目次
はじめに
今月もあまり読まなかったなー。残業もほとんどしてないのに…。でも金は使っているという…。今月だけで30,000円分くらい本買ってる…。なんで…。来月は積読消化月間にしよ…。
映画の方のログ今月のベスト1冊!
デニス・E・テイラー『われらはレギオン1 AI探査機集合体』
[amazonjs asin=”4150121788″ locale=”JP” title=”われらはレギオン1 AI探査機集合体 (ハヤカワ文庫SF)”]なろう系異世界転生+ディストピア+第四次世界大戦+ポストアポカリプス+宇宙軍事SF+『映画ドラえもん のび太の創世日記』(あるいは小川一水先生の大傑作大河SF『導きの星』)というSFごった煮というかSF闇鍋みたいな小説。これだけの要素を突っ込んでも破綻しない上に、それぞれの要素に割り当てられた個々のエピソードが実に良い味わいでどれもこれも続きが読みたくなる。ざっくりとしたあらすじを説明すると、SFオタクのプログラマー・ボブがSF大会で車にはねられ、気付いたら1世紀ちょい後に仮想人格(劇中ではレプリカントと呼ばれる)として復活…が復活した先はキリスト教原理主義が支配する(ほぼ)異世界のアメリカだった!彼は過酷な競争を勝ち残り、恒星間探査船ヘヴンのAIとして大宇宙に飛び立つことになるのだが、折しも緊張の極みを迎えていた世界情勢はボブの出立を契機として爆発、第四次世界大戦が勃発し人類は9割9分くらい減少。一方、最初の星系に到着したボブは自身の分身をポコポコつくり次の惑星へゴー!以下繰り返し。という感じの話(ざっくり説明するのが難しい)。この到着した恒星系で自身のコピーをどんどん作ってどんどん別の場所に飛び立っていくというのが味噌で、同じ人格から分岐したはずなのにちょいちょい人格がずれていくし、行く先々で様々な個別の物語に分岐していく。地球に戻った組は生き残った人類のサバイバルに付き合い、ファーストコンタクトを果たした個体は原住生物の発展を見守り、また敵のブラジル帝国の探査船と激しい戦闘を繰り広げたりする。そういえば、宇宙戦闘の様子はこないだ出てたジェイムズ・L・キャンビアスの『ラグランジュ・ミッション』ライクなミサイルの装弾数や相対速度を計算していくリアル系。といってもプラズマ兵器やビーム兵器も出てくるよ。語り口も『火星の人』を彷彿とさせるチャラい感じでトレッキーネタやSFネタが10ページに一回は出てくる。非常に読みやすい。そして最初からちゃんと三部作と明言され、今年中に全部出るというのも嬉しい。うーん、次巻が待ち遠しい。!
おすすめの新刊!
新刊の定義は過去3ヶ月以内くらいに発売された本でお願いします…
九井諒子『ダンジョン飯』第6巻
[amazonjs asin=”B07BVMWHMF” locale=”JP” title=”ダンジョン飯 6巻 (HARTA COMIX)”]6巻だしそろそろ息切れだろう…という懸念を吹き飛ばす面白さ。とりわけ偽物の話(シェイプシフター)はめちゃくちゃ面白かった。これまでのエピソードの積み重ねが効いている。料理対決?で見分けるというのもらしいよね。美形のセンシは誰でもわかると思うんだけど(しかし劇中の誰もが気づかないというギャグがベタベタだけど面白い)、最後に残った二人のマルシルは確かにどちらも言いそうなことを言っているので本当にわからなかった。それにしてもファリンがかなりヤバイ状況になってるのに、ライオスは変貌したファリンを観るなり「かっこいい!!!」とか言ってるし、この辺のキャラクターのブレなさホント好き。真面目に考えてるのがチルチャックぐらいなんだけど、不思議とバランスが取れているというか、この独特の雰囲気いいよね。制約があるとはいえ、死んでも回復可能という点は賛否分かれると思うけど、それゆえにファリンの置かれた状況であるとか、黒魔術の恐ろしさのようなものが際立ってくる。夢魔の酒蒸し美味そう。わけわからんけど。
ピーター・トライアス『メカ・サムライ・エンパイア』
[amazonjs asin=”4153350370″ locale=”JP” title=”メカ・サムライ・エンパイア (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)”]前作は正直言って「表紙詐欺じゃん!」と思ったのですが(訳者あとがきでふんわりと触れられてるのが面白い)、今作は一転してメカバトルに次ぐメカバトル!お腹いっぱい!人もいっぱい死ぬよ!前作は腹の出た中年のおっさんだったけど、今回は腹の出たオタクが主人公。バークレー陸軍士官学校の機甲課(メカパイロット養成)を受けるもあえなく玉砕するけど、いろいろあって民間軍事会社に拾われシェイプアップ!巻き込まれ型の主人公で、訳者あとがきでも言われてるけど、『機動戦士ガンダム』とかでおなじみの展開でわかりやすい。さえないオタクがイケてるやつに変身していくあたりは、アーネスト・クラインの『ゲームウォーズ』(スティーブン・スピルバーグ監督『レディ・プレイヤー1』の原作)の中盤の展開を思い出しますねー。戦闘シーンはひたすら凄惨で最後は必ず取っ組み合いの泥仕合、敵はナチスのバイオメカ!死体でできた生体装甲!そして戦闘の合間の学園モノラノベ展開!美少女メカパイロットもたくさんでるよ(結構死ぬけど)。推しはもちろん第三帝国からの交換留学生。メインヒロインだし。あ、あと前作のあの人とかあの人とか出ます。前作に引き続き、和洋混交の歪なディストピアも良く出来てますねー。日本人登場人物のそろそろナチス対大日本帝国が始まりそうですけど、今後の展開が楽しみ。
大樹連司『GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』
[amazonjs asin=”4041063450″ locale=”JP” title=”GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ (角川文庫)”]前作の『GODZILLA 怪獣黙示録』も最高だったけど、今回はついにメカゴジラが!…出ない…!しかし、そこに至るまでにプロセスだけでもお腹いっぱいで大満足!体裁は前作と同じく、地球脱出直前に編纂された、生存者たちへのインタビューという形式。マックス・ブルックスによる傑作ゾンビパニック小説『ワールド・ウォー・Z』と同じ形式ですね。映画版はその形式を全く無視してペプシのCM映画になってるのでクソ(コカ・コーラ原理主義派)。この形式、一節が短いというのもいいし、様々な視点から一つの事象を掘り起こしていくことで、ドキュメンタリー的な面白さが生まれている。アニメでも出てるホバーバイク(43式偵察挺)に現地徴用の少年兵を乗せてゴジラの足止めさせなくてはいけなかった軍人の話とか切ない。しかも一人が犠牲になって足止めできるのが100メートルとかそんなんなんですよね。メカゴジラ建造の時間を稼ぐため、老若男女を使い尽くし、ヒマラヤ山脈を2000発の熱核弾頭で崩壊させるというすさまじい消耗戦!果たしてメカゴジラは起動するのか?!(言わずもがな)それにしても、前作に引けを取らない東宝特撮愛の数々。初っ端から「妖星ゴラス」で始まりますしね。地球の全熱核兵器を叩き込んでも破壊できないゴラスを狙撃できるゴジラパイセンさすがっす。北極にいたのもああいう理由かー。あとガイガン!ガイガン好きの人は必読!「ガイガン、ガイガンはどうなりましたか?!」は名台詞だなー。あと例の蛾みたいな怪獣も出るよ。原作と同じく卵を運ぶ展開もあります。ところで、今作で地球上の人類ほぼ滅亡して、報告者であるサカキ大尉も多分死んでるんだけど、次作はどういう体裁と展開になるんだろうか…。地球残存人類の覚書みたいな形で10,000年の時を記述するとすればそれはそれで面白い。どう文明が衰退していったのか。アニゴジはまああれでいいんだけど、こっちの方が映像化してほしいんだよなー。
山本さほ『岡崎に捧ぐ』第4巻
[amazonjs asin=”4091792472″ locale=”JP” title=”岡崎に捧ぐ 4 (BIG SUPERIOR COMICS SPECIAL)”]いやー、今回も面白かった!いよいよ山本さんたちが社会に出る話。『無慈悲な8bit』の方で時々出てくるゲーム屋のバイトの話とかがついに登場。エピソード的には山本さんと岡崎さんの行き当たりばったり突貫大阪旅行のあたりが面白い。社会に出たことで岡崎さんの出番が若干少なくなり、山本さんが社会のあちらこちらをフラフラと漂っている様子は永田カビ先生の『一人交換日記』を思い出す。美術予備校の話とか、ギリギリ経営のリサイクルショップの話とか、まあ生々しい。リアルだ。現実だから当然なのだが。山本先生の絵は一見するとあっさりとしたテイストなのだけど、どこか邦画っぽい空気感、あの曇り空的なジメッとした感じがにじみ出ていて、今巻で語られたような経験が作風に反映されているようにも思える。ところで、自伝的体裁を取ったこの作品、必然的に現在に到達した時点で連載が終わってしまう(=現実のストックが無くなる)と思うのだけど、それはそれで素晴らしく綺麗に完結するだろうし、山本さほの代表作の一つになることだろう。衝撃的な引きで終わる今巻だが、次巻である程度物語としては一段落という感じなのかな。とにかく岡崎さんのこの後が気になりすぎてググってしまった…。ノンフィクションだと原稿が描かれてなくてもネタバレを見れるのが良いですね。
まとめ:その他良かった本&来月読む本
その他良かった本
石井さだよし『解体屋ゲン』シリーズ
[amazonjs asin=”B079NNVH1Z” locale=”JP” title=”解体屋ゲン 42巻”]kindle Fire HD8を買ったので(プライム会員割引で5,980円!安い!)、案の定どんどん買ってしまった…。30巻まで持っていたものを最新42巻まで続々と購入。1冊135円!安すぎる…。本当にワンタップで買えるのがいいよね。印象深かったのは外国人研修生の話ですね。やっぱりそうなるよなー…。実際にこういうことがそこかしこで行われてるんだろうなーという暗い気持ちを吹き飛ばすゲンさんの豪快な解決編が楽しい。漫画はこうでなくては。っていうか住菱建設のコンプラやばいよね。内田さんも毎回「そんなことになってるなんて知らなかったのよ」とか言ってるし。あとは商店街がらみの話が多くて楽しい。定期的にテコ入れしないといけないというのがリアルだ。
大武政夫『ヒナまつり』シリーズ
[amazonjs asin=”B00C40EU46″ locale=”JP” title=”ヒナまつり 1 (HARTA COMIX)”]4月から始まったアニメがあまりにも面白く、一旦手放したにも関わらず買い直した。こんなに面白かったっけ?っていう(まれによくある)。アニメの方はキャラデザとテンポがいいすね。瞳ちゃんかわいい。アニメ見た後に読むとセリフが脳内再生されるので良いです。いつのまにか地味に巻数が増えてたのでじわじわ買い増ししてます。
来月買う本
銅大『SF飯2 辺境デルタ星域の食べ物紀行』
[amazonjs asin=”4150313296″ locale=”JP” title=”SF飯2 辺境デルタ星域の食べ物紀行 (ハヤカワ文庫JA)”]前巻でかなりの謎を残したまま終わったけど、そんなに話題になってなかったし、まさか続刊はないよなー…と思っていたら出た!これは嬉しい!若旦那とコノミのキャラもいいんですが、軌道ステーション・デルタ3での日常生活の描写が楽しい作品ですね。失われた機械知性も出てくるみたいだし、世界観の広がりも楽しみ。
とりあえず、今月は『われらはレギオン』一押しですね!読む前は全く期待していなかったのでこれは嬉しい誤算でした。第2巻が出る7月が楽しみ!
ところで、刊行予定見て驚いたんですけど、5月は創元から1冊もSF出ないんですね…。6月は「巨神計画」の2巻とか「年刊SF傑作選」とか入ってるんですが…。というわけで、5月の読書計画は新刊少なめ、積読を崩す方向で行きます(2018年4月30日現在で積読221冊)!技術書系重点的に崩したい。DB関係とか。
コメントを残す