目次
うつわを買う
ちょうどいい大きさの急須が欲しくて、宮益のうつわ謙心さんで見繕ってきました。月末から「お茶を楽しむうつわ」展だったからそっちでも良かったんですが、まあ混みますしね。
橋本忍さんの皹黒の急須(22,000円(税込))と同じく皹黒の六寸皿(7,700円)を購入。「皹黒」シリーズ初めて買いましたけど、これはお店で実物見ないと魅力がわからないタイプですね。細かなひび割れに沿って金地が覗いていて、この奥ゆかしい感じがいい。写真だとなかなか綺麗に写らないんですよね…。
とりあえずケーキ載せちゃいましたけど、やはり洗うときにやや気を使いました。金地だと漂白剤使えないし…。ケーキよりも和菓子の方が良さそう。
深作欣二監督特集@新文芸坐『資金源強奪』&『暴走パニック 大激突』
新文芸坐の「没後20年、そして『仁義なき戦い』から50年 深作欣二、アクションと情念」特集にて。40周年記念の特集上映の時に観た『仁義なき戦い』5部作一挙上映を今回も観たかったんですがタイミング合わず。
『資金源強奪』
しょうもないチンピラの小競り合いという感じで最高~!主役は北大路欣也、当然若い。まあ鉄砲玉になったやつはだいたいこういう扱いだよね、という出だしがいいですね。賭場を荒らした北大路欣也らを組の連中が追うという展開ですが、ここで登場する梅宮辰夫演ずる不良刑事がかなり好きなキャラ。若い頃の梅宮辰夫、やや彦摩呂感がある。人間的にはカスなんですが、警察とヤクザの間を強かに立ち回るあたりが魅力的。でもそのスナイパーライフルどっから持ってきたんだよ、というツッコミ待ちなところもいい。詫びを入れに来たかと思ったら無言で札束を袋に入れ始める北大路欣也の場面が不気味で良すぎです。
『暴走パニック 大激突』
カーチェイスものだと思っていたら全然カーチェイス始めないので期待外れ…かと思っていたら、最終がまさに「暴走パニック」としかいいようのない展開。和製&昭和版ワイルド・スピード…というにはやや爆発が足りないか。主演は渡瀬恒彦なんですが、本作ではヒロイン(杉本美樹)に甘すぎるのがかわいすぎでした。「こち亀」の両津勘吉そっくりな不良警官役・畠野作治(川谷拓三)やら慰謝料を求めて延々と追ってくる死んだ相棒の兄・勝男(室田日出男)、車に傷つけることに興奮する性的倒錯者・手塚(風戸佑介)といった面々のキャラが濃すぎて窒息しそう。あと女性警察官役の渡辺やよいが超可愛い。
そういえば、この2本立て、①関西が舞台で ②銀行強盗から始まり ③テーマに反してビターエンドじゃない という組み合わせなのですね。いい組み合わせ。
『エンドロールのつづき』はインド版『ニュー・シネマ・パラダイス』
映画愛ものかあ、と思って観に行ったのですが、映画愛というよりは「物理的なフィルムに対する偏愛」映画でしたね。原題は”Last Film Show”で「ふーん、よくある感じじゃん」という感じなのですが、物語の転換点となる終盤のある事件によって「え、まじでそういう意味だったの??」というある意味驚愕の展開が訪れます。というか、子供×おじさん×映画、という組み合わせなので、まあ皆さん予想通り、インド版『ニュー・シネマ・パラダイス』なんですね。まあ鬱展開みたいなのはないので安心。
主人公の少年サマイがとにかくかわいいのが推しのポイント。この少年が映画にハマり、母の手作り弁当と引き換えに中年(青年か?)映写技師に取り入って毎日のように映写室から映画を見るという流れなんですが、まあこのあたりが非常にエモいんですよね。そして、お母さんの作る弁当もめちゃくちゃ美味しそうで…。調理シーンも描かれるんですが、この時点から美味しそうな空気が漂ってくる、謎の気合いの入れよう。
そうそう、この映画は家族映画でもあるんですが、バラモン出身ながら駅でチャイの屋台を営んでいる父親との関係も面白く、彼は階級にこだわる旧世代の人間なので体罰も辞さない家父長制的な父親像なんですが、この伝統からの逸脱と父の心変わりという家族間の関係が、物語の大きな転換点と構造的に対応しているのは非常に上手いと感じました。
そしてさらに、上のレイヤーとして「フィルムとしての映画」という概念の変化。映画という非日常空間の体験が即物的で日常的なモノへと変わっていく場面が映画の終わりに置かれているのですが、この場面があまりにも直接的であっけらかんとした表現で描かれており、一つの時代の終わりという悲壮感よりは、むしろある種の爽快感というか新しい時代への希望を感じさせるものだったんですよね。このあたりは、やはり少年を主人公に据えたことと呼応しているように感じます。
『NSA』のエシュバッハによるトンデモ考古学もの:『イエスのビデオ』
去年の年初に読んだ『NSA』がとても面白かったので、ちょうど20年前に発行(原著は1998年)されたこちらを古本で入手してみました。「イスラエルの遺跡発掘現場で見つかったソニーのビデオカメラの説明書」という出だしが強すぎるんですが、やはり連想するのはあの名作、ホーガンの『星を継ぐもの』でしょうか。ともかく、この「説明書」からビデオ本体があるのではないか?という推測を立てた野心家の大学生、メディア王、ローマ教会の秘密部隊の各勢力が各々の思惑を抱えつつ、三つ巴のビデオ争奪戦を繰り広げる、というのがメインのストーリー。この部分も予想外の展開とアクション盛りだくさんでかなり面白いのですが、それ以上に後半4分の1のネタばらしパートが素晴らしい。影の薄かった人が実は…という熱い展開で唸らされました。エピローグの「旅人」と出会う場面はやや御都合主義的かなとも思うのですが、それによって虚実が定まっていくのが気持ち良くもあったり。
ていうかこれ映画化されてるんですね…。Amazonだと評判が悪いようですが、気になります。
17世紀オランダの画家たちの経営戦略を浮かび上がらせる好著:小林頼子『フェルメールとそのライバルたち 絵画市場と画家の戦略』
研究領域が近い、というか「修論の時この本があったら…!」という個人的にピンポイントで刺さる本でした。
タイトルからは非常に分かりづらいのですが、17世紀オランダのアートマーケットを概観し、それによって生じた画家たちのマーケティング戦略を分析する論考となります。17世紀オランダのアートマーケットについてはジョン・ミッシェル・モンティアスらの研究成果があるのですが、経済学的な分野にかかるので伝統的な図像学的美術史からはやや外れてしまうんですよね。これまでも紹介されることはあったんですが、この本では前半のかなりのページを割いて、過去の研究成果が概観されており、この部分だけでも個人的にはかなり満足しました。
後半は、当時の風俗画において、似たような構図、コピー的な要素が登場してくる現象についてアートマーケットの状況を援用してマーケティング的な視点から論じていくパートになるのですが……こういうのまさに修論でやりたかったんですよね~~!!今からでも遅くないか。
設定の濃さがすごい:やしろ学『戦車椅子-TANK CHAIR-』
「なんかTwitterで見たなあ…」程度の解像度で買ってみたんですけど、いやめちゃくちゃおもしろいじゃないですかこれ!
タイトルでわかるから出落ちじゃん、と思っていたんですが、設定の盛り込み方が異常。殺意を向けられた時だけ意識が覚醒する凄腕の殺し屋&改造車椅子&荒廃した近未来&流れ者が流れ着く治安最悪シティ&殺し屋としては落ちこぼれだけどマネジメント上手い妹&アクのある賞金首たち&同じく兄妹のライバルキャラ…。しかも一つ一つの要素が濃い。例えばタイトルにもある戦闘用車椅子、一台だけかと思ったらエピソードごとに特化型車椅子が出てきて、わかりづらいけどザクキャノンとか好きなタイプにハマりそう。第一話からロードローラーみたいな車椅子(車椅子とは??)が出てきてツッコミどころがすごい。
細かいところの描き込みもこだわってるし(鉄婆なるキャラクターのタンクトップに「Fe」のプリントがあるとか)、キャラクターもいいし、これは掘り出し物でした。かなりおすすめ。
冬アニメ第一話
『もういっぽん!』
まるっこいキャラデザがかなり好み。全体的にふんわりとした光の表現もいいですね。武道場の中の雰囲気とか、THE青春という感じがよく出てる気がする。後半の大岡裁きの場面、動きのタイミングと回り込みが気持ちいい。スポーツものってあまり観ないんですが、これはいいですね。
『大雪海のカイナ』
弐瓶勉版『風の谷のナウシカ』という感じがかなりありますね。巨大植物とか胞子っぽいのとか巨大昆虫とか。OPに巨神兵みたいなのもちらっと映るし。とはいえ、やはり惑星全体を覆う「天膜」の設定とかそれを支える「軌道樹」の壮大さは二瓶先生らしくもあり。物語はオーソドックスなボーイ・ミーツ・ガールで始まりますが、軌道上と地上とで分かれたスケールの大きすぎるロミジュリ感を感じました。まあ別に分かれてはいないんですけど。惑星単位のダイナミズム。タイトルにもある「雪海」の謎で引っ張っていく感じでしょうか。期待大。
『スパイ教室』
なんか最近スパイもの多いな…という気がしたんですが『SPY×FAMILY』くらいしかなかったですね…。あ、『プリンセス・プリンシパル』っぽい雰囲気はある。雰囲気だけね。この作品、原作は読んでないんですが前評判かなり高かったから期待していたんですが…。うーん、Not For Meというか全体的に微妙というか…。まだ第1話だからあれなんですが、焦点がぶれているような気がしますね…。「俺様」っ子は珍しい気がする。
『REVENGER』
令和になってバリバリの「必殺仕事人」をみることになるとは…。正直、シリーズ脚本が虚淵さんだったんで微妙に警戒していたんですが、これは良淵ですね。ちなみに、もう一人の脚本である大樹連司さんは『GOZZILA 怪獣惑星』のノベライズが本編と対照的にすさまじく良かったので安心感あります。第一話からめちゃくちゃ嫌な展開なのでそのあたりは虚淵さんらしくありますね。というか多分中盤あたりで実はこの最初の展開の青写真を作ったのが利便事屋の連中という展開があると踏んでるんですが、どうでしょうか。作画もいいし、この後も楽しみ。
『NieR:Automata Ver1.1a』
なんか使い古されたアンドロイド観じゃない?あと剣戟の最中に目の前に飛び出してくる支援ボットとか冷却時間が異常に長い兵器とか、うーん、なんか…。原作ファン的にはこれでいいんですかね?CGの安っぽさも気になる…。セルルックのメカニックはいい感じなのに…。おまけの人形劇は面白かったです。あと原作ゲームはやってみたくなりました。
『ルパン三世 Part2』(第119話〜第131話)
去年から『ルパン Part2』をつらつらを観ています。観ていますというか流しています、というか。今週は第119話から第131話まで。とにかく全部で155話という長丁場のシリーズなので、後半になるとかなり変な話が混じってくるのですね。今週気になった話をいくつか。
第120話「フランケンシュタイン ルパンを襲う」
フランケンシュタインの怪物VS十字軍の絵面が強烈。敵は15世紀に遡るDr.フランケンシュタインを崇める秘密結社「赤い幽霊団」なのだけど、ナチスを裏で操っていたという設定の壮大さとやってることのショボさの対比が楽しい。この連中が「霊魂銃」なるもので初代石川五右衛門を五右衛門に憑依させ、フランケンシュタインの魂を封じた「ローゼンクロイツの黄金の壺」の隠し場所を聞き出そうする、というのがメインのストーリーですが、なんで初代五右衛門がそんなものに関わりがあるのかというと釜茹でにされる前に初代五右衛門が天正遣欧少年使節団の船に密航してローマにわたっていたとかいうトンデモ小話が挟まれたりして、とにかく情報量が多い話であります。フランケンシュタインの怪物は賢者の石でできた銃弾でないと倒せないらしいんですが(初耳!)、斬鉄剣は賢者の石も斬れるのでフランケンシュタインの怪物も斬れるよ、のあたりはさすがに笑っちゃいました。いや斬鉄剣に設定盛りすぎやろ。
第124話「1999年ポップコーンの旅」
メキシコ人のパンチョ教授が開発した超強力ポップコーン製造機を使って月に行こうとする異常な話。ゲストのパンチョ夫妻のデザインが明らかにルパン世界のものではなく、かわいい系なのがいいですね。サウスパークにいそう。流れで教師をすることになった不二子も板についていてキュート。MASA長官の声は八奈見乗児さんなので個性が強い。音楽が『2001年宇宙の旅』オマージュなのも楽しい。オチはひどい。
第131話「二人五右ェ門斬鉄剣の謎」
また斬鉄剣に新しい設定が盛られる話1。300年に一度、雌刀と雄刀の添い寝式を行わないとなまくらになってしまうという設定が追加されたことで、雌刀を持つ仇敵の仁駄ェ門が五右衛門の雄刀を奪いに来るというストーリー。300年というタイムスパンは長すぎてちゃんと伝承されるのかが気になりましたね…。実際に五右衛門もただの言い伝えだと思ってたわけだし。そのくせ添い寝式させないといけないタイミングがシビアすぎる。添い寝式でピョンって添い寝する斬鉄剣(雄・雌)がかわいい。オチはひどい。
「京都・智積院の名宝」展@サントリー美術館
すべりこみ。長谷川等伯らの障壁画が目玉ですが、個人的に良かったのは堂本印象の襖絵ですね。歴史ある寺にあんなアヴァンギャルドなものが飾られているとは。長谷川派で印象に残ったのは等伯の子、久蔵による国宝《桜図》。
サン美なのでやや小ぶりの展覧会でしたが、国宝・重文が目白押しで密度の濃いものでした。予約不要でしたが人の入りはそこそこという感じ。
今週の喫茶店:珈琲店トップ@渋谷
今週は渋谷の老舗喫茶店、珈琲店トップへ。今回は駅前店。
入り口は入りやすい雰囲気。朝8時台だったので先客はお一人でした。
モーニングはないので、気になっていたサーディントーストとブレンドをオーダー。
サーディン(ニシン)とパンの組み合わせはミスマッチな感じがしますけど、ニシン漁で一代を成したオランダとかだとむしろソウルフードなんですよね1。レモンを垂らすと生臭さは全く無く、とても美味しい。
そういえば、早朝の渋谷久々に行きましたけど、全然人いないんですね…。コロナ関係なく渋谷の人は夜型という説もあるけど。
コメントを残す