今月のおすすめ

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 なんと今月観た新作映画これ1本。緊急事態宣言によって大手の映画館がほとんど閉まっちゃってるので仕方がないですね…。元気に営業してる新文芸坐は旧作専門だし…。ちなみにこれはシネマート新宿で観たんですが、他の6本は全て新文芸坐だったりします。6月で緊急事態宣言延長しても大手映画館は再開するらしくてありがたい。よくわからないけど。

 で、この『ザ・バッド・ガイズ』。チンピラとか不祥事起こした警官とか詐欺師とかがチームを組んで犯罪組織に立ち向かうという、まあ…よくあるやつですね…。事件の裏に国家の腐敗が絡んでいたりするのも、まあ…よくあるパターンで目新しくない。とはいえ、そこはさすがにマ・ドンソク主演映画。ピチピチの手芸手袋をはめたかわいいマ・ドンソクとか(ムショでミシンをがんばるマ・ドンソクも良い)、とにかく素手で敵をボコボコにしていくいつものマ・ドンソクとか、深く考えてるんだか考えてないんだかわからないマ・ドンソクとか、…やっぱりマ・ドンソクあっての映画だわコレ。特に良かったのが壁をぶち破るマ・ドンソクで、鍵かけてもバリケード作っても無駄というあたり、やはりマ・ドンソクはこうでなければ!あ、マ・ドンソクがメインではあるんだけど、昼行灯系のグタク刑事役のキム・サンジュン、詐欺師ノスン役のキム・アジュン、はぐれもの巡査ユソン役のチャン・ギヨン、みんなキャラが立ってて良かったです(小学生並みの感想)。特にチャン・ギヨンの顔が綺麗すぎてヤバい。

 そういれば、敵の黒幕がまさかの○○○なんだけど、予告編とかでも全く出てこないし、割と驚かされた。戦時中のアレが出てくるくだりとか割とセンシティブだなあと思いつつ、そういうのに敏感な国士様はまあ韓国映画観ないし無問題やねそれにしてもこいつの持ってるトゲトゲメリケンサックが、バカが考えた最強武器という感じで最高。そんなん本職のチンピラでも思いついても作らないって!

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観た映画一覧(時系列順)

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 「BTTF公開35周年記念」ということで新文芸坐にて一挙上映があったので行ってきた。実はこないだ「午前十時の映画祭」でpart.1だけは観ていたのだけど、2と3は実に10年以上ぶりくらいの鑑賞となる。面白いことは確約されているにしてもこないだ観たばかりだしなあ、とスルーしようと思ってたのだけど、「吹替版」ということで観に行った次第。

 で、行ってみて気づいたんだけど、これテレビ朝日版なのね。ドクと言えば青野武さんのイメージが染み付いていたので実質初見ですね。穂積さんのドクもいいですねえ。ビフはむしろこっちの玄田哲章さんの方が好みかも。三ツ矢雄二さん×穂積隆信さんは割と真面目な感じのやりとりが聞き所ですかね。なによりTV版の吹替を劇場で観られるってのがプレミアム体験だなあ。行ってよかった…。

 こないだ観たばかりだというのに中盤はやはりハラハラして観れてしまうのはさすが。オチがわかっていても現代と過去とのギャップネタとか重ね合わせネタとかは何度観ても面白いし、クライマックスの手紙のくだりはグッときてしまう…。あと何回観てもマーティの謎の寝相が気になってしまうのです…。なんなんだあの寝方。

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 観たはずなのに全然覚えてねえ〜。『ジョーズ19』から後ろが全く覚えてねえ〜。ほぼ全部や〜。ビフがまさかあんな活躍をするとは…。30年後のマーティのしょーもなさ。ジェニファー連れて行かなきゃ面倒なことにならなかったんじゃ…などなど、面白いポイントがてんこ盛りで大満足。

 そういえば、この1989年という段階ですでに「世界線」という概念が出てきていることに気づいたり。「過去の自分とのコンフリクト」問題も扱われていて、エンターテイメントに振っているにしてはこのあたりのSF考証も地味にしっかりしてるんですよね。時間線を消すために分岐点まで戻らないといけないとか、ジェニファーを鉢合わせさせないために動くとか、ちゃんと脚本に組み込まれているのもいいねえ。コンフリクトという点では、時計台の仕掛けをしているドクに未来のドクがばったり出会っちゃうあたりがコミカルで好きだなあ。いや、気づくやろっていう。

 そして、3への引きも実に上手い。どうしようもないと思っていると次の展開への緒が意外すぎるところから飛んでくるテンポの良さ。あそこで古びた手紙が届けられるタイミングの良さもさることながら、Part1で使われた「手紙」というガジェットが今度はマーティを救うあたりとか、シリーズの構成としても上手い。

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 2はほとんど覚えていなかったのに逆に3のほうが覚えていた…。なぜ…。西部劇あまり観ないからそれでかな。「自分とのコンフリクト」問題が出てくるように、1985年のマーティたちと地続きの近未来世界が描かれるpart2と対象的に、part3の1885年は全くの異世界!…と思っていると思わぬ繋がりが浮かび上がってきて、図らずも「歴史の連続性」まで感じられるところがいいんですよね…。ギャップものとしてもまあ面白いんだけど、マーティが再会したときにはドクはすっかり現地に馴染んじゃってるんですよね。まあそのあたりもドクっぽいんだけど。安心感がある。

 そのドクがまさかの恋に落ちる展開がやはり本作の見所でしょうか。ドク自身が「そんなことあるわけない!」と言ってるように、観てる方も「もう枯れてるし、ありえへんやろ…」と思ってると、あれよあれよと言うまに堕ちていくので笑ってしまう。チョロすぎる。「ジュール・ベルヌ?子供の頃読んだよ」のくだりとか、さり気ないSFみがいいなあ…。シリーズを通じてドクのバックボーンってほとんど描かれないんだけど、それだけに人当たりはいいけど謎めいた変人がああいう人生を手に入れるという展開の多幸感たるや!年を取ってマーティよりもドクの方に近づいているというのもあるけれど。

 なんとなく別離エンドのような印象があったんですけど、なるほどこういうオチだったか〜。綺麗な終わり方だなあ。機関車もめちゃくちゃかっこいいし。それにしてもやはりシリーズものは一挙に観るのがベストな鑑賞法ですね。昔も『仁義なき戦い』5部作一挙上映なんかもあって、あれも最高だったんですが、映画館という空間で集中して観る体験はプライスレスですわ。新文芸坐、ちょくちょくこういうイベントやってくれるから一番好きな映画館だし、名画座かくあるべきという感じですね。

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 実に2年ぶりくらいの「新文芸坐シネマテーク」。コロナ禍という状況もあって開催自体が久しぶりだ。今年の初回はジャック・リヴェット特集で、一週目はシンプルなタイトルとは裏腹にかなり奇妙なサスペンス(と言っていいのか?)映画『シークレット・ディフェンス』。

 主人公シルヴィ(サンドリーヌ・ボネール)はガンのワクチンを開発している女性科学者。ある日、彼女のもとに弟のポール(グレゴワール・コラン)が突然訪ねてくる。事故死だと思われていた父の死に殺人の疑いがあるというのだ。かくしてシルヴィは父の右腕だった男ヴァルサー(イエジー・ラジヴィオヴィッチ)に接近するが、事態は思わぬ方向に転がっていく。

 いつものように何も調べずに観に行って90分くらいの映画だと思ったら2時間50分もあってお尻が死んでしまった…。『アウトワン』という規格外があるので、リヴェット的には比較的短く感じる…気がする。ともあれ、面白いのはそのプロットで、観終わった第一印象は「良かれと思って…映画のラインナップにまた1ページ…」みたいな感じ。秘密が秘密を呼び、入れ子状になっていく秘密が新たな殺人を引き起こす。最初に置かれた「父の死」という大きな謎が3時間近い物語終盤まで観客を惹き付ける。個々の場面がどれも印象的なのもリヴェットらしく、特に食事の場面がいい。あまり美味しそうじゃないオムレツのくだりとか。個人的に好きだったのはシルヴィが「お屋敷」に向かう小旅行の場面で、次第に乱れていく彼女の心を映し出すように車窓の光景が移り変わっていく演出も見事だし、客席でタバコを吹かしたり、食堂車でプラコップのウォッカを呷るサンドリーヌ・ボネールが実にキュートなのですねこれが。オチの救いの無さ、物語の終わらなさのような余韻もいい。

 上映後にはいつものように大寺眞輔先生による講義があり、実家に帰ってきたような懐かしさを感じました。この上映と講義のワンセットという組み合わせは、お尻のつらさを勘定に入れなければ最高なんですよね。

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 「新文芸坐シネマテーク」ジャック・リヴェット特集の2夜目。といっても今回はリヴェット監督作ではなく、まだまだ現役で活躍するクレール・ドゥニによるリヴェットのドキュメンタリー。

 正直リヴェットそんなに詳しくないし、インタビュー形式でリヴェットがひたすら映画論について淡々と語っていくスタイルなので、この分野に詳しくないと相当退屈…だと思っていたのだけど、確かにそういう面はあるものの、クレール・ドゥニが撮っているだけあって、映像だけでかなり面白い。狭い道で後ろから車が来てるのにダラダラ歩くカットとか、やたらと雑音が多くて聞き取りづらいカフェでのシーンとか。昼の部と夜の部で別れていて、様々なパリの様相を観れるのもいい。

 リヴェットの語る映画論はかなり難解で集中していないと理解が追いつかないのだけど、印象に残っているのは、「映画は他者を描くことができるのか?また描くべきなのか?」という問いかけ。この視点を持つことができただけで、この映画を観た価値があったと思う。そしてまたここでも上映後の大寺眞輔先生による講義が素晴らしく、理解が深まる…。とても良い上映会でした。まあ一人だと絶対これ観ないしね…。

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 上映2周年記念で新文芸坐で。主催のアニメスタイルは全く意識してなかったそうだけど、運悪く(?)所沢のスタッフトークショー記念上映と被ってしまったそうで、アニメ様×花俟さんの長めの前説トークとなったそう。これはこれであまり無いパターンで面白かったです。アニメ様が最初に今井氏監督に会ったのが2000年代の「あの人に話を聞きたい」で、「あそこから全くテイストを変えずに監督作まで作ってしまったのがすごい」(雑要約)と言っていたのが印象的。

 で、ロードショーぶりに観たんですが、トークでアニメ様が言ってたように最初の10分間のアクションがクライマックスすぎる。テンションも凄まじいし、ここでそれ使っちゃうの?!というくらいアイデアが詰め込まれていて、ちょっとおかしいですよね???マトイテッカーの装着のかっこよさとか消火栓を使った空中戦とか、今石監督ならではのスピーディーなカット割りとケレン味のある動きの面白さ。ここだけでもう割と満足してしまうのに、初見よりも凄まじいテンポで話が進んでいくのが実に楽しい。今思うとクレイ司政官の後半のディオ感ある表情の変貌ぶりがやばいよね。クライマックスの巨大ロボ戦もよくわからないけど盛り上がるんだよなあ。そうはならんやろ、でも勢いで突っ切る、みたいな。個人的に今石みを感じているのはヴァルカン大佐とフリーズフォースまわりの描写で、バーニッシュを次々凍結させていくカットとかまんま『デッドリーヴス』とか『Sex and Violence with Machspeed』のテンポなんだよなあ。あのへん好きすぎる。

 ところで、ロードショーのときに見逃していた短編の「ガロ編」と「リオ編」が観れたのも良かったですね。これがあるとかなり本編の理解の仕方が違ってくるし、これ単体でもかなり面白い。正方形のレスキューギアを装着するカットとかめちゃくちゃ好きだなあ。動きも音もストーリーもスケールが大きいという意味ではまさに映画館で観るべき映画ですね。年1回くらいやってほしい。

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