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【映画レビュー】『映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記』:結局いつものドラえもん

      2017/09/10


正直、微妙

 ここ数年、旧作のリメイクとオリジナルを交互に発表している大長編ドラえもんシリーズ。ついに満を持してというべきか、今年のテーマはヒーローもの!ということで、それなりに期待はしていたのだけど、これがどうにも消化不良というか微妙な出来だった。ていうか題材的にも今更感がある。

 物語の大筋は、悪宇宙人の侵略を受けている銀河辺境の星・ポックル星を、ヒーローに扮するドラえもんたちが救うというもので、どこかで見たような宇宙小戦争である。要するにいつもやってる冒険活劇にヒーローものっぽい皮を被せただけで、率直に言って新鮮さはない。

ヒーローものとしての盛り上がらなさ

 特に気になったのが全体的な緊張感の無さで、これまでのドラ映画の定番だった「ひみつ道具の封印」という仕掛けがなく、空気砲もヒラリマントも使い放題。あの手この手、時にはしょうもない理由(ポケットの中にスッポンが入ったとか)をつけて四次元ポケットを使用不可能にしてきた先人たちの創意工夫があったというのに…。おまけにそれぞれ固有のヒーローパワーもあるためよりどりみどり感が半端ない。

 ヒーローがなんらかの理由でその能力を失い、クライマックスで再起するという展開はありきたりかもしれないが、確かに盛り上がるし、そもそも大長編ドラえもんはそのプロットをなぞってきたのではなかっただろうか。まったくピンチに陥らないアクション映画は退屈だ。もちろん、本作でもドラえもん一行は多少困った事態にはなるものの、絶体絶命の大ピンチというには程遠い。中盤でのび太がうっかりヒーローバッヂとひみつ道具を手放してしまう展開が全員に降りかかっていればもう少し盛り上がったのかもしれないが。

 ちなみに、ヒーローバッヂを装着した状態での固有能力は、ドラえもん:頭突き、のび太:あやとり、ジャイアン:怪力、スネオ:天才的メカニック、しずか:お湯(水)を出す、というものだが、前述したようにひみつ道具も使える上に、そっちの方が明らかに使い勝手が良いので、ヒーローパワーを使う必然性があまりない。唯一見せ場だったのはいつものようにパニクったドラえもんが出すゴミから、スネオが即席でメカを作ったシーンくらい。のび太の、一見何の役にも立たないあやとり能力も、ジョジョ的な頭脳戦で活用されるのかと思いきや、普通に(そしてなんとなく)戦闘用に覚醒してしまう…。

嘘と真と映画とリアル

 ただ、面白かったのは映画全体の設定で、ポックル星の住人を挟んで、ドラえもん陣営と宇宙海賊陣営のどちらもが「嘘」を付いているという点。ドラえもんたちはヒーローを装い、宇宙海賊たちは友好的なグローバル企業のサラリーマンを演ずる。悪役が当初は善人の皮をかぶっているというのは、現代の経済的侵略を模してもいるように思えるし、嘘のヒーローが本物のヒーローになっていくというプロセスもわかりやすくて良い。ただ、上に書いたように、全体的な展開が盛り上がりに欠けるため、なんとなくヒーローになったような感じは否めないのだが。

 ドラえもんたちは映画の撮影中に期せずして本物の宇宙戦争に巻き込まれていくわけだけれども、このあたりの感覚の面白さもある。(映画の中での)映画からリアルへのシームレスな移行。ディーン・パリソット監督の『ギャラクシー・クエスト』を思わせる(というかそのまんまだ)。とはいえ、映画の中で映画を撮る映画は何本か思いつくのだけれど、この映画では「映画を撮る」という行為が物語を始めるためだけの口実に見えてしまった。何も『地獄でなぜ悪い』のごとく、カオスの中で映画を撮れと言っているわけではないのだけれど…。ドラえもんたちが「ココは現実である」と自覚する瞬間が一番盛り上がる。

 と、さんざんdisっておいてなんだけれども、普通に楽しめるドラえもん映画ではあります。一昨年の『ひみつ道具博物館』が奇跡的なクオリティだったのだ…。

 ちなみに、映画監督ロボットという触れ込みの「バーガー監督」の主な役割は大道具と撮影。脚本機能くらいつけるべきでは…。

 あ、ヒーロースーツ姿のしずかちゃんはかわいかったです(小並感)。

出てきたひみつ道具(登場順) ※ネタバレになるのでクリックで開きます

クリックで開きます

予告編

基本情報

映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記  100 min

監督:大杉宜弘

音楽:沢田完

脚本:清水東

出演:水田わさび/大原めぐみ/かかずゆみ/木村昴/関智一/田中裕二/観月ありさ/市村正親/井上麻里奈/能登麻美子

上映開始日:2015年3月8日

公式サイトhttp://doraeiga.com/2015/

公式Twitterhttps://twitter.com/doraemonChannel

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 主題歌はなんか良かった。耳に残る感じ。

 ここ数年の作品だとこれが出色の出来ですね。

 SFドラマの出演者たちが本物の宇宙戦争に巻き込まれるやつ言えばコレ。傑作SF映画です。

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