やっぱり濱口竜介は天才!『悪は存在しない』

「ここでエンドロールに入ったら天才だな…」と思って終盤を観ていたのだけど、まさにドンピシャリの場所でエンドロールに入ったので素晴らしかった。こういう心が通じ合っているような瞬間は楽しいね。映画監督が100人いたら98人はあそこで切らないし、80人はあのあと15分は続くよ。あそこで切るという選択ができるのはさすがの濱口竜介という感じだ。映画が終わって3日も経つのにまだ余韻が続いている。

映画『悪は存在しない』EVIL DOES NOT EXIST

『裏世界ピクニック9 第四種たちの夏休み』:小桜さんがママになってる…!

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大きい事件もヤバげな存在も登場しないのだけど、かなり読み応えのあるエピソードが多い。このシリーズは一貫して「コミュニケーション」について描いたきたわけだけど、この巻はそのエッセンスがバランスよく散りばめられている感じ。マクロのレベルでは人類とUBWとのコミュニケーションがシシノケのエピソードによって語られ、ミクロなレベルでは空魚と鳥子の関係がより濃密に描かれていく。この作品の良い点の一つは空魚と鳥子が付き合った後の物語をちゃんと描こうとしている点にあると思うのだけど、それが端的に示されているのが、二人が小桜に「付き合うことになった」ことを伝えに行くファイル28「カイダンクラフト」。このエピソードは生成AIで裏世界の言語を解読しようとするエピソードでもあるのが面白い。表題作であるファイル29「第四種たちの夏休み」はまさにタイトルどおりの話で、空魚、鳥子、潤巳るなの「第四種」たち、そしてDS研とトーチライトの面々が「山の牧場」で対裏世界の訓練をする話。バーベキューやら焚き火やらでさながら『ゆるキャン△』っぽいノリの幕間と思わせておいて、最後に置かれたるなの独白がとんでもない本質的なところに切り込んでくる…。

それはそれとして前巻で霞を引き取った小桜さんがめちゃくちゃ「ママ」になっていたのが良かったですね。「子は鎹」みたいな話(人と社会とのね)。

大中和典さんのうつわのテクスチャがいい

Kazunori Ohnaka 大中和典 (@kazunori_ohnaka)

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大中和典さんの鉢をおむかえしました。とにかくテクスチャがいい。金属質の釉薬をまぶしたような表面はザラザラしていて、新しいうつわなのに遺跡の中から発掘されたかのような神聖な雰囲気があります。

つかいどころが難しそうですが、とりあえずわらび餅を乗せてみました。いいんじゃないでしょうか。お刺身とかも合いそうです。