はじめに

 今月も積読を200冊以下にしようとしたけどできませんでした…。だいたい、Kindle入れてから悪化してるね!セールになると買っちゃうし!今月も漫画セールやら科学ノンフィクションセールやらで50冊くらい買ってるのでバリバリ増えてますね…。雑誌も定期購読でどんどん増えてるので消化しないと…。

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映画の方のログ

今月のベスト1冊!

ニール・スティーヴンスン『七人のイヴ』第Ⅱ巻

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 さて、今回ついに「ハードレイン」発動!人類が最後の祈りを捧げる中、ドンドコ都市を破壊していく隕石群。このあたり、なんか感情移入しちゃってなかなか読み進められなかった…。特に最後まで演奏を続けていたフランスの交響楽団のくだりとか。でも実はこのパート、ページ数にするとほんの10ページもなくてかなりあっさりしてるんですよね。本題は資源小惑星アマルテアとが一体した宇宙ステーション<イズィ>と、突貫工事で打ち上げられた数百の人間缶詰<アークレット>群での政治劇!で、このスタート時点での残存人類は約1,500人。70億いた人類があっというまに0.00002%に…。す、すくねえ…。と思う間もなく次々に襲いくる火球。燃え盛る地球の大気は膨張し、生存者たちの運動エネルギーを掠め取る…(結構ギリギリのところにいる)。そして大統領の陰謀…!<イズィ>の軌道を上昇させるために彗星のかけらがもたらされ、これで一安心と思いきや、ここからの怒涛の展開が凄まじい!彗星を持ち帰るくだりもそうだし、宇宙ステーション(とアークレット群)を上昇させるための軌道計算であるとかタイムスケールがまあリアル(実際計算しているわけではないけど、「それっぽく見える」というのは大事なことだと思う)。どんどん減っていく生存者たち。とりわけ、月軌道まで到達したあとのジェットコースターのような展開にはページを捲る手をやきもきさせられるほどの興奮がある。『天冥の標』で絶賛風呂敷畳中の小川一水先生が「人類、生き抜きすぎにもほどがある」なんて文句を帯に書いてて、「終章 全太陽系応答せず」なんて名文章を書いていた虐殺者が何を言ってるんだろう、と思ってたのだけど、さにあらず、本ーーーー当にギリギリ!こんだけ絶滅寸前になるSFもなかなか珍しい。単に絶滅するんじゃなくて、あそこから文明を再興しないといけないというの、とても厳しいものがある。そしてこの2巻の最後でタイトルの「七人のイヴ」に行き着くわけですが、しかしこれは3ヶ月連続刊行じゃないと暴動が起きるぞ、というくらいの3巻への期待が高まる引きでした。次はいきなり5000年後から始まるのかなあ…。あの土地での宇宙開発もぜひ読んでみたいんだけど。

おすすめの新刊!

新刊の定義は過去3ヶ月以内くらいに発売された本でお願いします…

Boichi『ORIGIN』第7巻

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 前巻まで京都で死闘を繰り広げていて東京に帰還、さてどうなると思ってページをめくると、主人公のロボットがネットでエロ漫画売り出してたりするからBoichi先生の漫画は油断できないんだよなあ…。戦闘用ロボットがエロ漫画描いて小銭稼ぐ漫画、読んだことあります?人間の頭がガンガン弾け飛ぶ激しい戦闘と日々の生活の金策をするというギャップがこの作品の魅力ですね。世知辛ーい!電気代が高すぎるよね…(50万円弱)。合間合間に士郎正宗チックな神と人とロボットの話も入ってくる。盛りだくさん。そこにラブコメも入ってくるけど、あまりとっちらかった感じがないのは主人公・ORIGINの目標と行動原理がはっきりしているからかなー。今巻の展開からはそこに復讐譚の要素も入ってきそうだけど、「感情がない」と言っている主人公がそのあたりの葛藤をどう処理していくかがポイントになりそうですね。あと、マイちゃんがかわいそうな巻でしたね。そういえば、初期の巻にあった設定資料みたいなやつが最近無いなあ。あれ好きだったんですが…。今回のおまけマンガもいい話だったけど。

『ORIGIN』第7巻、p.16

ロボットなので電気代がかかりすぎ!!(p.16)

『ORIGIN』第7巻、p.55

エロ漫画を描いて小銭を稼ぐ戦闘ロボット…(p.55)

『ORIGIN』第7巻、p.56

(シリアスな漫画です)(p.56)

とよ田みのる『FLIP-FLAP』

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 Kindleセールで99円だったから買ってみたんだけど、普通にオールタイム・ベスト級の傑作でしたね…。みんなが絶賛するだけのことはある。主人公・深町くんの惚れた女の子がピンボールキチガイだった!というだけの話で、彼女の出した条件をクリアするために日々ゲーセンに通う深町くんを描いたラブコメ…ではなくピンボール漫画。「ピンボールってあれでしょ?場末のゲーセンの端っことかにあるアレ」と言うなかれ。この漫画の肝は、このピンボールの描写のダイナミズム!ボール目線で画面のパースがヤバイ。とよ田みのるの手にかかると、狭いゲームの中が無限の広がりを持った空間に変貌し、直径2.7cmのボールが縦横に疾走する。登場人物は台をバンバン叩きまくるし、全然地味じゃない…!ピンボールのルールとか全くわからないし、経験もないのだけれど、まるで眼前にあるかのような臨場感。言ってしまえば単なる「玉転がし」をここまで情熱的に描ききったことによって、劇中の二人のピンボールキチガイたちの生き様が活き活きと紙面に立ち現れてくる。「意味のないもの(ゲーム)」が「かけがえのない人生の一部」へと変化していく瞬間を描いた青春漫画の傑作。ピンボールという題材に手が出しにくいかもしれないけれど、万人に読んで欲しい漫画ですね。

FLIPFLOPs『ダーウィンズゲーム』既刊15巻まで

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 これもKindleセールで1,2巻が激安だったので買ってみたらまんまと既刊15巻まで一気に買ってしまった…。それでも49%ポイントバックだったから実質半額だったんですけど。いわゆるデスゲームものなんですが、ポイントでアイテム買えたり、1ポイント=10万円で換金できたり、ガチャがあったりといったソシャゲ要素が組み込まれてるのが面白い。ゲーム開始時に一個だけ異能<シギル>がもらえるんですが、これがランダムでショボすぎるやつから天変地異起こせるレベルのものまで幅広く、しかもリセマラできないという…。現実は非情である…。今の所一番しょぼいのはカネヒラさんの部下のヤマウチさんの「帰巣本能<バードコンパス>」(仲良しの人の場所がわかる)かなと思うんだけど、とにかく主人公の異能(物体を創造できる)が強すぎる上にどんどん仲間も集まってきてて、ポイントもジャンジャカ溜まってて(日本円で数十億円…)、いわゆるデスゲームっぽい緊張感は全く無いんですよねえ。むしろ、三国志みたいな?クラン戦がメインになってきてるし。個人的にはポイントやりくりしながら、持ち前の使いづらい異能を応用で使って少しずつのし上がっていくようなタイプが好きなんですが(そういう意味では「渦動輪の王<ザ・スピナー>」の彼が主人公でも面白そう)、まあでもこれはこれで安心感があっていいですね。「オレつえー」ラノベが流行るのもわかる気がします。ゲームの謎が全く明かされていないので、そういう意味でも今後の展開が楽しみ。推しはレインさん。ボブカットかわいい。テンポも良くて面白いんでアニメ化してほしい気もしますが、人気なさそうですね…。

ランドール・ マンロー『ホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるか』

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 今更だけどKindleで安かったので…(こんなんばっかりやな)。どうしても柳田理科雄先生の『空想科学読本』を連想してしまうし、実際にやりすぎな回答をしたりもするんだけど、科学考証というよりは読者からの素朴な疑問に答えるという形なので、文章に入っていきやすい。元ネタがわからなくてもいいという意味で。表題の「野球ボールを光速で投げる」ような疑問も多いけど、本当にくだらない質問もあって楽しい。例えば「モグラ(mole)を1ヶ所に1モル(mole)集めるとすると、どうなりますか?」とか。ダジャレやん。でもちゃんと計算して答えてあげるマンローさん。良い。意外に自分が勘違いしているのも多くて、「使用済み核燃料プールで泳いだらどうなるか?」とか「マリアナ海溝に直径10メートルの穴を開けたらどうなるか?」とか思ってもみなかった結果で驚く。話のオチがシニカルでクールなのも特徴で、「光速の野球ボール」のエピソードだと、「打者はデッドボールで1塁に進める」とかね。一つのエピソードが短くて読みやすいのもいいし、そんなに理系の知識がなくてもちゃんと解説してくれるので文系野郎にもオススメ。

サレンダー橋本『働かざる者たち』

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 一昨年の『恥をかくのが死ぬほど怖いんだ。』に続くサレンダー橋本先生、待望の新刊!舞台は大手新聞社、主人公はサボリーマン(技術系)、上司や同僚はクズばっか。ウィキペディアをメモ帳に貼り付けて仕事してるふりしてる出世コース外れたおっさんとか、横領をごまかすために主人公を抱き込もうとするやつとか…。彼らには彼らなりの理由があって「働かざる者の挟持」とか宣ってるんだけど、しかしクズはクズである。彼らに惹かれて仕事とサボりの間で揺れる主人公。しかし、いつものサレ橋ワールド…かと思いきや、最後は文芸映画のような、ある意味で衝撃的な着地を見せる。仕事とは?人生とは?サラリーマンとは?僕らが常日頃考えていることの答えが提示される、というわけではない。「でもやるんだよ!」という力強さもない。主人公は惰性でただの会社員に落ち着くのだけれども、それでも何か新しいことがあるんじゃないか、という一片の希望を抱いているのが実にリアルだ。橋本先生の漫画でこんなにも心揺さぶられるとは。今年のベストに入れるべき作品。一方、同時発売の『明日クビになりそう』の方は本当にただのクズとパワハラ上司のスーパー社畜ショートショートなので合わせて読みたい。この振れ幅がいいね!忘年会の店予約を忘れた主人公が宅飲みに変更する話とか笑いすぎて死にそうになった(笑) どちらも超オススメ。

[amazonjs asin=”4253140262″ locale=”JP” title=”明日クビになりそう(1)(ヤングチャンピオン・コミックス)”] 『明日クビになりそう』第1巻、p.86

このあと主人公の取った行動とは??ほんと草(p.86)

マクレーン『怒りのロードショー2』

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 「映画批評漫画」にあらず。これは「映画”雑談”漫画」である。映画オタクたちがひたすら雑談する、ただそれだけなのだけど、むしろそれがいい。映画オタクによる映画オタクのための日常漫画。本当に何の目的もなく喋ってるのが逆にリアルなんですよね。知ってるタイトルも知らないタイトルもポンポン出てくる。登場人物の声がやたらとでかくて、テンションもおかしいくらい高い。主人公の妹のととちゃんがやたら可愛かったりしてそのへんは全くリアルじゃないんだけど、アニメしか見てないやつでもなんとなく話をあわせてあげたりしてて、あいつら優しいよな…。ちなみに推しは村山くん。こういう「わるい映画おたく」おるわー。めちゃリアルだわー。あそこまで徹底してクソだと逆に親近感わきますよね??(わかねーよ!!)今巻、夢の中行ったり妄想の中で戦車が爆走したりと、日常漫画なのになぜかアクションが豊富。ガルパンネタで1話まるまる使うとは思わなかったw でもいっちゃん最高なコマはやっぱり「とんでもねえ、待ってたんだ」ですよね!!

『怒りのロードショー』第2巻、p.9

ここ最高!(p.9)

マット・リドレー『進化は万能である -人類・テクノロジー・宇宙の未来-』

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 「スカイフックではなくクレーン」という非常にシンプルな本。「スカイフック」とは、例えば神であったり伝説的指導者であったりスティーブ・ジョブズだったりするのだけど、要するにある事象を説明する際に「都合の良い」存在のことだ。マット・リドレーは進化論から歴史の節点、企業の隆盛に至るまで、あらゆるところで信じられているこうした存在を丹念に否定していく。「ある存在を頂点にしたわかりやすい物語」の代わりに、マットが提唱するのはクレーン、すなわち、ボトムアップで創発的なカオスの中からそういったものが生み出されてきたという「分かりづらい物語」だ。伝統的な創造論、すなわち神の一言によって宇宙が始まったという壮大なたわごとを否定しても目くじらを立てる人は少ないだろうが、iPhoneを作った(語弊がある表現)スティーブ・ジョブズが「たまたま」Appleを救うことになった、という意見はにわかには受け入れがたいものがあるかもしれない。しかし、マットは彼個人の活動は認めながらも、その背後に無数の人の活動や経済の状況、流行のトレンドを読み取り、それらの要素が積み上がった上にジョブズの功績が存在するのだと結論付ける。「公教育は無駄」「技術研究に国が資金を出すのは無駄」など、受け入れることにかなり抵抗がある意見もあるものの、非常に読み応えがある一冊。

まとめ:その他良かった本&来月読む本

その他良かった本

うめ『おもたせしました』第3巻

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 手土産漫画、面白かったのに最終巻かあ…。今回も美味しそうでインスタ映えしそうなものばかり。干物まるの「伊勢海老の干物」はぜひ買ってみたい。あと最終話の全員集合でまさかの生ハム原木2本で笑ったw

森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』

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映画がとても良かったので購入。森見登美彦先生の作品、結構読んでるはずなんだけども見逃してたっぽい。映画よりもエピローグが湿っぽいですね。映画では泣かなかったけど、原作の方は泣いてしまうわ…。

来月買う本

高山羽根子『オブジェクタム』

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高山先生、ひさびさの新刊!今回もまた変な話詰合せなんだろうなあ〜。マストですね!

近藤聡乃『A子さんの恋人』第5巻

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 なんかまたのらりくらりとした話だとは知りながらもあの雰囲気の良さには抗えない。

杉谷 庄吾【人間プラモ】『映画大好きポンポさん』第2巻

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 第一巻読み切り簡潔だと思ってたらまさかの続刊!!これは嬉しい!あのあとどうやって話をふくらませるのか注目ですね。

 とにかく今月は『七人のイヴ』第2巻が凄まじく良かったので現在進行系で第3巻を読んでいます。まあ文字数多いから時間かかるね。劇中で5000年経ってるし。オール・タイム・ベスト級に面白いのでブログでちゃんと感想書きたいな。

 たぶん無理だと思うけど来月も「積読200冊以下運動」やっていきたいと思います。。。

読んだ本一覧

suitikuの本棚 – 2018年08月 (35作品)
RED SWAN Vol.1
RED SWAN Vol.1
佐川明日香
読了日:08月17日
評価4


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