目次
ベスト10本+ベストシーン
グリッドマンユニバース
最高のファンムービー。日常シーンが特に好きだけど、後半の怒涛のアクションシーンも見どころしかない。そしてテーマも自分好みで非常に良い。Blu-rayも買いました。
ベストシーン:「裕太、頭がおかしくなったんだな…」と「あの二人付き合ってないらしいよ(嘲笑)」のシーン。
枯れ葉
言われなかったら2023年公開の映画とは思えない雰囲気。ウクライナ戦争とちらっと映るスマホの存在でかろうじて同時代に繋ぎ止められている感じ。変わらない老舗の味。
ベストシーン:循環論法を駆使してひたすら酒を飲むホラッパ(ユッシ・バタネン)。「ひどい戦争!」のシーンもいい。
窓ぎわのトットちゃん
『この世界の片隅に』を経由してここまでたどり着いた感のある戦争アニメの新たなる古典。学園の雰囲気と小林先生がただただ良い。
ベストシーン:目に炎を爛々と照り返し「次はどんな学校を作ろうか」とつぶやく小林先生。
北極百貨店のコンシェルジュさん
IGの気合が入った作画アニメ。縦横無尽に駆ける秋乃さんの動きが良すぎる。絶滅動物と「死にゆく資本主義」の象徴である百貨店のコラボというテーマも面白い。
ベストシーン:「君は北極百貨店のどこが好き?」(ツダケンのイケボ)と問われて涙を流す秋乃さん。
ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー
最後以外はほとんど常に笑ってた。渡辺哲さん演ずるサブカルじいさんがあまりにもいいキャラ。『花束みたいな恋をした』とセットで観たい。
ベストシーン:自信満々で将棋でボロ負けするちさと。
aftersun/アフターサン
噛めば噛むほど味が出る映画。大人と子どもの境界についてのお話。この年になると染み入るテーマだ。早く大人になりたい。
ベストシーン:プールでのファーストキスシーン。
小説家の映画
珠玉の会話劇。笑ったり怒ったり悲しんだり。人間だなあ。ぐるっと回って同じ場所に戻ってくるのも素晴らしい構造。
ベストシーン:みんながどんどん潰れていく飲み会。
アリスとテレスのまぼろし工場
いい感じに終わると思ったら本当にどん詰まりの話だった…。こういう出口の無い話は日本アニメではあまり観ないのでその意味でもとても良かった。昭和を総括するような話。キャラクターの芝居もさることながら背景美術が素晴らしい。
ベストシーン:カーチェイス後の締めのシーン。痛みを感じる睦美の場面。
首
ホモソと戦争の下らなさが爆発する快作。たけし演ずる豊臣秀吉がハマり役。豊臣勢の3人組が集まるともはやコント。全体的にめちゃくちゃ長いコントという感じもする。オチもちゃんとあるし。
ベストシーン:首がサッカーボールになるとこ。天才。
ザ・ホエール
観ていて色々な意味で痛々しい。ワンシチュエーションであることからくる閉塞感と最後の開放感。朗読の美しさ。劇中何度も繰り返されるエッセイがまた素晴らしい。
ベストシーン:「問題を先送りしているだけだ」。それや。
その他もろもろ
『非常宣言』
太平洋のど真ん中でまさかのUターン。そんな馬鹿な話があるか!と思いつつも面白いからいいか。ソン・ガンホがとにかくかっこいい映画。
『エンドロールのつづき』
映画愛というかフィジカルな映写装置とフィルムに対する偏愛に満ちた映画。”Last Film Show”がマジでその通りの意味だったので驚く。父と子の関係を描いた映画としても良い(描かれる関係はそれほど良くもないけど)。手作りで無理やり映写装置を作ってしまうあたりと光を捕まえようとする少年たちの場面が良い。
『金の国 水の国』
ほんとに原作のまんまだけどめちゃくちゃ良かった。特に美術が異常なレベル。イスラーム風の室内装飾美術が実にいい。あとは動物の動きとかね。ライララさんの動きもコミカルでかわいい。クライマックスは若干変更あり、エピローグをちゃんと見せてくれるの良かった。まあでも今思うと脳天気な映画ではある(それでいいとも言える)。
「『幾多の北』と三つの短編」
「ミニミニポッケの大きな庭で」は山村浩二を見に来た人がいきなりこれを観たら発狂しそう。色彩と音楽の暴力。honninmanさん最高。「ホッキョクグマすっごくひま」水墨画風のかわいい絵、ダジャレのDTM。最高。「骨噛み」かなり私小説的な雰囲気の点描アニメ。印象派的な雰囲気。好き。『幾多の北』かなり混乱させられる。筋はあるが、断片が転がっていて、糸を結び付けなくてはいけない。素晴らしい。
『イニシェリン島の精霊』
ある種の不条理劇なのだが、第一次対戦後の内戦下のアイルランドの孤島という閉鎖的で退屈な世界を舞台にしていて、世界の不確実性、不安感の表現が上手い。音楽、左手、指、島の外の内戦、など象徴とアナロジーに満ちた映画。
『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』
ユートピア≒ディストピアの概念をきちんと汲み取っている傑作。デザイン周りもかなりいい。特にタイムツェッペリンの丸っこいフォルムとパラダピアの変形のあたりとか。シナリオも時間軸の伏線の貼り方とか好きだなあ。賞金稼ぎのマリンダが可愛すぎる。デフォルメモードも出るし。
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
評判通りの傑作。今年ベストでは?と思っていたのだけど、その後に同じようなテーマの『グリッドマンユニバース』が出てきてしまった。『四畳半神話大系』っぽさもあるけど、むしろ『マインドゲーム』やカート・ヴォネガットの諸作品を思い出させる回りくどい作風。ジャンプ台の仕掛けとか絵的にも面白すぎる。ミシェル・ヨーの演技はもちろんいいのだけど、娘のジョイ役のステファニー・スーがより最高。
『犬とイタリア人お断り』
TAAF2023長編コンペ。これがグランプリだと思ってたけど、実際にグランプリ取って嬉しい。表現手法もテーマも演出も素晴らしすぎる。ミニマムでプライベートなファミリーヒストリー。手がぬっと出てくるあたりのメタフィクション感が最高。
『ティティナ』
TAAF2023長編コンペ。犬映画。アムンセンの解像度が上がった。冒険パートは前半にまとめられていて、むしろ後半の人間くさいストーリー展開が素晴らしい。画面構成も最高でアガる。
『ノック 終末の訪問者』
いかにもシャマランという感じの映画。『アンブレイカブル』系、理不尽度がかなり高い。迷惑な4人組が押し入ってきて勝手に自殺していくというかなり迷惑な話。黙示録モティーフ。『進撃の巨人』を最後まで観た後だとなんとなくシンクロしてしまう。
『名探偵コナン 黒鉄の魚影』
いつものような外連味は薄めだけど、むしろキャラクターの掘り下げに注力していてめちゃくちゃ面白い。コナン×哀ちゃんの関係が良すぎる。特にラストのキスシーンのあたり。ジンとウォッカのポンコツ感も好き。既読スルーするジンを想像すると笑ってしまう。
『聖地には蜘蛛が巣を張る』
かなりホラー感のあるミステリー。ミステリーではないか。捕まってからが恐ろしい。イランの話だというのに日本との地続き感を強く感じる。
『BLUE Giant』
背景美術がすごいなー、と思って観ていたらそれ以上にライブシーンの演出が凄すぎた。ほぼアクションアニメだわ。影の表現も面白い。クライマックスの展開もすごい。あと単純に構成が上手い気がする。
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』
普通にめちゃくちゃおもしろい。筋書きとかは普通なのに、やはり膨大な小ネタがあるというのが強い。クッパの弾き語りはどうしても笑ってしまう。マリオ兄弟の人間としての暮らしが描かれる冒頭のシーンも非常に良かった。これでテーマがないとか言ってる人は何を観ているのか気になります。
『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE』
**が死ぬあたりほんといや。出島のデザインとか雰囲気とかまんま『イノセンス』の択捉島なのはどうなんだろうとは思った。3期の謎が大体解ける展開はとてもいい。朱ちゃんが収監されてた理由もしっくりきた。なるほどね。
『最後まで行く』
はちゃめちゃにコメディじゃん。最初から最後までほとんどずっと笑ってた。絵に描いたような一難去ってまた一難でテンポが良すぎる。
『リバー、流れないでよ』
2分間ループはやりすぎだろうと思ったけど、思いの外色々なことができるのに驚いた。時間を大切にしよう(小並感)。逃避行のあたりはややうっとおしく感じたのだけど、ちゃんとしっぺ返しがあるのがいいし、終わってから考えると、「様々な可能性の模索」という意味で素晴らしい。それと劇場の雰囲気がひたすら良かったのも印象的。
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』
はちゃめちゃに面白いが情報量が異常に多くて疲れる。ペニーちゃんが1カットだけ出てくるのがいい。ムンバッタンの街並みが最高すぎる。キャラクターもいい。後半のスパイダーソサエティ本部での大捕物の場面はかなり狂ってて最高。やはり「スペダン」(13話)を思い出す。ヴィランのスポッツも面白いキャラ。最初から最後まで引っ張るなあ。
『君たちはどう生きるか』
全く前情報無しで映画を見るという今までにない体験を出来たのが良かった。多分死ぬまでにもうないだろう体験。物語の構造はオーソドックスながら内容はかなりカオス。横溢する生と死の匂い。過去作のセルフオマージュのようなシーンが多くてよかった。御大の限りない想像力に乾杯。
『ヴァチカンのエクソシスト』
ラッセル・クロウがハマり役すぎる。スクーターがあまりにも似合う。全体的に「罪の告白」という軸がミクロとマクロで活かされているのも上手い。弟子役が立派になっていって最後はバディものに着陸するのも素晴らしい。
『特別編 響け!ユーフォニアム アンサンブルコンテスト』
中編だけど、演出がひたすら良い。特にマリンバを運ぶシーンが素晴らしく良い。久美子の成長してんだかしてないんだかわからない感じも最高。久石さんのシャドーボクシングのシーンがかわいすぎる。
『ミンナのウタ』
評判悪かったから身構えてたけど、めちゃくちゃ面白いじゃん。マキタスポーツ演ずる探偵があまりにも良すぎる。こいつ絶対死なんやろという安心感。「エンドレスお母さん」のシーンが素晴らしい。落ちは爽やかすぎて逆に良い。
『戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』
シリーズの終わりにふさわしい。基本的には「真説・トイレの花子さん」だけど、あれより各段にずっと走っててすごい。工藤がもう一人の工藤を殺すシーンがクライマックス。最初はバカキャラだと思ってた若者3人の過去が暴かれるシーンが本当に嫌。しかしそれが最後に活きてくる。いやしかしこれでシリーズ終わりか…。
『コカイン・ベア』
バカ映画だと思っていたらストーリーが思いのほか凝ってる。母は強し、的なメインテーマが最後に明らかになるのが良い。シャブを決めて復活するシーン最高。
『ガールズ・アンド・パンツァー 最終章 第4話』
Aパート前半のスキーシーンがこれまでに観たことのない衝撃。凄まじいコントロールだ。アニメーションじゃないとできない表現。おまけだと思ったBパートはまさかの***が聖グロで登場するというサプライズ。これは驚いた。
『アステロイド・シティ』
これまでの物語構造と同じようだけど、フィクションであることが強く押し出されている。砂漠の街に閉じ込められるというシチュエーションも2019年以後という感じがする。火傷の意味を問いただしていくシーンが良い。
『タタミ』
東京国際映画祭。今回の映画祭で一番面白かった…んだけどイスラエル大使館協賛ってのがこのタイミングだと微妙な感じだ…。これなんでこんなことになってんのかわからなかったけど、なるほどそういうことか。次第に深刻になっていく展開の妙。シスターフッド的なつながりも良い。
『マディーナ』
東京国際映画祭。明らかに雰囲気は中央アジアだけど海なんてあったかなあ、と思ったらなるほどカスピ海。荒々しい海の情景が心情表現に繋がっていて良い。ダンスが毎回違うのもいいね。
『ゴジラ -1.0』
ドラマは本当にひどかったけど、とにかくゴジラの造形がいい。戦後すぐというシチュエーションもどうかと思ってたけど、テーマによくあってる。海上戦と空中戦というのはあまりなかったのも大きい。小舟が追いかけられる恐怖の表現はすごい。高雄と震電の登場は本当に驚いた。
『駒田蒸留所へようこそ』
ウイスキー映画としても良いし、お仕事映画として出来がいい。光太郎の成長ものとして観るのがちょうどいい感じ。駒と合わせて物語の構造が円環状になっているのも美しい。
『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』
前評判通りの後味の悪すぎる話でとても良かった。その中でも鬼太郎が生まれるという希望が描かれているのがいい。因習村の酷さは当然としても、タバコスパスパのある意味リアルな昭和の描写も素晴らしかった。バディものとしても見どころたっぷり。
『屋根裏のラジャー』
いやー、めちゃくちゃいいんだけど、これは興行苦労しそうですね。悪役のミスター・バンディングのキャラクターが実にいい。『パプリカ』を思い起こさせる「イマジナリーバトル」の場面はアニメーションならではの表現がふんだんに使われていて見ごたえがある。テーマも自分好み。
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