はじめに

 今月は人とほとんど遊ばなかったので気になってたやつはだいたい観れました。等価交換ですね。期待しないで観たらめちゃくちゃ良かったのが多かった印象。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『ピーターラビット』も惰性で観てたり、観るつもりはなかったけど評判良かったので急遽予定に入れたりしたやつでしたけど、蓋を開けたらめちゃくちゃおもしろいやん!ていう。特に『ピーターラビット』と『ランペイジ:巨獣大乱闘』ねー。どっちも全く期待してなかったのもありましたけど、観る前のイメージとほぼ真逆な映画でした。詳しくは下の短評で。

本の方のログ

今月のおすすめ!

[cf_cinema format=3 no=1 post_id=8718 text=” ピーターラビットはこんなこと言わない…!ファミリー向け映画だと思ってお子様様連れてきたら無言にになっちゃうやつ。原作読んでから観に行って害獣にガンつけられたら普通に泣くわ。冒頭で「ファミリー向け映画だと思った??残念!ヤクザ映画でした!!」(意訳)って宣言されるんだよ?観る前はね、普通に人間と動物がせいぜい野菜かなんかを巡ってしょーもないケンカをする程度の映画+自然は大切!みたいなつまんねーメッセージがかぶさってる程度のガキ向け映画だと思ってたんですよね。で、蓋を開けてみたら…イギリス版『仁義なき戦い』じゃん!っていうか21世紀のコメディ版『動物農場』的な害獣VS人間のガチ殺し合い階級闘争!冒頭いきなり隣に住んでるマクレガーさんが死亡(心臓麻痺)!で、その甥のトーマス(ドーナル・グリーソン)が屋敷を相続して引っ越してくる。そしてピーター率いる動物軍団とトーマスとの壮絶な戦いが始まるのであった…。野菜を投げるくらいなら可愛いもんなんですけど、この害獣たち、トーマスの仕掛けた電気フェンスの配線を屋敷に接続して感電死させたりする(本当に死ぬ)のでマジで殺る気満々。ブラックベリーアレルギーのトーマスの口の中にパチンコでブラックベリー放り込んだりするし(ここでも死にそうになる)。挙句の果てにダイナマイトで家を爆破!隣に住む美人アーティスト・ビア(ローズ・バーン)の家も半壊!まさか爆発はしねーだろと高をくくってたからここは爆笑した。また、ウサギの連中がみんなチンピラみたいでね。ウインクしようとするとチンピラになる。あ、一応、トーマスとビアのラブコメが申し訳程度に付いてて、一応物語を動かす軸になってはいるんだけど、基本アクション&アクション&アクション!予想外すぎる。あと、吹き替えで観たんだけど、千葉繁の雄鶏がまあいいキャラでねー。必聴ですわ。ところで、吹替版だけかはわからないけど、エンドロール終わった後に「うちのうさちゃん写真コーナー」みたいな日本特有のしょーもない企画が付いてるんですけど、これ企画したやつ、本編観てねーだろ!ちゃんと観てたら「ピーター、早くチタタプになんねーかな!」とは思うけど「かわい~~」とは言いづらい。野生だし。仁義なき害獣ファイトだよ!超オススメ!”]

観た映画一覧(時系列順)

[cf_cinema format=3 no=2 post_id=8491 text=” 2018年の最優秀悪役賞、サノスおじさんに決定!!今までの話と予告編観る限りでは「また脳筋バカがボスか~…」って感じだったんですが、ちゃんと考えあってやってるんですよね。一見すると大虐殺に思える、全人類半減計画もちゃんと哲学を持って実行していて好印象。完全に狂ってるけど。このあたり、「逆シャア」っぽいよね。シャア「地球が持たんときが来ているのだ!」→「アクシズ落とそ♪」 サノス「宇宙が持たんときが来ているのだ!」→「人類半分にしよ♪」。短絡的すぎる…。一応、「宇宙のバランスを保つ」という名目なんだけど、なんできっちり半分殺すんや…。資源の多い少ないによってケース・バイ・ケースだと思うんだけども。マニフェストとしてはわかりやすいけど。で、本人は人類全体のことを考えてやってるのが本当にめんどくさい。映画史上最悪の「良かれと思って」おじさん!良かれと思って人類虐殺。もうね、最後のシーンだけ観るとこのおじさんが主人公ですよ。一仕事終えて夕日を見ながら一杯やろうかな、みたいな安らかな顔。ラストカットが最高すぎるよ。ていうか次回作で帰ってきて何するんだろ。帰ってこないでいいよ。どうでもいいけど、サノスおじさんのアゴ、アップで見るとフィナンシェに見えて途中から全く集中できなかった。あと腹も減った。
 とまあ、サノスおじさんの魅力が5割くらいなんですが、もう5割はその衝撃的な結末!「どうせ詐欺キャッチコピーだろ…」と思っていたのでめちゃくちゃ興奮したしスタッフすごい!このラストは絶対にネタバレできないなー。よく事前に漏れなかったなー。箝口令すごい。え、まさかあの人も???!!嘘でしょ??という。そして、ルッソ兄弟監督による天才的な交通整理。よくもあれだけのヒーローを上手く組み合わせて活躍させたよなあ。もちろん、活躍するやつしないやつムラはあるんだけど(アントマンとか姿も見せない)、それにしてもすごい。その結末と対照的に劇中では笑い声が絶えなかったのも印象的。特にGOG勢ね。で、その中でもドラックスおじさんね。全然ぶれない。タイタンで会議してる時のトニー・スタークの「あー、こいつらめんどくせーな…」っていう表情がもう最高!
 で、このあとどうなるんですかね…。『アベンジャーズ4』(仮題)は来年5月公開だからそれほどまたなくてもいいのは嬉しいけど…。今回の映画に出てなかったアントマンの第二弾『アントマン&ザ・ワスプ』は2018年8月31日公開だから、そこで今回の話の結果、世界がどうなったかに触れられるのかな…。とにかく続きが気になる!”] [cf_cinema format=3 no=3 post_id=8567 text=” 主人公エリオ役のティモシー・シャラメが晒す肢体が良い。なにしろ全編の2/3くらいは上半身裸という。少しなよなよとした少年らしい体つきで、巻き毛がクルッとした少女漫画に出てくるような典型的な美少年が目に眩しい。そして彼と対になるアメリカから来た若き考古学者オリヴァー(アーミー・ハマー)。エリオとは対照的にがっしりした肉体とかっちりと撫でつけられた髪がいかにもアメリカ的なマッチョイズムを感じさせる。2時間に及ぶ物語の大半はこの二人の感情のすり合わせに費やされるのでいささか途中で退屈に感じたところもあったのだけれども、例えば初めてのキスの前に指が触れ合うあたりであるとか、交接の前に足を絡ませて反応を見るところなんかは、「ああ、こういうのあるある」というのが呼び起こされて、繊細な良いシーンだった。エリオが当てつけで女友達をヤリ捨てるとことか、やってることはひどいのに、何故か共感できる変な魅力のある少年でした。で、この映画の本当に素晴らしいのは最後の20分。特に旅を終えて帰ってきたエリオを迎える父パールマン(マイケル・スタールバーグ)が滔々と息子に語りかける場面ね。その言葉に連動するかのような淡々と静かに彼の姿を画面に捉えていくカメラワークも良かった。劇中でも指摘されているけど、あの父親のリベラリズムというかある種の放任主義的な教育方針はすごいよね。1983年という時代設定を考えるとなおさら。ホモセクシャルな関係が普通だった古代ギリシャ専門というところも明らかに関係してる。しっとりとした薄暗さを湛えた北イタリアの古い邸宅と夏の緑のコントラストも抜群に良かった。”] [cf_cinema format=3 no=4 post_id=8703 text=” いやー、もうひたすらしつこかった!前作もそういう傾向あったけど、今作では特に。まず、冒頭で起こったひどくつまらない出来事が最後の最後まで後を引く。作品紹介を読んでおけばあれが物語の軸になっていることは事前情報としてわかるのだけど、ほとんど予備知識無しで観たので、あのひったくり自体はすぐに終わるものだと踏んでいたら、まあ長い長い。っていうか作品自体も150分だしね。些細な出来事が物語の契機として大きな出来事に発展していくということはよくあるパターンだけど、この映画はもちろんマンションの住人にまで話が膨らむということはあるけれども、特に裏があるというわけでもなく、しょぼい事件のまま終わる。でもそれがいい。最後のどうにももやもやした雰囲気とかね。事件自体はたいしたことないんだけど、少年の心を深くえぐっていく。そういえば、あの少年もしつこかったよね。っていうかみんなしつこいよね。クソうるさい展示室でアンに詰め寄られて痴話喧嘩するところもやたら繰り返しが多いし、そしてなによりあのモンキーマン!誰だよあのバカ連れてきたバカは!あの場面はとても嫌な汗が全身を流れた。喜ばしいことではないのだけれど、袋叩きに合うところはでホッとしてしまう。あと、良いか悪いかは別としてとにかくワンシーンが長い!長回しというわけじゃなくて、単純に長い。きらいじゃないけど。タイトルである「ザ・スクエア」は舞台となる美術館(ところで、あの「美術館」を美術館と呼ぶのは若干抵抗がある。個人的には美術館とは展示室である前に研究機関であるべきであると考えているので)の前庭に設えられた4メートル四方の「枠」だが、これはある種の社会的な枠組み(特定の集団とか)を視覚化したものと言えるだろう。その枠の中に入らなければ人が人に優しくすることは出来ないのだろうか。冒頭のインタビューの中でクリスティアンが言う「君のバッグをこの美術館の床においたらそれはアートか?」というセリフはこの問題に対する一つの回答となっている。”] [cf_cinema format=3 no=5 post_id=8710 text=” 「悲劇と喜劇は裏表」とはよく言ったもので、一人のフィギュアスケーターがアホな人たちによって人生めちゃくちゃにされる話なんだけど、登場人物がみんなイカれているので後腐れなく観れる。元夫のジェフ(セバスチャン・スタン)は典型的なDV系ダメンズで、彼による暴力はトーニャの人生に大きな影響を与えているのだけれど、トーニャ自身のエキセントリックな性格と、事件のコミカルな描き方が合わさることによって、完全にコメディになっている。そして、この映画が上手いのは、そういった描き方を含めたトーニャの人生と事件そのものを「可能性のある真実の一つの形」として描いている点。結局の所、事件の首謀者がトーニャ自身だったのかははっきりとはわからないのだけれど、そういうわからない部分はそれはそれとして開き直って描ききっている。最初に出る「事実に基づく物語」という文章も「眉に唾つけて観てね!」と続く。このあたり、よくある「真実の物語…」と言い切ってしまったり、逆に『グレイテスト・ショーマン』のようにファンタジーに逃げ込んでしまうという態度とは一線を画している。劇中では、登場人物たちが画面のこちら側に幾度となく語りかけてくる。「これは本当にあったことよ」なんて。それも彼らにとっては真実だったんだろう。だからそういう意味ではこの映画は、再現映画における「真実」と「嘘」をめぐる「物語」であるとも言えるだろう。それにしても驚いたのが人物の再現度の高さ!よくある「事実に基づく物語」って当事者に似せる気が殆どないと言うか「違ってるけどこっちのほうがかっこいいしいっかー」みたいなノリだと思うんですけど、この映画は違う。エンドロールで定番で流れる実際の人々の映像あるじゃないですか。劇中とまんまですからね。むしろ本人が演じてんじゃないかっていうくらい。特に驚いたのがアリソン・ジャニー演ずるトーニャの母親ラヴォナ。劇中のインタビュー風映像で肩にオウム乗せてて、「いやー、これキャラ盛ってるでしょwこんな漫画みたいなやついないでしょw」って思ってたら本当に肩にオウム乗せた映像が流れて流石に吹いたw あと、あの「良かれと思って」のショーンね。(この話では)彼が黒幕として描かれてるんだけど、あの強烈なキャラクターも外面/内面どちらも映画のままなので、これは衝撃でした。”] [cf_cinema format=3 no=6 post_id=8714 text=” やはり学生映画から一歩抜け出そうとする映画というのはなんとなくわかるものだな、という作品。荒削りながら、いやむしろ荒削りだからこそ際立つ個性が滲み出ている。一般商業映画にはない、どことなくぎこちない雰囲気がたまらない。独特の会話の間が印象的。休み時間のクラスメートたちが交わすあの会話とか、あえてああいう作為的で胡散臭いような感じにしているのが面白いよね。みんな言ってるけど、全体的な雰囲気は大林宣彦的な感じで、ちょっとレトロ。カメラも。エモーショナルな場面がいくつもあって、最後の校庭に置かれた机の上を二人で平行に歩いていく場面とか、ユミコテラダンスさんが主人公のジュンに語る教室の場面、ここも机の上を軽やかに動いていく少女の影が印象的。そういえば、どちらも机の上なんですよね。そういうちょっとした非日常(あとライブのとことかね)から彗星核が復元するような奇跡に近いような出来事が混在している世界観が魅力的な作品でした。ここが!という勧め方は難しいんだけど、かつて学生だった大人たちに観て欲しい青春映画。…でも一番覚えてるのはひと:みちゃん演ずるド・ジッター博士の怪演!上映終了後の舞台挨拶でもまんまで笑った。素敵。”] [cf_cinema format=3 no=7 post_id=8723 text=” なんかもうクズとバカと何もしない人しか出てこない映画でたいそう疲れました…。いや、いい映画なんですけど。急に出てきた自称長男がワガママ捏ねてるおかげで次男と三男がひどい目に合う話。あ、いや次男は何もしないで悩んでないだけだからノー被害でしたね。次男の嫁(篠田麻里子)がちょっとかわいそうだったかな、という程度。でもあの人も子供連れて身体売りに来てるからねー。バカしかいねえ。でも気持ちはめっちゃわかりますね。キチガイ親父の介護が終わったと思ったら遺産全部取られるとか普通にキレるわ。例の土地がどうなるのか、最後の最後まで読めないので緊張感を持って観れるのが良かったですね。本筋と関係ないかのように始まる自警団と中国人コミュニテイの話も、なるほどそこでつながるのか、という(しかしタイトルはまんま「自警団」なんだよな)。ああいう若者いそうですよね。若さゆえの過ちという感じの。気になったのは、どうもそれぞれのキャラクターの動機がパッとしないということ。例えば一郎(大森南朋)がああまで頑なにあの土地にこだわっている意味がよくわからない。何かエピソードがあれば共感できたんだろうけど。あと三郎(桐谷健太)も最後の最後で何故か一郎に肩入れするし。家族の絆的なものがあそこで強烈に出てくるのがどうも引っかかる。命捨てるほどか?っていうね。焼肉屋でまさかの机貫通串刺しされた三郎ちゃんの表情がまあ真に迫っていてベストアクト!クソ痛そう。埼玉県の閉鎖的であんまり未来が無さそうな典型的地方都市を舞台にして、その土地にしがみつくようにして生きる人々を活写したところは、さすが『サイタマノラッパー』の入江監督と言ったところでしょうか。そういう意味では、横浜ヤクザにバカにされてキレる地元のチンピラのあたりとか印象的でした。”] [cf_cinema format=3 no=8 post_id=8728 text=” クチャラー映画。阿部サダヲのクチャクチャ音を延々聞いているだけで元を取った気になる。阿部さんの役作りがすごいよねー。本当に絵に描いたような汚いおっさん!そして何故かそいつと付き合ってる蒼井優(笑) 一応、出会いの場面がちょこっと挟まれてるんだけど、完全にストーカーにしか見えないんだよなあ…。付き合ってからも束縛がすごいし。で、なんで彼がこんなにも束縛しているのかが最後にわかるという仕掛け。気持ち悪いおっさんと若い女が共依存っぽく付き合ってる話かと思いきや…。途中から「ははあ、この失踪した黒崎さんが実はこいつなのだな…」と推理したんですが、普通に外れましたし、黒崎さん(竹野内豊)はタダのクズでした。蒼井優が浮気する水島くん(松坂桃李)もまたいい男で、濡れ場もエロかったですね。しかしこいつもクソ。蒼井優のだめんず・うぉ~か~っぷりがすごい映画でもあります。あと劇中のメシが美味そうなんですよねー。コロッケうどんとか。食べ方汚いから相殺されてんだけど笑 しかし最後の最後になって「お前の赤ちゃんになりたい」とかいうキモオタっぽい発言しちゃうのが萎えるなー。そしてめっちゃ迷惑なケリの付け方!○○必要なかったと思うんだけど…。不機嫌なクレーマー蒼井優をみたい人にオススメ。”] [cf_cinema format=3 no=9 post_id=8732 text=” メカゴジラ詐欺映画。やっぱりなんだかんだ言って、怪獣映画と銘打っておきながら肝心の怪獣が前半全く出てこないってのは良くないと思うんですよね…。こんなにもワクワクする設定なのに前半はほぼ説明しながら移動ですもんね。テキストが長いし多い!虚淵さんの悪いところが出た脚本だなあという印象。最後の決断のところもね、気持ちはわかるし、テーマはすごく好きなんですけど、さっさとやろうぜ感がハンパない。引き合いに出すのもあれだけど、その点『シン・ゴジラ』はあっさりしてたよね。肝心の戦闘シーンも、また囮作戦…。戦術としてはリアルなんだろうけど、地味だよね…。相も変わらずヒットアンドアウェイ。前回のクソバイク消耗戦よりはかっこいいと言えばそうなんですけど…。あ、SFとしては割と好きです。ナノメタルの設定も、原住民が槍に使ってたから「そんなもんどうやって加工してるんや…」と思ったんだけど、なるほど、そういう性質かー。主人なき後、2万年も健気に自己増殖してたメカゴジラシティもねー。そりゃビルサルドもおかしくなるよな。異種族間の軋轢というか、相容れなさが描かれたのも良かった。でも2万年経ってるのに死体(ナノメタル)が転がってるのおかしいでしょ…。そういう細かいところも惜しいんすよね…。前回あったメカゴジラ開発工場の襲撃シーンも挿入されなかったし、せっかく舞台が富士山麓なのに『猿の惑星』ライクな富士山のカットもないし…。あーあと、「<メカゴジラ>が起動する」っていうキャッチコピーね。起動しないじゃん。大事なことなのでもう一度言うけど、メカゴジラ詐欺じゃん!メカゴジラシティは起動するけど。モ○ラも思わせぶりなのに最後まで卵すら出ないし…。たぶん作ってる方は「溜めて」るんだと思うんだけど、そういうの要らないんですよ!もうドンドン出しちゃってよ!!流石に最終回では出ると信じてるけどさー。結局、今回もノベライズの方が面白かったなあ…。予想通り次回は「怪獣大進撃」なので期待してます。”] [cf_cinema format=3 no=10 post_id=8736 text=” フィクションとドキュメンタリーのあわいのような映画。監督自身が主人公を演じるという点もさることながら、わずかに手ブレするカメラの視点、街の環境音が入り込む音響、人物の一挙一投足を静かに追いかける視点、そしていかにもありそうな人々の会話。監督自身が言っているように自身の私小説的な作品なのでひたすら地味な会話劇なのだけど、この会話の数々が抜群に面白い。誰も彼もその場にいない人の陰口を叩くかタバコを吸っている。リアルだなあ。それを聞いている隆太郎は内心「みんな馬鹿」だと思っていて、その怒りが静かに伝わってくる。いつ彼が爆発するのかドキドキしながら観ることになる。彼の怒りは周囲のバカども(つまり僕たちのことだね)だけではなく、自分自身にも向かっていく。夢を語るだけで行動しない仕事仲間(木村知貴)へ向けられた怒りは、全く同じ自分自身に向けられた怒りだ。とにかく監督自身静かに、静かに、しかし着実に怒りを溜めている映画である。そして、最後まで見るとその怒りの源が、「もう二度と戻らない過去」にあることがうっすらと伝わってくる。おそらく、推測に過ぎないのだけど、現実はこの映画とは逆だったのではないか。監督自身がその過去の失敗を映画という形で取り戻そうとしているのではないか、そしてその結果がこのような虚実入り交じった作品の体裁になったのではなかろうか。そう考えると、最後の父親に向けられた「ぶっ殺すぞ!」は全く違う意味に見えてくる。”] [cf_cinema format=3 no=11 post_id=8742 text=” ドウェイン・ジョンソンの安定感がハンパねー!飛行機落下中でもなんとかなりそうな感バリバリなのでめちゃくちゃ安心して観れる。さすがロック様!そしてもうひとりの主人公である白ゴリラのジョージがクソカワゥイーー!最初の登場シーンで手話で会話してるところで、もうこいつに感情移入してしまって、街で大暴れしてる場面もついつい応援してしまう。人喰ったりするけど。表情がまた良くて、目がね、キレイなんですよ。人間より人間味がある。言葉は話せなくてもちゃんとコミュニケーションできるので、正直言って言葉は話せるけど全く譲る気がない『ピーターラビット』のクソうさぎたちより100000倍くらいおりこうだしかわいい。前情報だけだと、でかい動物たちがわちゃわちゃするだけの映画かと思ってたのでこれは嬉しい誤算(完全に『ピーターラビット』と逆である…)。『ピーターラビット』観に行くつもりでこの映画観て欲しいし(しかしグロ注意!)、なんなら『ピーターラビット:小獣大乱闘』ってタイトルにして二本立てにしてほしい。というくらい対照的な作品で面白かった。そして肝心のアクションシーンも最高!大きさがちょうどいいですよね。ゴジラみたいにでかすぎないので、等身大(?)の恐怖感とリズム感ある暴力!何トンもある装甲車を千切っては投げ千切って投げのシーンとか、他の怪獣映画ではあまり観られない絵面で興奮!まあ先行作品としては『キングコング』とかあるけども。出てくる巨獣はでかい狼とでかいワニ(クソ強い!)とでかいゴリラの3匹なんだけど、この3匹が高層ビルをモリモリ登っていくシーンもエモーショナルな場面で印象的。でかいワニも不自然なまでにガシガシ登っていくので爽快感ありますねー。無駄にフロアの中を荒らし回ったりするし。全体的にテンポも良くて、しょーもない回想シーンとかも必要最低限で話がどんどん進むし、悪役もあっさり死んだりする。ゴア描写もグロすぎないし、コミカルな場面もたっぷり。最後のジョージのジェスチャー、下品で良かったよね。ドウェイン・ジョンソンとジョージのコンビ最高なので、彼らの活躍をもっと観たい!続編是非!今年最高のHGM(ハートフル・ゴリラ・ムービー)はこれに決定!”] [cf_cinema format=3 no=12 post_id=8744 text=” 「新文芸坐×アニメスタイルセレクションvol.103 岩浪音響監督ワンナイト・センシャラウンド! 一夜限定東亜重音!! エクストリームブースト!!!」にて。SAOシリーズ未見だったけど、普通に楽しめました。っていうかなんとなく例のコピペ(「キリトかなーやっぱりwww」)のせいで避けてたんだけど、面白いですね。これは若者にウケるわ。本編も観たくなりました。デスゲームものだし。シリーズ未見の人でも、イントロの説明でなんとかついていける…と思う。VRとARが対比されてるわけなんだけど、ARであんな動きするの、無理ゲーすぎませんか…?劇中でもアスナに突っ込まれてましたけどwあと、ARの方が安全というのが強調されてるんだけど、普通に路上とかでオーディナル・スケール起動したりしてるし、逆に事故多そう。車突っ込んできたら死ぬわ。実際に死ぬSAOと違って、こちらでは確かに「死なない」。しかし、その代りSAOサバイバーのみが「SAO時代の記憶を失う」というのが本作の味噌。キリトとアスナという、シリーズを象徴するカップルの共有する記憶を軸にして展開する物語は、これまでのシリーズ展開の重みがあってのものであり、彼らと共に物語を体験してきたこれまでのシリーズ・ユーザーに対するボーナスのようなものでもある。そういった意味では、一見さんでも楽しめる独立した物語とは言え、やはりヘビーユーザーとの温度差というのもあるのかもしれないし、劇中の人々の抱く切実さというものはこれまでの視聴者にとっては初見の人間とはまた別の意味を持つのかもしれない。「VRとAR」、「肉体の死と記憶の死」、「現実と仮想」、そして「主人公とモブ」という様々な対立構造を巧みに描ききっている作品。もちろん、いろいろと突っ込みどころはあるけれど(例えば、記憶を損なわずにスキャンする方法はなかったのか、とか)。”] [cf_cinema format=3 no=13 post_id=8746 text=” オールナイト2本目。この日のメイン。新文芸坐の大スクリーンに「NETFLIX」のロゴがババーンと出るのが出落ち感あって良かった。観るのは2回目だけど、前はネトフリで済ませちゃったから映画館で観るのは初。全体的に都市が暗く描かれているので、明るい室内でスマホとかで観るとわからないデティールもしっかり観れたし、アクションはダイナミックだしで、実に映画館向きの作品ですね。今回は岩浪音響監督特集ということで、一夜限定東亜重音。さすがに重力子放射線射出装置の発射音はしびれた!(『劇場版 PSYCHO-PASS』と違って)景気よくぶっ放すので楽しいですねー。1回目観たときは「これは『BLAME!』なのか…」と自分の中の二瓶信者が囁いていたんですけど、今回は普通に楽しめました。っていうか原作通りだと正直わけわからないと思いますしね。瀬下監督もトークで仰ってましたけど、物語のベースは西部劇であり『七人の侍』で非常にシンプルでわかりやすい。世界観はそのままに上手く映像化していると感じました。個人的に好きなシーンは自動工場でシボさん完全体が出てくるところとかサナカン登場のところとか。シボさんの足のデザインがめちゃくちゃ好きなんすよね。あと、本当に霧亥のセリフが「俺は、ネット端末遺伝子を探している…」と「このあたりにネット端末遺伝子を持つ人間はいるか…」くらいしかなくて笑った。このあたり、事前のトークショーの内容が効いていてイベントならではという感じ。また大画面で観たい!”] [cf_cinema format=3 no=14 post_id=3740 text=” オールナイト3本目。何回も観てるし疲れてたから寝ようかと思って目を閉じたんだけど、最初の砲撃音で普通に目が覚めて全く寝られなかった…。さすがはセンシャラウンド!新文芸坐、音響もいいんですけど、かなりきましたね。目が疲れてたんで、半分くらいは目を閉じながら観てんたんですけど(?)、音だけ聞いてても面白いし、新鮮な気分。会場、主にガルパンおじさんで満席だったんだけど、同行してたガルパンおじさんに言わせると、「今回のチューニングは砲撃音もキャラクターのセリフもはっきりしていて聞き取りやすい」とのことです。うーむ、わからん。それにしてもこれだけキャラクターがいて、それぞれ誰のセリフかが目を閉じていてもわかるというのはキャラクター設定の上手さなのか、自分が回数こなしているからなのか…。隊長たちがわちゃわちゃ会議してるシーンとかそど子たちがやさぐれてるシーンとか、画面見なくてもなんとなく脳内再生されてしまう…。月1回とは言わないけど、年1回くらいは大画面・大音響で観たい映画ですね。”] [cf_cinema format=3 no=15 post_id=8748 text=” 今月のMVC!とにもかくにも画面も音も情報量が多すぎる。植芝理一もかくやというレベルで画面を覆い尽くすかのように様々なオブジェクトが配置され、日本語と英語とその通訳とセリフの字幕と画面上の文字の字幕が入り乱れるごった煮のような様相を呈している作品。しかし、その中にあってもウェス・アンダーソン的な美意識が貫かれ、ある種の不自然なまでの秩序が画面を支配しているのはさすがとしか言いようがない。それは例えば、整然とコンテナ状のゴミが積み上げられている「新ゴミ島」であったり、横スクロールアクションゲームを彷彿とさせるキャタクターたちの移動方法であり、そしてあらゆる場面で繰り返されるいつもの左右対称の画面構成だ。ストップモーションの前作である『ファンタスティック Mr.Fox』よりさらに込み入った、様々な文化のレイヤーを重ね合わせた複雑な世界観、それでいて計算され尽くされた画面構成はにとって、おそらくアニメーションという手段は最適だったのだろう。少年と犬との関係というオーソドックスな物語を軸にして、多種多様な人々が自らの思惑をもって行動するやや込み入った話も上手かった。この作品において、犬は個人に対して服従するものであると同時に、大きなモノに対しては反逆者として機能しているが、そういった二重性も面白い。それにしても常々ウェス・アンダーソン作品とディストピアは相性が良いのでは?と感じていたので、今回の作品はまさにこれや!といった感じだった。個人的に印象的だった場面は寿司職人のところと最後の手術のところ。どちらもとんでもないレベルの細かな造形とリアリティある演出で目に焼き付くように残ってしまう。手術の方は先生の「はい、縫いますよ」「はい、メスー」みたいな「医療モノあるある」っぽい演技も面白く、あとで気づいたらなるほどあの人は渡辺謙かー。”]

まとめ

 年間ベストに入れたいのは『犬ヶ島』!やっぱりね、この情報密度の高さは何度でも観たくなりますし、演出的にもウェス・アンダーソン集大成という感がありますね。でも、今月のMVCは『ピーターラビット』!!万人におすすめできますよね(???)!そして『ランペイジ 巨獣大乱闘』も予想外の面白さ!適当に言ってますけど。この三本、どれも動物たちが人間に叛逆するという共通点があることに気付いたんですが、その中でも一番可愛らしいイメージのあるウサちゃんが一番アグレッシブで全く譲る気がないというのが…笑 邦画の方は『枝葉のこと』がとにかく良かったですね。あとからじわじわ来る感じが邦画らしい。全体的に外れが無い月でした(メカゴジラ詐欺もメカゴジラが出てこない事以外はそんなに悪くはなかったです≒最悪だ)。

 来月は、ファミリー映画の傑作との声もある『デッドプール2』(もう観た!2018年6月4日現在)、やっとイオンシネマ以外で観られる今泉力哉監督の『パンとバスと2度目のハツコイ』、『ほとりの朔子』の深田晃司監督の新作『海を駆ける』、神風動画×中島かずき脚本で期待が高まる『ニンジャ・バットマン』あたりを観る予定です。