今週は忙しくて何もできず。
25年ぶりに読む『ちびまる子ちゃん』
今年は日々のルーチンタスクに「漫画を一冊読む」を入れておりまして、おかげで積読は1月中に消化できて大変良かったのですが、逆に読むものがなくなってしまい、さらに紙で買うと6月の引っ越しまでに200冊近く増えてしまうのはかなり厳しいなということでKindleの特売品を漁っている日々でございます。『ちびまる子ちゃん』全18巻を1,500円しないという超お得タイムセールで購入。
正直、昔読んでるし、この年になって読んでも特に得るものはないだろうなあ、と舐めてかかってたんですが、大人の視点で読み直すとこれが実に面白い!例えば、まる子と友蔵が寿司を食べに行く名エピソードがあるんですが、昔は特に何も思わなかったお会計シーンがこの年になると「!!!さすがに高すぎるだろ」という感じで大人社会の解像度が高くなると見えてくる景色があって、その変化が面白い。昔一回読んでいて良かったなあとも思いつつ。
あと単純に言葉の扱いがいいですよね。さすが「現代の清少納言」と呼ばれただけはありますね。自分にとってさくらももこは漫画家というよりはエッセイストの側面が強くて、『もものかんづめ』から始まる初期のエッセイ集はこれまた大昔にだいたい読んでいるんですが、漫画の時点でその片鱗、というか本質がにじみ出ている感じがします。
それと18巻をまとめて一気に読むと色々と見えてくるものがありますね。例えば、初期の巻は情報密度がとても高くて一冊読むのに1時間近くかかるとか、クラスメートがじわじわと増えていくとか。あの永沢君とか野口さんが実はかなり後半に出てくるんですね。今回始めて気づきました。
しかしこれだけの才能を50代前半で喪ってしまったのは日本に取って大いなる損失だったのではないか、そんなことも思いました。
アニメ様的アニメ論
去年出ていた『アニメマニアが語るアニメ60年史 1963~2023』をようやく読みました。最近はイベントになかなか行けないので、こういうまとめは大変ありがたい。
大きく2つのパート(というか2つのイベント)に分かれていて、前半のPART1は元アニメ雑誌編集者の高橋望さんが聞き手となり、後半のPART2では高橋さんに加えてデータ原口こと原口正宏さんが聞き手、という構成。データ原口先生ファンなので嬉しいですね。
PART1はアニメ史を概観していくという流れなのだけど、特色としては視聴者、すなわち受容史としての側面が強く、これが面白い。特にアニメ様が述べている「コンテンツ化」はかなりいい視点で、21世紀に入ってからのアニメシーンの最も大きな特徴を一言で表しているとも言える。アニメがオタクから社会全体のものになっていく過程において、よりわかりやすいものが求められ、制作者たちもそれに応えていったという流れはわかりやすく、かつ面白い。
データ原口先生を加えたPART2ではアニメーションとアニメの話がメイン。このテーマについてはデータ原口先生お得意というか、ずっと追っているテーマだと思うので、ここもかなり面白い。さらにこれに加えて「和製アニメーション」なる概念も出てくる。このあたりはかなり観念的というか抽象的なテーマながらわかりやすくまとめられていて読み応えがある。個人的には最初に提示された『この世界の片隅に』は「アニメ」表現を経由した「アニメーション」という視点が面白かったのだけど、この部分もトークの中でどんどん整理されていき、そういった対話のダイナミズムのようなものも体験できるのも良い。
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