『犯罪都市 PUNISHMENT』、安定の面白さ

正直に言うと、敵がIT屋ということでゴア感はだいぶ薄れているのだけど、それでもめちゃくちゃ面白い。というか第1作のヤクザ集団とかが異常だったんだよな…。

個人的にはやっぱりチャン・イス(パク・ジファン)の活躍ですね。3の最後の次回予告で出てきたときからかなりアガりましたが、やっぱりいいですねー。マ・ドンソク除くと通しで出てるのって彼だけですよね?今回もコメディリリーフとして素晴らしかった。基本的に小悪党なのだけど、どこかで警察に憧れていた過去があったのだろうか、というのが垣間見える演出が良かったですね。かわいい。なので最後の手のひら返しはちょっとかわいそう。8まで作るらしいですが、次回も懲りずに出てほしいですね。

映画『犯罪都市 PUNISHMENT』公式

『ビバリウムで朝食を』3巻でさらに世界が広がる

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てっきり3巻で終わるかと思ってたのでどう締めるのかと思いきや、まだまだ続くようで大変嬉しい。

キクリンのコピーロボットと恋の行方とかライモンの妹(高性能)のくだりとか、今回も見どころしかないんだけど、個人的にはステラの回想シーンでチ◯プイ、ウメ星◯ンカ、パ◯マンのネタが出てきたあたりですかねー。特にパー◯ンは今後物語にも絡んできそうで楽しみ。世界が入れ子状になっているという「真実」もまた「のび太の創世日記」っぽくて良い…。

こういうのこそアニメ化してほしいけど、まあ難しいでしょうね~。めちゃくちゃ観たいんだけど。

初期短編のエッセンスを受け継ぐ傑作:『マン・カインド』

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藤井太洋先生の新作は、かの傑作短編集『公正的戦闘規範』の延長線上にあるかのような長編作品。内戦で傷ついたアメリカという舞台設定は「第二内戦」の世界観だし、進化した異様な戦場の姿は同短編集表題作の直接的な進化系という感じがする。戦場をルール化するという元々の発想とそれを意図的に破ることでメッセージを伝えようとするあたりが、約10年前の「公正的戦闘規範」に対する返歌のようになっているのも面白い。タイトルからわかるように大ネタはポスト・ヒューマンものなのだけど、このあたりは予定調和というか、正直に言うとそこまで面白くはない。藤井太洋の真骨頂はそういった物語の大枠というよりは、個々のテクノロジーや社会制度といった空想の事物を丹念に描くことで生まれてくる、なんともいえないカラッとしたリアリティなのだけと思っているのだけど、本作ではそのあたりが実に上手い。個人的に良かったのは、アメリカ内戦で富裕層が逃げ込む超高層マンション「ニードル」のあたりですね。絶対嘘なんだけど情景が目に浮かんでくるリアリティ。

赤サングラスの男はやりすぎだけど印象には残る

『シビル・ウォー アメリカ最後の日』、どう考えても「アメリカ最後の日」の部分は余計なんだけど、それはそれとして今年を代表する大傑作。『マン・カインド』読んだ次の日に観たのもなにやら運命的なものを感じるし、今度の大統領選でもギスギスしすぎて内戦の機運があるのもタイムリー。まあタイムリーとか軽い言葉で済まされない惨劇が劇中では繰り広げられるわけですが。物語のハイライトはやはり「赤サングラスの男」の場面で、PRESSの看板を掲げていれば一応尊重されていた最低限の法治国家アメリカと多民族国家アメリカという2つのアメリカを同時に否定し主人公たちを恐怖のどん底に突き落とす屈指の名シーン。「言うてPRESSだし行けるっしょ!」みたいな舐めプ(直前の浮かれ具合とかまさに)を真正面からぶった切る。赤サングラスというアトリビュートを得てしまったことで物語の強度は減ったとは思うのだけど、エンタメとしてはあれが大正解。その他の部分、例えば銃撃戦のさなかにホワイトハウスから逃げ出そうとする情けない大統領のあたりを見るとリアリティというよりは面白さ重視という方針もよく分かる。新米記者ジェシー(ケイリー・スピーニー)の成長譚としても見応えがあり、擬似的な母・リーとして活躍する(キルステン・ダンスト)の演技も素晴らしい。

映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』|大ヒット上映中