さて、先週に引き続き「新文芸坐シネマテーク vol.3」の第二夜に行ってきましたよ。クレール・ドゥニ監督特集です。今夜は長編第9作の『35杯のラムショット』(2008年)が上映されました。日本国内で上映されるのは、2012年11月の横浜シネクラブ以来、2回目だとのこと。小津安二郎監督の『晩春』にオマージュを捧げた作品ということで、情緒豊かな物語でした。
もちろん、今回も訳者でもある大寺眞輔さんの講義付き!
前回に引き続き、満員御礼立ち見ありの素晴らしいイベントでしたね。大寺さん曰く、「近年まれに見る盛り上がり方」とのこと。この盛況ぶりだと次回開催も期待できそう!噂では、次回も素晴らしい作品が控えているようですよ!
第3回新文芸坐シネマテークはこれで終了ですが、すでに次回の準備を始めてます!まだ正式には言えませんが、レンタルとかで手早く済ましちゃうと勿体ないかもよ~とだけ!(笑)また、あの巨大な新文芸坐スクリーンと観客席を私たちで占拠しましょう!
— 大寺眞輔 (@one_quus_one) 2015, 3月 14
ちなみに、前回(2015年3月6日)参加した時レポートはこちら↓
大寺眞輔さん講義覚書
今回の講義はあまり紹介されていないであろうインタビューや資料からの引用が多かったです。
例によってメモとってなかったのでうろ覚えの箇条書きです >_<
■登場人物はグレゴワール・コラン(as ノエ)を除いて全員がカリブ系の黒人だが、それが彼らのアイデンティティになっているわけではない。みんながフランス人。
■主人公であるリオネル(アレックス・デスカス)の周りを黒人で固めたのは、「政治的正しさ」に対する反発から。
■アレックス・デスカス(as リオネル)は前回(『パリ、18区、夜』)のテオの数年後を演じているかのよう。
■日本への言及が随所に見られる。逆さまになった塩の看板(ノエの部屋)や炊飯器に貼られたサッポロ一番のシールなど。父と娘の関係をめぐる物語で、小津安二郎の『晩春』へのオマージュであり、またドゥニが母へ捧げた作品でもある。
■小津映画のオマージュ作品を作ることについてはドゥニ自身の中で迷いがあったが、トロント国際映画祭で偶然目にした侯孝賢監督の『珈琲時光』に勇気をもらい、制作に取り組んだ。
■この作品は長編第9作にあたるが、第10作の『ホワイトマテリアル』(2009年)と同時期に制作。『ホワイトマテリアル』はいわゆる大作映画だが、『35杯のラムショット』はドゥニが片手間に作った作品ではなく、入念に準備を重ねた上での待望の作品。
■物語は小津へのオマージュだが、カメラワークは小津的ではなく、むしろドゥニ的で、アグネス・ゴダールが担当。
■制作のタイミングとしてはアレックス・デスカスがリオネルという人間を演じるにふさわしい年齢に達したこと、そして作品を捧げる母親の余命を勘案してとのこと。
■作品で描かれる父娘の関係はドゥニの母と祖父との関係で、祖父はブラジルの出身。
■作品の随所に、父娘の関係性を象徴するものが登場する。ラストの2つの炊飯器など。
■4人が雨の中出かけるコンサートはプリンスの設定で、その後入ったバーで流れる曲はコモドアーズの「ナイトシフト」。
■(行けなかった)コンサートの翌朝、バーから帰るのはノエ、ジョゼフィーヌ、ガブリエルの3人だけ。リオネルはバーの女主人と寝てる。
■「35杯のラムショット」というジンクスは、特にそういうものがあるわけではなく、監督がこの映画のために作ったもの。35という数字もなにか意味があるわけではない。
『35杯のラムショット』
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Tindersticksの音楽も最高!
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こっちは輸入盤。
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