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映画『カラオケ行こ!』の再現度がすごい
まず齋藤潤演ずる聡実くんの再現度がとんでもなく高い。雰囲気がマンガのまま。まあこのあたりの雰囲気の取扱は監督の采配も大きいのだけど、それにしてもこの配役はかなり良いですね。しかも撮影中に変声期が来て声変わりするというミラクル!狙ってやってたのならすごいなあ。いかにも中学生っぽいアンニュイな普段の芝居もいいですが、お守りのくだりで激高して関西人になるくだりも素晴らしい。
そしてもう一人の主人公である狂児役の綾野剛。ぶっちゃけ似てない。似てないんですが、完全に狂児という…なんだこれは??外見は似てないのに、マンガの狂児以上に完全に狂児ですごすぎる。どうなってるの?カラオケの個室で距離詰めてくる感じとか完全にそれだわ。
ぶっちゃけこの二人の再現度と掛け合いを観ているだけでもかなり面白いし完全に元は取っているのだけど、一本の映画としても非常に完成度が高い。原作でもそうだったけれど、聡実くんの変声期と絡めてある種の通過儀礼的な成長物語となっているのに加えて、ヤクザや古い商店街といった「なくなりつつあるもの」への視線が描かれているのがいい。それは映画で追加された「映画を見る部」の存在にも共通していて、この無情な時間の流れが聡実と狂児の行く末を暗示しているようでもあって。
結構話題になってますけど、大ヒットして『ファミレス行こ。』も映画化してほしい。
猫ちゃん回:『ザ・ジョジョランズ』2巻
猫ちゃんがたくさん出ますが…。いやー、ジョジョシリーズ、猫に厳しくない?まああの猫の能力、スタンド能力なのか猫自体が猫じゃないのかわかりませんが。
今作のキーアイテムが「溶岩」ということが判明したわけですが、一見するとシンプルな性質のようだけどどう考えても裏がありますよね…。ジョジョは序盤のこの手探り感というか、説明無しでオープンワールドに放り込まれたような感覚がとても楽しい。「主人公が大富豪になる」というゴールは最初に提示されているので、そこにどうやって到達するか、という過程をまるまる楽しめるというのもいいですね。
息切れしない面白さ:『黄泉のツガイ』6巻
6巻まで来たのに誰が味方で誰が敵かがいまだにぼんやりとしかわからないのがすごい。このあたりは『鋼の錬金術師』からの伝統とも言えると思うんですけど、本作では「ハガレン」では比較的初期に明かされていた黒幕の存在が未だにわからないというのが大きな特徴のような気がします。つまり、宇野常寛先生が言うところの「ビッグ・ブラザー」から「リトル・ピープル」への変化がここで起きていると見ることができるのではないか。まあまだ物語も序盤だと思うので、これから黒幕が出てくるとも限らないのですが。
6巻の見どころは影森家当主・ゴンゾウのチート能力が開示されるあたりですかね…。「百鬼夜行」の名前もかっこいい。あれが負けるの想像できないなあ。
「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展—美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」@国立西洋美術館
パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展—美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ|公式サイト
会期間際に滑り込み。キュビスム前史からキュビスム以後まで手堅くまとまっているのだけど、この手の展覧会にしてはややボリュームが少ないかな、というイメージ。まあ人も多いし、これくらいがちょうどいいといえばそうなんですが。割りとマニアックな作品が多く、満足度は高かったです。前半を除けば人も少なくて快適。
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