シリーズ全部観ると24時間超えだけどなんとか完走(劇場版1とSSは省略)

「PROVIDENCE」の予習として1、2、3、First Inspectorを復習。1と2は本放送ぶり…のはずだったけど序盤の方しか覚えていなかったので本当に観たのか不安になってしまった…。北陸全域がハイパーオーツの穀倉地帯になってるくだりとか征陸さんと宜野座さんの別れのシーンとか観たら絶対覚えてるはずだしなあ。とっつぁんのくだり本当にいいし、宜野座さんかなり好きになりました。

2は割と覚えていて、やっぱり霜月監視官許せねえよなあ、となりました…。あのあたり本当に嫌。とはいえ露悪趣味的でもないから物語としてはいいんだけど。1期で友人を殺されて、2期で肉親を撲殺されて、PROVIDENCEでは肉親に近い存在を失って…。いくら色相濁らない体質とはいえこれはキツすぎでしょう…。

実は3期観てなかったんだけど、いやこれ面白いじゃん。なんで評判悪いんだ?OPがいかにも西尾さんっぽいテイストで最高!一人原画マジすか?バンバン人が死んでた1期2期と違って安心して観られるテイストもいいよね。狡噛さんも宜野座さんもちゃんと出てくるし。あと基本的に作画がめちゃくちゃ良くないですか?IGって感じ。まあやっぱり攻殻とか東のエデンとか頭に浮かびはするんですけど、こっちは社会システムの話だしね。霜月課長がコメディリリーフっぽくなってるのとか常守さんが施設に入ってるのとか色々と謎が多くてそれも良かった。

「First Inspector」は3の直接の続編で厚生省ビルが乗っ取られる話だけど、厚生省ビルのセキュリティガバガバすぎるだろ、というのはありつつもフルメンバーの活躍が見れて盛り上がりがすごい。宜野座さんの出番は少ない(どちらかといえば)。個人的にグッと来たのは裏方メンバーだった唐之杜さんが体を張って活躍するあたり。あとダンゴムシの空中戦のあたりも良かった。こっから4期に…つながって欲しいなあ…。

あーそういうことね完全に理解し太郎になれるミッシングリンク映画:『PSYCHO-PASS PROVIDENCE』

劇場版第1作と第3期の間のミッシングリンク描くというスタイルいいですね。まあ自分は直前に3期観たから言えるんですけど、これ数年待たされたガチのファンからしたら堪らんよな…という気はする。で、3期であの人が全く出てこないので薄々感じてはいたんですが、やはり実際にその瞬間を観てしまうとかなりキツイ…。しかもその後のシリーズ観ているわけだから復活もないってわかっちゃてるし。残酷だなあ。まあそこが好きでもあるのだけど。3期で死んでる人たち(慎導父とか)が動いているというのはなんだか不思議な感じがします。時系列的には全くおかしくないんだけども。それとなぜ3期で常守監視官が収監されているのか、という部分がオチになるのも上手い。そこへ至るプロセスも丁寧に描かれていて、なるほど感がありました。まあその過程で免罪体質者を世間に暴露してしまったわけで、それはどうなの?というのはありますけども。

見どころとしてはやはり朱ちゃんと雑賀先生の関係性を深掘りする一連のくだりでしょうか。おばあちゃん撲殺されても泣かなかった朱ちゃんが涙を流すって…というあたりから感じられるこの二人の信頼感。そして収監される朱ちゃんが先生の部屋と同じ体裁の部屋で一人になった時に涙を流すシーンがまた…。それと、出島で雑賀先生と狡噛さんが部屋で会話をするシーンの雑賀先生の作画はこれまででもかなり良いシーンで印象に残りますね。

ところでミッシングリンクとしては本作と3期の間に宜野座さんと須郷さんが行動課に移るエピソードが残ってるので、次のテレビシリーズか映画でやると予想。しかしかなり息の長いコンテンツですよね。嬉しい限りですけども。

「西のワイスピ、東のコナン」の西の方

なんか前々から思ってたんですけど…、この「そうはならんやろ」が立て続けに起きる構成、アレだわ。劇場版の『名探偵コナン』シリーズ。どっちもキャラクターの関係性が美味しいところも共通してるし…。「西のワイスピ、東のコナン」とか言っていこうかな。

今回も冒頭の金庫強奪のシーンから「いや、そうはならんやろ」というシーンが連続していて最高でした(というかそういうシーンしかない)。予告編で出てたローマ市内を玉が転がるくだりもタンクローリーが正面衝突して爆発するカットもまだ序の口で、爆弾型の巨大な玉(予告編で出てるアレは実は爆弾なんです)をピンボールよろしく弾き飛ばす流れとか、ヘリコプターを引きずり回すシーンとか(本当にある)、飛行機からカヤック(?)で飛び出すシーンとか、やりたい放題で素晴らしかった…。

しかし今回の真の目玉はやはりヴィランであるダンテ役のジェイソン・モモアの怪演!Twitterで誰かが言ってたんだけど、本当にギャルなんですよ。絶対信じてもらえないけど!ネイル塗ったりするし、車の色がいちいち可愛いし、なんなんだこのおっさん。でもって最凶のサイコパスなんですよね~。性格クソすぎていっそ清々しいわ。一種の復讐譚なんだけど、もはや復讐とかそっちのけでいたぶるのを楽しんでる感じがありありと伝わってきて良き。笑顔がいいんだよなあ…。

いやー、しかしここで終わるのか!なんとなく三部作くらいになりそうな気がします。

かなりちょうどいい関係:『ただの飯フレです』

言うて結局やることやるんでしょ?と穿った見方をしてたんですけど、本当に飯を一緒に食べるだけの話で、そこが素晴らしい。こういう関係、個人的にもかなり理想的だなあ。人間が真に対等な関係でいるためには恋愛関係って邪魔なのでは??とは最近よく考えていることで、まあ単純に飯を食べるだけの関係の友達がいるといいよね、という。

この漫画面白いのはグルメ漫画なのかな?という雰囲気で始まっておきながらご飯の部分はかなりおざなりなんですよね。毎回、美味しそうではあるんですけど、それもご飯の描写ではなくて二人のやり取りの中から雰囲気でわかるだけで、そのあたりの割り切り方が心地よい。ご飯は二人の関係を描き出すための媒介であって、描きたいのは人間ドラマなんですよね。それだけに二人の関係の機微の描写が素晴らしくて、例えば風邪を引いた春川さんにメッセージを送ろうとする太郎の逡巡のあたりとかすごく真摯で安心感があります。

微妙な二人の関係が変わってほしくないという気持ちがありつつ、物語としてはダイナミックに変化していくのも見てみたいという実に興味深い作品です。

面白いんだけど、なぜこのタイミングで!?という作品:『ヤキトリ』

ほんとになぜこのタイミングで???というのが正直なところ。原作、個人的にはかなり面白いと感じたんですが、鳴かず飛ばずでしたし…。

1話はさすがに説明台詞が多いのとバルカ人の言語が「チューチュー!」だったのでかなり不安になったんですが、そこをクリアすると、原作のテイストが上手く生かされていてかなり面白い!脚本は先日『オービタルクリスマス』で映画監督デビューした堺三保先生。訓練時代のエピソードとリアルタイムの紛争とがかなり入り乱れて描かれるのだけど、これが混乱もなく気持ち良いテンポなのがいいですね。ルックは今どきのセルルックで尖ったところはないけれど、特にメカニックや装備品のデザインが良く、アクションシーンの小気味よいテンポが楽しい。特に多脚戦車は動きも良くていい感じでした。

原作でも魅力的だったK321ユニットの面々はビジュアルが付いたことでより良い感じになっていてこちらも良き。特にズーハンがいいキャラ。主人公のアキラは原作よりもウザキャラになってるけど、彼が変化していくのも物語の軸となっているのもいいですね。トリックスター的なキャラであるパプキンは津田健次郎の縁起がいい。昼行灯というか得体のしれない人物というか。驚いたのが艦隊の管制AIで、まんま初音ミク…かと思ったら一応「初音ミミ」とかいうパチモンで笑った。獣っぽくなってるのでケモナーの人も是非。声も藤田咲なんだよね。

記憶転写という身体の伴わない知識に対して、生身の訓練で身体性を得ていくK321ユニットが、今自分の考えていることとリンクして面白かったです。最終話の裁判劇も原作を全く忘れていたので、「あ!そういえばこういう解決だったわ!」という驚きがあってよかった。第1話は拡大版の45分。2話以降は30分の全6話なので本当にサクッと1日で観れる感じの手軽さもいいですね。これが当たってアニメのシーズン2とか原作の3巻とかが出てくれればなあ…。