オチそれでいいんかい

話題作の『入国審査』、内容重そうだな…と思って後回しにしてたんですが、蓋を開けてみたらこれがめっぽう面白くて驚き。90分もないのに最初から最後まで緊張感が持続する脚本の巧みさがすごい。元カノの話は関係ないだろ…と思って観ていると、なるほど、そういう繋がりか…。互いの(今回は男のほうがメインだけど)秘密が尋問の中で明らかになっていくという展開は何か他の映画でも観た記憶があるんだけど思い出せない…。しかし、第二次トランプ政権下での上映というのはあまりにもタイムリーでそのあたりも面白い(面白いという言葉で片付けて良いテーマでもないが)。

オチがあまりにもあっさりしていて、拍子抜けする劇中の二人と感情が完全にシンクロしてしまうのもすごいなあ。あれだけ大騒ぎしてそれでいいんかい笑

映画『入国審査』公式サイト

誰向けなん?

PAの新作『不思議の国でアリスと Dive in Wonderland』、映像はリッチだし作劇は丁寧だし井上さんが作画やってたりして、佳作ではあるんだけど、正直個性がないというかなんというか…。すごく丁寧なので小さいお子さんも安心して見れるし、実際に劇場に行ったときも家族連れが何組かいたんですが(そもそもあまり人が入っていなかった)、そうなってくるとわからないのが主人公りせの存在なんですよね。物語は就活に悩むりせが亡き祖母の残したVRテーマパークで不思議の国をエンジョイしてリフレッシュして現世に帰還するという流れなんですけど、冒頭のめちゃくちゃ丁寧に描かれる女子会(酒あり)の場面とかお子さんはどういう顔で観たらいいのか…。自分みたいなアニメーション目当てで来てるおじさんも別に共感できるわけでもないし、そのへんのターゲッティングがかなり謎な映画でしたね。キャラクターは可愛いし、現代風にアレンジされたあれやこれやも楽しいし、テーマも実直でいいんですが…。企画が失敗している感じの典型的な例、という感じがします。

劇場アニメ『不思議の国でアリスと -Dive in Wonderland-』公式サイト

料理の仕方が良い

こちらも話題作『8番出口』。同名ゲームの映画化なわけですが、あのシンプルなゲームをどうやって映画化するのかと思っていたら、なるほどこう来たか、という感じです。ゲームの方はほぼ一本道の地下通路を通って異常があったら戻る、異常がなかったら進むという、あまりにもシンプルすぎるルール。この単純作業の繰り返しを日常生活になぞらえ、複数回それを繰り返すことで人生を表現しているのが、メタファーとして上手すぎる。さらに、地下通路に入る前の異変がない世界の描写で、泣き叫ぶ赤ん坊という異変を挿入し、8番出口に向かうまでの異変が実は日常と隣接していることを示しているのもいい。映画的な見せ場としてはやや問題にもなった津波の場面があるが、このようなカタストロフに遭遇しても、(引き返すという形で)人生は続いていく。中年になりつつある二宮和也はこの映画にふさわしく、ゲームではモブキャラだった「おじさん」パートがあるのも映画の構成としてもファンサービスとしても素晴らしい。

映画『8番出口』