。もちろん、『キングコング対ゴジラ』とか『ゴジラVSビオランテ』とか人間ドラマを怪獣たちに絡ませている名作もありますけど、あくまでも怪獣たちが暴れるという前提は崩れていないわけですよ。こっちのGODZILLA、暴れるどころかほとんど移動すらしませんからね…。「怪獣を概念として再解釈する」という評を見かけましたが、まさにそんな感じで、怪獣という存在を人間たちがあーだこーだ解釈しようとする会話劇がメインなので怪獣映画として観に行くと非常に退屈。あ、あとモスラの影もチラチラしていて「お、これは『三大怪獣地球最大の決戦』(ラドン抜き)をアニメで再解釈するのかな??」とちょっとだけ思ったんですが、普通にそんなことはなかったぜ!まあこのモスラの使い方は上手いなと思うけども。良かったシーンとしてはギドラの出現でパニックになるアラトラム号の場面は面白かった。結局、「怪獣惑星」のアバンのあたりが一番面白かったな…。三部作ひっくるめて「GODZILLA詐欺」!今年のワースト候補ナンバーワン。小説版(1と2)は傑作だから、こっちを忠実に映画化してほしいなあ。”] [cf_cinema format=3 no=3 post_id=9601 text=” キャッチコピー詐欺ですね、これは…。「史上最悪!」とか「最も残虐な悪が誕生する!」とか煽っといて、ヴェノムさんめっちゃいい人(人じゃないが)じゃん!格闘最強、銃弾無効、後ろからの敵も見逃さないしバイクの運転もお手の物、おまけに宿主の恋愛カウンセリングまでやってくれる!予告だとガンガン人間食べるイメージだったけど、基本悪い人しか食べてない。おりこうやん…。飼い主(エディ(トム・ハーディ))の言うことちゃんと聞いてて、全然暴走しない。予告編でやってた町のチンピラ食べちゃうシーンも今か今かと思っていたらエンドロールが始まっちゃってびっくり笑 この映画、単体だからかもしれないけど、初めて観る人はヴェノムがヴィランだなんて思わないんじゃないかなー。ポスターと予告がめっちゃ風評被害で笑うw そういえばエンドロール後のおまけが『スパイダーバース』だったんだけど、これも全然意味わからないよなー。本編でスパイダーマン一瞬も出ないし。まあ『スパイダーバース』観に行った時に「ああ、そういえば」と思い出すのは面白いかも。ところで、エディとヴェノムの関係に話を戻すと、観ている最中に思い出してたのは『血界戦線』のハマーとデルドロ。中身の人がポンコツで寄生してるほうがヤベーやつってのも共通してますね。実写版『血界戦線』いけるやん。内藤先生、アメコミ好きなんやなあ…。エディとヴェノムの脳内会話もコミカルでよかったし、身体のドロドロを自由に変化させて戦うアクションシーンも盛り上がる。若干、尺が短くて、もう終わり??とおも思ったんだけど、綺麗な終わり方で良かったです。スパイダーマンと絡んでくるんだろうけど、こっちが主人公の単体作品ももっと観てみたい。”] [cf_cinema format=3 no=4 post_id=9608 text=” は、話が全くわからねえええーーーー!いや、これは完全に自分が悪いんですが、前作ちゃんと観たはずなのに人間関係が複雑過ぎてわからなかった…。ハリポタ自体も素人なのもありますけど…。それはそれとして、タイトルにあるファンタスティック・ビーストがほっとんど出てこないのはいかがなものか?前作で物語の中心付近にいたはずのファンタスティック・ビーストたちが周縁に追いやられて、物語に絡むどころか本当にほとんど出てこないの。活躍したのはボウトラックル(木のやつ)とニフラー(もぐら奴)ぐらいで、あとズーウーが大暴れするくらい(物語にはほぼ関係ない)。劇場でファミリー満載で観たんですが、子どもたち完全に飽きてたよ…。ファンタスティック・ビースト詐欺だよこれ…。あと人間関係が複雑すぎる。グリンデルバルド…は前作の悪役なので覚えてたけど、クリーデンス…誰…???みたいなレベル。前作で大好きだったパン屋さんのジェイコブ(ダン・フォグラー)もほんとにただそこにいるだけって感じだった。クライマックスの戦い(というか防戦)でもいてもいなくても変わらなかったし。一応、物語を進めるモチベーションにはなってるんですけどね。これだったら前作できれいに別れたままの方が良かったなあ。ジョニデのグリンデルバルドとジュード・ロウのダンブルドア先生は非常に良かった。ていうかダンブルドア先生は昔からあんな感じだったのか…。もちろん理由はあるんだけど、自分の手をなるべく汚さないの、クソだなって感じだけど、好き。あと、唐突に出てくるダンブルドア先生の旧友らしいニコラス・フラメルおじいちゃん(ブロンディス・ホドロフスキー)が可愛い感じだった。すっごい消化不良だけど、自称「ダンブルドアの弟」が出てきたので次も観る…。不思議可愛い動物にはもう期待しない…。”] [cf_cinema format=3 no=5 post_id=9622 text=” 前作は「こりゃダメだ」って匙投げたんだけど、今回はいいじゃないですか!前回のよくわからない総集編+新作カットじゃなくて全編新作カットってだけで好印象。っていうか前回の印象が悪すぎるのか?いつもの京田作品らしく、エウレカセブン多宇宙を舞台にした作品だけど、『ポケットが虹でいっぱい』で慣れてるので無問題。綺麗に終わってるTVシリーズの続編作るより、こうやって複数の視線から同じ多宇宙を二次創作的に解釈したり再構成したりするほうが建設的だよね。幼いアネモネが地上に出るための道を辿っていくアバンタイトルがまあ実にいいね。これまでも現実世界の地名とかが出ることはあったけど、今回は日本の日常世界からスタートするのがすごくいい。もちろん、謎の侵略者はいるし、アネモネの家も地下にあるわけなんだけど。それっぽい看板とか日本語の標識とか「風の塔」とかがあるおかげで、もう一つの世界なんだけども、妙なリアリティが出ていると思う。おなじみのキャラクターたちがスターシステム的に全く別の役柄を演じているのもこれまでの流れだけど、デューイの立ち位置とかが新鮮だったなー。『交響詩篇エウレカセブンAO』は未見なのもあって、もう全然解釈できないんだけど、単純に物語としてちゃんとしているので全然観れましたね。思えば、アネモネが主役の作品って初めてだし、それだけでもある程度価値があると思う。ただ、劇場作品にしては作画が……なのは気になりましたね。前作の新作パートは比較的ちゃんとしてたと思うんだけどな…。とりあえず三部作の最後に期待!”]

まとめ

 5本しか観れなかった上に40%が外れという散々な月でした。『ア・ゴースト・ストーリー』は年間ベストに絶対入れるけど!

 さて、来月はアップリンク吉祥寺がオープン!「見逃した映画特集Five Years」で見逃してた今年の作品を中心に観たいと思います。あとTOHOのフリーパスが発動予定なので来月はかなりたくさん観れそう!年間ベストもやります!!