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『マーベルズ』はめっちゃ猫映画。
まさかの猫映画であった。比喩ではなく可愛い猫ちゃんが大量に出てくる(本当に!)。まあ当然可愛いだけではないのだけど。
それはそうと前作『キャプテン・マーベル』の主人公であるキャプテン・マーベルとアベンジャーズオタクの女子高生ミズ・マーベル、そしてエージェントであるモニカ・ランボーの3人が集まってタイトルにもある「マーベルズ」を結成する本作。とにかく主人公であるミズ・マーベル(イマン・ベラーニ)の奮闘が可愛くて痛々しいのがいい。どこの国でもオタクってあんなイメージなんだなあ。そして3人の女性が連携するというフェミニズム映画的な要素も好ましい。3人が宇宙船の中で束の間の女子会を開くシーンなど、直前にある悲劇に思いを馳せつつも思わず笑顔になってしまう。
そしてより好ましいのはこのコンパクトな作り。地球の危機を救うために宇宙を駆け巡るというスケール感はありつつも、物語はキャプテン・マーベルとモニカ・ランボーの過去というミクロな物語に収束していく。105分というマーベル映画らしからぬ上映時間の短さも、長大で重厚な物語に疲れていた頭にはちょうどいい塩梅だ。
ウイスキーが飲みたくなる映画:『駒田蒸留所へようこそ』
PAのお仕事シリーズだけあって安定のクオリティ。ウイスキーものとしてもいいし、もちろんお仕事ものとしても素晴らしいのだけど、主人公である光太郎のビルドゥングスロマン(のようなもの)として観るとより味わい深い。序盤のいかにもやる気のない「子どもサラリーマン」としての光太郎の姿はかつての自分の姿とも重なり共感性羞恥である意味でホラーよりも目を覆いたくなる。取材先の社名を間違えるくだりとか、いかにも新入社員がやりそうなミスで思わず声が出そうになる。逆に、そういった意味ではまだ仕事についていない大学生や高校生といった若い人が観てもピンとこないのではないかと思った。まあそもそもウイスキーがテーマの時点でかなりターゲットの年齢は高いとは思うのだけど。
物語に軸足を置いている作品なので作画的な見どころはあまりない…と思いきや、細かいところでかなりよく動くので驚く。例えば編集部の中で立ち話をするカットなど、通り過ぎていく人の動きやそれに対する主人公たちの反応などが細やかに描かれており、地味な部分でこだわりが感じられる作り。老舗のPAらしい安定感だ。
「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン」@アーティゾン美術館
ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン
山口晃さんの久々の大規模個展を滑り込みで。シグネチャーな鳥瞰図ももちろんあるんですが、『すずしろ日記』や『趣都』の原画が多数展示されていたのが印象的。というか山口さんがモーニングで連載してたの初めて知りましたわ…。
また石橋財団コレクション×と銘打ってあるように、コレクションの諸作品(例えばセザンヌの《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》とか)を山口さんが解説するようなチャプターもあって面白い試みでした。
あとこの展覧会、カタログが面白い作り。かなり大判のページがバラバラに独立していて、これはもはや冊子ではないね。自分はかなり好きですが。
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