鰐口先輩のフォームチェンジが良すぎ
『戦車椅子-TANK CHAIR-』8巻。ここに来てまだ開けてない引き出しがあるとは…。「先生」との戦いの中で鰐口先輩のフォームチェンジが披露されるわけですが、力の感太郎モード、技の理介モード、どちらも良すぎて感動。個人的には「質量どこいったん?」というくらいスリムになりすぎてて不気味な理介モードが好みですね。というかA組は他の面子もキャラが濃いと思うんですが、特にこの巻では鰐口兄弟がかなり前に出ており、影が薄くなってますね。まあ前巻は禍澤さんが出張ってたし、ちょうどいいのかも。
最後に出てきた総脚車椅子もあまりにもかっこいいし、黒坂兄との合体というのが熱すぎる。
最後の川村記念
DIC川村記念美術館 | Kawamura Memorial DIC Museum of Art



2025年3月31日に閉館となる川村記念美術館に約20年ぶりに行ってきました。入館までだいぶかかると思っていたんですが、折しも大寒波の日にあたったので良くも悪くもサッと入れました。まずは東京駅9時55分の直行バスに乗るために9時から八重洲口に並ぶ。さすがに一番乗りでしたが、待っている間にどんどん雪が激しく吹雪のようになっていき、寒さに強い自分でしたが正直かなりきつい。バスが入ってきたのも出発ギリギリの9時53分くらいでした。あとは美術館に着くまで乗っているだけなので楽だったのですが。平日朝一でも長蛇の列だと聞いていたのだけど、あまりにも天候が悪く、待ち時間0で入れたのは良かったですが、あの庭園をちゃんと見れなかったのは残念。もっとも庭園は今後も公開されるようなのでまた来ればいいのですが、佐倉市はやっぱり遠い。
さて、久々に観る川村記念美術館のコレクション展ですが、20世紀を主な収集領域に定めた中でも幅(領域)が広く、深さ(質)が深いのが素晴らしいですね。印象的だったのは110展示室の「版画、写真、ドローイング」で、ギャラリーピクチャー的なあまり日本的ではない展示方法が良かったです。ハミルトン、白髪一雄、マン・レイ、ウォーホル、山口長男、リキテンスタインなどなどかなりいいものが集まっていて眼福。
105展示室の「ジョゼフ・コーネル」も良かった。前回来たときは全く印象に残ってなかったんですが、コーネルは川村記念の目玉のひとつなんですね。こういう一作家に一部屋使うという贅沢さもいい。
そして、その意味でいうとやはり102展示室のレンブラント・ファン・レイン《広つば帽を被った男》が最高でした。自分の専門領域ということもありますが、単純にレンブラントの作品の中でも質が高いと思います。29歳の時の作品ですが、作家としての脂が乗っている時期の作品ですね。今回来たメインの目的はこれだったので、行きと帰りで2回、じっくり観させていただきました。
もう一つの目玉であるロスコルームは混んでいましたが、こちらも比較的ゆったり観れました。やっぱりこの部屋ちょっと暗いんじゃないかな。まあロスコルーム自体は閉館後も九段の方に移るということなので、そこでもじっくり観れそうですね。
建築もロケーションもコレクションも素晴らしいこの美術館がなくなってしまうのは寂しいですが、これもまた時代の趨勢でしょう。むしろこれからこういったことがどんどん起きるという覚悟をしていかないフェーズに入ってきているのだということを実感しました。
初めての尾石監督トーク
「【新文芸坐×アニメスタイル vol.187】アバンギャルドアニメーションの傑作 『傷物語 -こよみヴァンプ-』」に行ってきました。『傷物語 -こよみヴァンプ-』自体はロードショーのときに観ているので大半は尾石監督のトークショーですね。と、思っていたのですが、2回目の「こよみヴァンプ」も全くウトウトするヒマがないくらい面白い!2時間半あるから長いっちゃ長いんだけど、やはり演出の勝利ですね。特にVSキスショット戦は何回観てもぶっ飛んでいて最高。
さて、トークショーなんですが、「そういえば尾石監督のトークって聞いたことないなあ」と思っていたらアニメスタイルではこれがまさかの初回ということで、驚き。アニメ様とも結構長い付き合いだと思うんですけど、なかなか機会がなかったみたいですね。
以下、トークショーの中で印象に残っている部分(結構うろ覚えです)
- 尖っているものを作っている意識はあるけど、アヴァンギャルドというよりウケるものを作りたいという思いがある
- 無機物はなるべく手描きにしたくない
- 潜伏先の学習塾の山梨文化会館で現地までロケハンに行ったら丹下健三の作品だったので運命を感じた
- VSドラマツルギーのボールのシーンは『巨人の星』のイントロ
- VSエピソードでエピソードが迫ってくる止め絵は『黄金バット』のイメージ
- 『傷物語』はスタッフに恵まれて楽しい仕事だった
他にもオフレコで語っていたことで作品読解の手がかりになるポイントがいくつかあり、かなり勉強になりました。特にキスショットに○○のイメージが仮託されているというのは目から鱗というか、全体のイメージとの整合性から腹落ちして気持ちが良かったです。
猫ちゃんがかわいいだけの映画ではないのが良い
アカデミー賞の長編アニメーション賞を受賞した『Flow』。評判通りとんでもなく良かったです。人類滅亡後の世界で主人公の黒猫をはじめとする多様な動物たちが船で旅をするというのが大まかな筋書きですが、特徴的なのは動物たちがリアル寄りに描かれているという点。ピクサーあたりが同じ筋書きで作ったら動物たちめっちゃ喋ると思うんですが、この作品は台詞なしで、鳴き声にスーパーが重ねられることもなく進行する。台詞なしで物語が進むのか不思議なものだけど、あたかも運命のように流れる潮に運ばれる舟が物語を自動的に駆動していく。動物たちのコミュニケーションは鳴き声と仕草によってなされるのだけど、動物のままなのにどこか人間臭さも感じさせるいい塩梅で、このあたりのバランス感覚は見事としか言う他ない。やんちゃな主人公の黒猫、のんびりしたカピパラ、子供っぽく純真な犬、ガラクタを集める猿、そして神のように一行を導く翼の折れた大きな鳥というように、キャラクター付けされているのも非常に面白い。
表層的なアニメーションとしての質も非常に高いが、作中に仕込まれた様々な暗喩も見逃せない。そもそもが多様な動物たちが一つの舟で洪水から逃れるというプロットがノアの箱舟であるし、劇中で出てくるクジラ(のような生き物)はヨナの物語に出てくるクジラを思わせる。そして劇中何度も出てくる鏡とそれに類するものたち。物語は水面を覗き込む黒猫のカットから始まるのだけど、同じように動物たちが水面を見つめるカットで物語は終わる。それが鏡のように凪ぐのがあまりにも印象的。あれはまあそういうことですよね。
令和の『21エモン』じゃん(しかも竹本泉の絵で!)
春の新アニメ『アポカリプスホテル』の先行上映に当たったので行ってきました。第1話から第3話までの先行上映+白砂沙帆さん(ヤチヨ役)と諸星すみれさん(ポン子役)のトークショーという構成。そもそも、なぜこのアニメに興味を持ったのかというと、やはり竹本泉先生がキャラクター原案をやっているという点ですね。しかも前回?の『あんみつ姫』のときとは違ってこちらは完全にアニメのキャラデザも竹本泉のタッチに寄せているんですよね。竹本泉ファンとしては観ないわけにはいかないでしょう。
内容としては疫病の蔓延によって人類がいなくなった地球で、ロボットたちが銀座のホテルを運営しながら人類の帰還を待ち続ける、という内容。この内容だとまあ『ヨコハマ買い出し紀行』とBoichi先生の短編「HOTEL」をガッチャンコした内容だろうな、と予想はつくので、正直、そこまで期待してなかったのですが…!
第1話はまあ事前の予想通りだったのですが、第2話からいきなりだいぶ毛色が変わってきて、放送前なのでネタバレはできないんですが、まさかの『21エモン』。そして第3話ではさらに話のテイストが変わって『有頂天家族』に…!キャラクターのタッチがかなり竹本泉なのも嬉しかったのですが、話のテイストやSFを扱う手際のようなものも竹本先生に寄せている感じがしてそのあたりが予想外に嬉しかったです。かと思えば、特に第3話ではかなりドタバタギャグの方向に振っていて、これがめちゃくちゃ面白い。いやー、この段階では何も書けないのが残念。トークショーで、このあとさらに予想外の方向にすっ飛んでいくらしいので、そのへんもめちゃくちゃ楽しみですね。
そうそう、OPとEDがまさかのaikoさんなんですが、これがどちらも素晴らしい。個人的にはOPの「skirt」が良かったです。映像のヤチヨさんのダンスも素晴らしく、本放送時のみんなの反応がとても楽しみ。4月以降の楽しみが一つ増えました。
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