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スクリーンで見られる最後の「クリムゾンボルト」…!
【レポート】あの『スーパー!』ほぼ日本最終上映! 俺はヒーローになりたいんだ!
新文芸坐オールナイト

      2017/09/11


はじめに

 こんにちわ、すいちく(@suitiku)です。今回の新文芸坐オールナイトは「ヒーロー特集」!というか「ヒーローになり損ねたヤツ」特集というべきか…。『キックアス』以外初見でしたが、どれも素晴らしかったです。特に『スーパー!』と出会えたのは本当に嬉しい!オールナイトはこういうアクション主体の方が寝なくていいですねー。客層は男性メインでしたが女性もそこそこ、席は7割程度の埋まり具合でした。



上映作品

ターボキッド  Turbo Kid95 min


監督:フランソワ・シマード/アヌーク・ウィッセル/ヨアン=カール・ウィッセル
音楽:ジャン=フィリップ・バーニアー
脚本:フランソワ・シマード/アヌーク・ウィッセル/ヨアン=カール・ウィッセル
撮影:ジャン=フィリップ・バーニアー

出演:マンロー・チェンバーズ/ローレンス・レボーフ/マイケル・アイアンサイド/エドウィン・ライト/アーロン・ジェフリー/ロマーノ・オルザリ/

 「自転車板『マッドマックス』」という評判は漏れ伝わって聞いていたのだけど、なんというかそれ以上の何かだった…。主人公も悪党もみんな自転車乗ってるんだけど、カーチェイスならぬチャリチェイスのどうしようもない緊迫感のなさに思わず笑みがこぼれてしまう。

 そして、全編に満ち満ちた「80年台B級映画」臭!タイトルからしてもう最高ですよこれ。フィードインの見せ方も。知らない人が見たら絶対に2014年制作だとは思わないはず。アクションシーンはかなりグロテスクなシーンが多く、この辺もやっぱりトロマとかカウフマンとかの作品を思い出すのですね。手足はもちろん首も飛ぶし、主人公の「ターボブラスター」で大抵の敵は粉微塵(しかもこの残虐描写が伏線になってる!)。『悪魔の毒々モンスター』が好きなら気に入ること請け合い。あと「マッド・マックス」的な見方でいくと「水」が重要な要素になると思うんですが、その原料の酷さに笑ってしまいますね。ソイレント・グリーンかよ!

 ストーリー的にはいわゆるボーイ・ミーツ・ガールの文脈で見ることができるのだけど、ヒロインであるアップル(ローレンス・レボーフ)がかなりイカれた感じで「あ、ヒルダ1かな?!」と思ったのですが、当たらずといえども遠からず…。最初はクソうぜえ…と思っていたのがラストではめちゃカワに見えてくる不思議。ヒロインの首をダクトテープでつなごうとする映画ってものもなかなか貴重ですね。

 それにしても、Twitterで評判が流れてた時に「ラストは血の雨が降る中で主人公とヒロインがキスする」という話を聞いて「なんだそりゃw」という感じだったのですが、確かに全く間違っていないのがすごい。そしてパラソルが強すぎる…。


スーパー!  SUPER96 min


監督:ジェームズ・ガン
音楽:タイラー・ベイツ
脚本:ジェームズ・ガン
撮影:スティーヴ・ゲイナー

出演:レイン・ウィルソン/エレン・ペイジ/リヴ・タイラー/ケヴィン・ベーコン/グレッグ・ヘンリー/マイケル・ルーカー/ネイサン・フィリオン/ロブ・ゾンビ/ロイド・カウフマン

 恥かしながら初見だったんですよね。「あの『スーパー!』」とか言われても何のことやという感じで、今回のオールナイトも目当ては最初の『ターボキッド』だったんですが…。いやー、こんな素晴らしい映画を見逃していたのかという衝撃!湯浅政明調の底抜けに明るいオープニングアニメからして心を鷲掴みにされるんですが、その後の本編のフランク(レイン・ウィルソン)との落差たるや。ベースはコメディなのでドジなフランクの間抜けな素人ヒーローっぷりに笑い、そして段々と彼が自分のことのように思えてくる…。

 観る前は中年版『キックアス』かと思っていたんですが、確かにテイストは似ているのだけど、方向性が全く違う。まず若さがない。人生のどん詰まりにはまり込んだイケてない中年がいかにしてクリムゾンボルトになり、いかにしてヒーローになりうるのか。悲壮感とか絶望感のようなものがまず最初にあって、だから自己肯定感というものが全くと言っていいほど無い。序盤のペットショップでのシーンなんか印象的ですよね。そしてそれがエピローグのウサギを抱くフランクの姿につながっていく。あの凄惨な殺戮現場を乗り越えて、ささやかな自己肯定感を手に入れたフランクは、スーパーパワーを持ったヒーローではないのだけれど、確かに一人の自立した人間として現実社会に戻って来る。あの最後の戦いは彼にとっての一種のイニシエーションのようでもあって、でもその傍らには容赦のない現実が確かにあるのです。最大の違いはサイドキックであるボルティーの帰結でしょうね。あのシーンは観客にとってもヒーロー映画から一気に現実に引き戻される瞬間なのではないでしょうか。

 個人的には、この映画は一人の不器用な男が冷酷で理不尽な現実社会の中で、他者とのコミュニケーションを試行錯誤しながら探っていく様を戯画的に描いた映画なのだと思いました。他人との距離感の掴めなさから、行列への割り込み程度の軽犯罪とも言えないようなモラルの問題に対して過剰なまでの暴力を振るってしまったりするわけです。でもそういうぎこちなさがまたいいのです。

 そして、この映画、2周目がとにかく泣ける。オープニングからもう。。。
 また一本、人生のマスターピースに出会えました。帰って速攻Blu-rayポチりました。安いし。


アタック・ザ・ブロック  Attack the Block88 min


監督:ジョー・コーニッシュ
音楽:スティーブン・プライス
脚本:ジョー・コーニッシュ
撮影:トム・タウネンド

出演:ジョン・ボイエガ/ジョディ・ウィッテカー/アレックス・エスメイル/フランツ・ドラメー/リーオン・ジョーンズ/サイモン・ハワード/ルーク・トレッダウェイ/ジャメイン・ハンター/マイケル・アジャオ/サミー・ウィリアムズ/ニック・フロスト

 この作品も気になりつつも見逃してた映画。主人公であるストリートギャングのモーゼスがどっかで見たことあるなー、と思ったら、『スターウォーズ エピソードⅦ フォースの覚醒』でフィンを演じたジョン・ボイエガさんじゃないですか!ストリートギャングなのに、なんか暗い影を背負ってるのが印象的。まあ、映画自体も全体的にうっすらとした暗さなんだけど。そういえば、「ブロック」は団地という意味なんですね。勉強になるなあ。

 とにかく秀逸なのが、クリーチャーのデザイン。真っ黒いゴリラ的な毛の塊で、それ自体はそれほど違和感がないのに口の部分だけ青く光る!普通は目を光らせるところを、捕食する器官である口(具体的には牙と歯)だけを映すことで理解不能なエイリアンというイメージが喚起されてとても印象に残ります。機械的な鳴き声もまた良い。

 製作総指揮にさりげなくエドガー・ライトが入ってたりして、『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』を彷彿させるテイストですね。ニック・フロストのファーストカットがまんま『ショーン・オブ・ザ・デッド』だったりと細かいところが面白い。


キックアス  Kick-Ass117 min


監督:マシュー・ボーン
音楽:ジョン・マーフィ/マリウス・デ・ブリーズ/イラン・エシュケリ/ヘンリー・ジャックマン
脚本:ジェーン・ゴールドマン/マシュー・ボーン
撮影:ベン・デイビス

出演:アーロン・ジョンソン/クロエ・グレース・モレッツ/ニコラス・ケイジ/クリストファー・ミンツ=プラッセ/マーク・ストロング/オマリ・ハードウィック/ザンダー・バークレイ/マイケル・リスポリ/クラーク・デューク/エバン・ピーターズ/リンジー・フォンセカ/ソフィ・ウー/ギャレット・M・ブラウン/エリザベス・マクガバン/ヤンシー・バトラー/コーリイ・ジョンソン/デクスター・フレッチャー/ジェイソン・フレミング/ランダル・バティンコフ/デボラ・トゥウィス

 すでに何回も観ていることもあり、さらに時間帯が微妙だったこともあって結構寝てしまいました。…が、さすがにヒットガールの超スタイリッシュ殺戮シーンだけは目が冴えてしまいますね。音楽も相まって盛り上がり最高!そういえば、この前見た『キングスマン』の教会でのシーンでものすごい既視感があったんですが、ああ、このシーンだったのかと、今更になって気づきました。

 それにしても『スーパー!』と並べて観ると、一見似たような作品なのに方向性が全く違うことに驚きますね。同じ人殺しヒーローでも『キックアス』の方はなんとなくカラッとしてる。そこが良い点でもあるんですけど、個人的にはあと一歩物足りない感じがして。『スーパー!』と違ってヒットガール死なないしなあ。あ、○○○○○○○が焼き殺されるシーンはトラウマでしたね。

 『イコライザー』ぶりに見たクロエ・グレース・モレッツは若い、というより危うい幼さを感じますね。マーク・ストロングがボコボコにするシーンなんか「え、このまま死んじゃうんじゃ…」みたいな不安を覚えてしまったり。

 しかし、このオールナイトの最後を締めるにはちょうどいい映画だなあ。爽やかな朝の気分。

まとめ

 いやー、もう今回は『スーパー!』最高でした!としか言いようが無いですね!『ターボキッド』の80年代臭から始まり、メインの『スーパー!』、箸休め(?)の『アタック・ザ・ブロック』、そして『スーパー!』と対になるような『キックアス』で爽やかに終わるという構成の妙も素晴らしかったです。しかし、これで『スーパー!』を大スクリーンで観れなくなるのか…。せっかく大好きな映画に出会えたのに残念だなあ。とりあえずBlu-ray買いましたけど!

 次回のオールナイトは2016年3月19日(土)の「新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol. 78 アニメファンなら観ておきたい200本 『AKIRA』と大友克洋のアニメーション」に参加予定です。大友克洋特集も久々ですねー。TAAF2016(東京アニメアワードフェスティバル)の合間を縫っていくので体力的に心配ですが、さらに翌日は「平成ガメラ三部作オールナイト」が…。楽しいけど死にそう。


イベント概要

イベント名あの『スーパー!』ほぼ日本最終上映! 俺はヒーローになりたいんだ!
日時2016年3月12日22:30 - 2016年3月13日5:45
会場新文芸坐
料金一般:2,300円 前売・会員:2,100円

関連リンク

■新文芸坐 http://www.shin-bungeiza.com/


NOTES

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