大人vs子供。『映像研には手を出すな!』第8巻
大人の描き方がいい。この巻ではコンテストでの「血の表現」をめぐって映像研の面々と審査員たち、そして芝浜高校の教師陣が対立する。ここでの大人たちはややステレオタイプに見えるのだけど、コンテスト後に描かれたシーンがその印象を覆す。彼らもまた若い頃には情熱を持った若者だったのだということをスマートかつ象徴的に描いたラーメン屋のシーンは、典型的な悪者として描かれていた彼らを相対化していく。そしてまた同時に映像研の面々が情熱を失った大人になっていく不安を暗示する。そしてこの子供と若者の間をつなぐように、コンテストに挑む映像研をドキュメンタリーとして取材するテレビクルーたちがいる。彼らは「大人」になりつつある子供として描かれ、映像研の面々を取材するうちに彼らに感化され情熱を取り戻していく。このあたりの展開はやや類型的に思えるが、情熱を取り戻す大人たちの存在によって説得力が付加されているのが上手い。本気で作った創作物には人の人生を変える可能性があることを雄弁に示した物語だ。
エンジニアみのある魔法使いたち。『クォークビーストの歌』
いつの間にか『最後の竜殺し』の続編が出ていた。このシリーズを一言で表すなら「資本主義まみれのファンタジー」とでも言おうか、現代イギリスの世界にファンタジー要素を混ぜ込んだ、ありそうだけど意外とないへんてこな作品。魔法使いはいるけど世界中で魔法の力は衰退中、という前作の設定からはラリー・ニーヴンの『魔法の国が消えていく』(いわゆる「ロジカル・ファンタジー」ね)を思いっきりポップにした雰囲気を感じていたのだけど、前作の最後で魔法の力が復活する展開があり、本作はその続編となる。
主人公のジェニファーは若干14歳にしてカザム魔法マネジメントの社長代行を務める元捨て子。魔法の力は復活の兆しを見せているものの、もちろん会社の経営は順調ではない(とはいえどんどん仕事が入ってきていて忙しそうではある)。週末に崩落した橋の修復という大仕事が入っているにも関わらず、ジェニファーのもとにはさまざまな厄介な依頼が舞い込み、さらには国家を巻き込む陰謀が彼女を狙う。
このシリーズの面白いのは魔法というものが理詰めで考えられている点で、このあたりも『魔法の国が消えていく』を継いでいる部分だと思っているのだけど、本作ではそれがさらに突き詰められていて、さながらIT技術のように描写されているのがいい。魔法使いたちは癖が強いエンジニアたちだし、彼らが使う呪文はいわゆるプログラミング言語のよう。「私の使ってる言語は古いからね」なんて台詞があったりする。魔法使いたちがどんどんこだわりが強くてめんどくさいエンジニアたちに見えてくるのが楽しい。
読み味はヤングアダルトなのでサッと読めるのだけど、かなり面白いのでおすすめ。本国ではシリーズ続いているそうだし、日本でも続刊が楽しみ。
悪くはないが駅から遠い。駅遠イタリアン RISTORANTE YAGI
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130303/13132568/
新しく出来た茶飲み友達と神泉のRistorante YAGIへ。最寄り神泉って書いてますけど神泉と代官山のちょうど中間あたりで、要するに夏の盛りに行くような場所ではないということ。まあだから空いてたんだろうけど。
サーモンとタルタル。タルタルとのマリアージュがいい。
カツオ。かなり和風な感じ。ニンニクが効いていてさっぱり。
パスタ一品目。蛤と春キャベツ。春キャベツの季節じゃないけどこれは美味しい。
パスタ二品目。地鶏&バジリコ。一品目がいわゆるパスタで二品目がショートパスタなのいいね。
穴子のフリット。シンプルに美味しい。友人はパスタで満腹になり豚肩ロースのソテーを食べきれなかったのでいただきました。こちらも柔らかくシンプルなお味。
ドルチェはクリームソワニエ。プルプル具合がすごい。声入ってるか載せられないけど思わず動画で取ってしまった。小学生に戻った感。
全体的にそつがなくて普通に良かったんですが、やはり駅からの距離はややネックかなと思いました。料理は美味しいしお値段もそんなに悪くないんですが…。あまり特徴がないというか。あとテーブルが広すぎておしゃべりはややしずらいかも。
焼肉部活動記録
会社で「焼肉部」なるものが出来ました。別に会社公認というわけではなくて社員が勝手に集まってやっているだけなんですけども。部長(自称)が「週一回行く!」と宣言して笑っていたのですが、本当に週一回焼肉に行っています…。まあ出張の壮行会とかいろいろ複合的な要因はあるのですが。
https://tabelog.com/tokyo/A1310/A131004/13028971/
よく行く、というかこの焼肉部結成のきっかけになったのが春日駅近くの老舗焼肉屋「新香園」。量がそれなり、味が濃いめ、火力強すぎ、接客てきとう、という、なんというか気心のしれた人間でいくのがちょうどいいお店です。火力が強いのがとにかく楽しい。火を見るとワクワクしてしまうのは人間の根源的欲求ですし。
それにしても周りの人間が次々の焼肉(≒脂っこい食べ物)から脱落していってしまうのを見ていると胃腸が強くて良かったと親に感謝せずにはいられません。
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