「サチ録」ラストが最高。
めちゃくちゃおもしろかった茶んた先生の『サチ録~サチの黙示録~』がとうとう終わってしまった…。最終巻は最終回一個手前から最終回の流れがすごい。誕生日を迎えた瞬間にランとボロスが消えてしまい、二人を探してサチが夜の街を彷徨うという展開ですが、それまでになかった背景を大胆に使った演出がサチの心情とリンクしていてとても上手い。続く最終回では、テンションがもとに戻り、それまでに出てきた連中と集団で神様をボコしに行くといういかにもこの漫画らしい展開でかなり最高。マーヴはもちろん、山岳ガイドとかまで出てきて総決算感が楽しすぎる。長澤先生メインなのも大変嬉しいですね。むちゃくちゃだけどきれいな大団円でした。良い最終回ベスト10には入る出来。
盛りだくさんすぎるが変わっていく人々が楽しい
まさかのドラマ化も決まった谷口菜津子先生の『じゃあ、あんたが作ってみろよ』。3巻をようやく。どんどん変わっていく主人公・勝男が楽しいのですが、今巻では彼に輪をかけて古風な考えを持つ故郷の友人・小嶋が登場。絵に描いたような昭和感あふれる男尊女卑な倫理観で、全く悪気がないのがまたリアル。彼が家飲みで女子の椿、南川と出会う場面はまさに水と油という感じで面白い。水と油ではあるのだけど、会話を交わすうちに変わっていく気配もあり、今後の展開が楽しみ。さらに、勝男の近親者で性同一性障害のキャラクターも登場するのだけど、ちょっと急いで要素を盛りすぎている気はしないでもないのだけど、作者の問題意識がどこにあるのかがわかってこれはこれで面白い。今取り上げるべきトピックだとは思うし。
一番笑ったのはミナトの元カノが集合するあたりですね。こういうの好き。
ICCって実際に何やってるのかがわかる
越智萌先生の『だれが戦争の後片付けをするのか ー戦争後の法と正義』を読みました。主な焦点はロシアによるウクライナ侵略にまつわる戦争法の実際の運用で、そういうものがなんとなくあるのは知っていたけれど、実際にどのようにして戦争という場において法が施行されうるのか?というのは全く未知の領域だったのでとても勉強になりますね。例えば、挙げられているのはブチャの虐殺の場において民間人の遺体を検死し、実際にどのような戦争犯罪が行われたのかを調査するウクライナの検察と民間ボランティアの活動。あるいは混乱の中で民間人を殺してしまったロシア兵がどのようなフローで裁判にかけられ、罪を償う仕組みになっているのかといった話が、実際の事例を交えて語られています。さらに、ICCがプーチン大統領に逮捕状を出した事例を元に、ICCによる逮捕状の発行の仕組みと、実際にどのような意味があるのか、といったあたりが描かれていて、ICCという謎の組織がちょっとわかった気になります。たしかにプーチン大統領に逮捕状を出したところで実際に逮捕できる可能性は低いのですが、それでも移動できる国が制限されたり、国際的な信用を低下させるという効果があると知り、かなり腹落ちしました。なるほどー。
不穏なニュースが多い昨今において、戦争という混乱の場に秩序をもたらそうとする人々の記録として希望が持てる一冊。
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