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「倍速コナン」やりたすぎる:『バーナード嬢曰く。』第7巻
いつも通りといえばいつも通りなのだけど、7巻の見所は神林が読書に飽きたさわ子を連れて散歩に出るエピソード。「書を捨てよ町へ出よう」ではないけれど、いつもの図書室から離れることで見えるものがある。単純に新鮮で楽しいし、嘘かほんとかわからないけれど神林の趣味が散歩というのがいい。
「倍速コナン」の話も個人的にかなり好き。実際にやってみたいと思ったし、それを『虚航船団』の第二部と結びつける神林の感性に脱帽。自分も第二部大好きなんですよね~。
7巻の最後に置かれた「The BOOK」は最終回みたいな話でこれもいい。消費者から生産者へ。全てのオタクは程度の差はあれ、そこに向かっているような気もする。
虚無い:『3-4X10月』
初見。新文芸坐にて。先週『ソナチネ』観てからこっちを観たので「また沖縄じゃん」と思いつつ観ていた。ロードショーの時の興行収入爆死だったらしいけど、たしかにこのオチだと酷評される気がしないでもない。自分はむしろかなり好きというか、この全てを無効化する虚無的な展開はたけし映画の本質なんじゃないかという意味でかなり高評価ですね。『首』のラストにも通ずるところがある。
劇中の展開は見どころしかなくて、特にビートたけしが出てきてからはテンポが良く狂ったシーンが続くので全く飽きない。ビール瓶で殴るシーンの繰り返しギャグとか天才的なテンポ。特に好きだったのが弟分に自分の女を抱かせて指詰めさせるシーン。そこに至る展開もひどすぎるけど、指詰めるシーンの巨大な将棋の駒で叩いて無理やり切断するのが痛々しくも笑ってしまう。
沖縄から帰ってきてからのダンプ特攻も最高。漫☆画太郎的というか、このあとのオチがあるからまあ景気よく爆発やっておくか~みたいなゆるいノリが良すぎる。これ、オチを知っていないと鬱になる気がするな。
今回も寝た:『美しい諍い女』
久々に観たけど、やっぱり寝た。4時間あると絶対どこかで寝てしまう…。そのくせ、中盤のアトリエでの制作シーンはなぜか眠れずに大体観てしまうんですよね…。めちゃくちゃ長いあの制作シーン、正直退屈なんだけど目が離せない。観ているうちに大体のあらすじを思い出したんだけど、オチを忘れていて感心してしまった。上手いなあ。最後埋めてる時にチラッと見えるのもいい。全然色違うじゃん、という。
今回思ったんですけど、劇場で観ても絶対寝てしまうタイプの映画あるじゃないですか。こういうのって劇場で観るのはもちろんマストなんですけど、円盤を買って作業中に観た方がいいんじゃないか…って。なのでこれもBlu-ray買ってBGVにしてみようかと思います。4時間って時間もちょうどいいしね。
荒川蓮太郎さんの漆の盆皿を買う
うつわ謙心さんの新春の定番企画、「お茶をたのしむうつわ展」で荒川蓮太郎さんの盆を買いました。大きさは六寸。
こちらのお盆、漆ものなんですが、一見するととてもそうは思えない感じなんですよね。木の荒々しいテクスチャが漆でコーティングされている感じ。で、この漆も一般的に想像する漆じゃなくて、これは錆漆?なのかな。普通の漆だと基本的にグレアな感じだけど、これはノングレアで個人的にかなり好み。使っていくうちに色合いが変わって成長していくとのことでそのあたりも楽しみ。
とりあえず茶を載せてみました。ちょっとしたボンボンショコラとかを載せてもちょうど良さそう。大きさ的にはもう一つ上の七寸とか角盆でも良かったかなあ。
尖った演出と尖った作画が最高!:『傷物語 -こよみヴァンプ-』
3部作は観てたんだけど、こうやって一本の映画になるといかにも収まりがいい。というより、一本の映画としてまとめて観られるのが単純に嬉しい。3本のOVAを1年とか間を空けてかけるのとは圧倒的に没入感が違いますね。これは3本の中編をまとめてかけてもいいとは思うのだけど、やはりその場合でもこの長めの長編1本を観るほうがいい。
改めて観ても演出と作画が素晴らしい。昔見たときはこの尖り具合が鼻についてあまり好きなタイプではなかったのだけど、8年も時間が経つと感性も変わっていくものだなあ。特に三部作で言うところの最後の〈冷血編〉でのキスショットとのアクションシーンはもはやギャグにかなり近づいていて前回観たときもインパクト絶大で脳裏にこびりついていたのだけど、改めて観てもとてもいい。首や四肢がポンポン弾け飛んでいくのは人外ものの醍醐味だし、アイデアもそうだけれどテンポがあまりにも良い。ここの一連のアクションは何度観ても飽きないだろうなあ。
ちなみに新規カットがどこか分からなかったので、誰か教えてほしい。このレベルなら新規カットとか別にいらんよな、という気持ちもあるけど。
「傷物語 -こよみヴァンプ-」公式サイト – 〈物語〉シリーズ
すごい完成度。:『哀れなるものたち』
さすがの評判。今年のベスト候補ですね。
ベラ役のエマ・ストーンの演技もさることながら、その風貌と相まってウィレム・ディフォーが強い印象。役どころ的にも狂気のマッドサイエンティストの演技がさすがに上手い。キャラクター的にいうとベラの幼さに漬け込んで愛人にしようとするが彼女に入れ込んでしまい破滅していくダンカン(マーク・ラファロ)がいかにも人間らしい人物で良かった。
胎児の脳を入れられたベラは序盤こそ大人の体で幼児の行動をするので観ている方はかなり不安になるのだけど、話が進んでいくに従った驚異的なスピードで知識を獲得していく。彼女の成長と境遇の変化がそのまま女性の解放史をなぞっていくかのような構成になっているのも面白いし、撮影や演出のスタイルも徐々に現代的になっていく。
将軍の脳を入れ替えるのはやりすぎ。
哀れなるものたち | Searchlight Pictures Japan
掛け合いがクセになる動画配信小説:『ときときチャンネル 宇宙飲んでみた』
「紙魚の手帖」連載の後半3話は読んでいなかったのもあり、前半3話を読むのも数年ぶりなので思いの外新鮮な気持ちで読めた。
やはり配信の実況という独特なスタイルが面白いし最高。あまり配信って見ないんだけど、テイストを再現するのが上手いよなあ。コメントの雰囲気とか。古めのネットミームで会話する高次元存在とかギャップがありすぎて面白すぎる。
未読の後半の話数が特に面白く、3話でバグってたスクランブラーが機能して家の外が異世界化する話とか時流に乗ってるしかなり面白い。3話4話は絵面もいいから映像化したら映えるだろうなあ。裏世界ピクニックがアニメ化したんだし、こっちもアニメ化しないかな。配信でいいから。
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