ラジオテーマだけど、どちらかというとお笑い的な文脈
めちゃくちゃ話題になっていた『さむわんへるつ』、これすごいですね。今どきラジオというテーマを持ってくるのもいいし、クラスメイトなのにつながりはラジオ経由というのが実に面白い。主役二人のラブコメでもあるわけですが、二人の会話がまるで漫才のような面白さ。しかも台本がないわけなので、まさに当意即妙と言うか、阿吽の呼吸の楽しさがありますね。令和の時代に生まれた平安文学のような趣。だいぶ笑ってしまいました。今年ベストに確実に入るレベルの面白さです。
重すぎ
韓国のリストラ映画『ただ、やるべきことを』、これは重い。なんとなくわかってたけど。リストラ映画(というジャンルがあるかは知らないけど)の傑作。2010年代の韓国の造船不況という歴史的事実を背景に、選択を迫られる人々が描かれる。退職勧奨の基準を作ったら隣の席の先輩が引っかかってたとか、人は良くて人望もある先輩に退職を勧めに行くくだりとか、およそ考えつく嫌なシーンが満載で、かつそれらが極めてたんたんと進められていく。沈みゆく巨大な船から弱いものを放り出し、なんとか旅を続けようとする、その先端に立つ人々の「汚れ仕事」の記録。もうすぐ定年となるはずだったかつての上司の娘から電話がかかってくる場面で見せる主人公のやるせない感情表現がとりわけ素晴らしかった。
暗すぎ
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』をグラシネ12番で観ました。前作の話を全く忘れてしまっていたのだけど、観ているうちになんとなくわかってきたようなそうでないような。そもそもが複雑な話だからなあ。次回は今までの話を見直してから劇場に行こう。一応ロボットアニメなんだけど、モビルスーツがわちゃわちゃやっているよりも人間ドラマの方が圧倒的に見応えがあるのは面白いですね。演出と芝居があまりにも細やかで上手すぎる。特にギギの生活パートがいい。食事の準備と片付けの場面も地味に見どころ。抑えた演出という点でいうと、終盤のヴァリアントのくだりがすごいですね。潜水艦の潜望鏡のワンカットとセリフ一言だけで済ませてしまう。前半でヴァリアントの人々をじっくりと描いておいてからのこの演出はなかなかできることではないですよ。戦争ってこういうものなのだという実感のようなものが観るものにも伝わってくる気がします。まあこういうくだりはあるにせよ話はそこまで暗いものではないんですが、画面はめちゃくちゃ暗いです。特に中盤の捕虜のいるビルのあたりとか。そういう意味でも劇場向きの作品ですね。
色々な補助線があるけど
カンヌやらアヌシーやらを席巻したフランス産SFアニメ映画『マーズ・エクスプレス』がようやく日本で公開!ということで超期待していたわけですが、期待以上でした。とにかくビジュアルがいい。いかにもフランスのゴブランあたりで作ってそうなシュッとしたビジュアルなんだけど、動きが日本のアニメっぽい感じ。キャラクターもいいんだけど、メカとか建築物まわりのデザインがかなり最高。レイアウトもロングショットが多くて素晴らしい。23世紀の火星でロボットに自我が目覚める、というとかなり単純化したあらすじなのだけど、概ねそんな感じだと思う。みんな『AKIRA』『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』あたりの言及が多いんだけど、いやいや直線的な影響はりんたろうの『メトロポリス』(2001年)でしょう。ロボットの反乱のくだりとかかなりそのままという気がする。あとオチは『楽園追放 -Expelled from Paradise-』を連想しますね。こっちはみんなで行くからさみしくはなさそうだけど。それにしてもこのオチにしてもそうですが、ビターな展開が続くのにも驚きました。日本のアニメ映画だとこうはいかないと思います。今年ベスト級の傑作。
長くなってもテンポが良い
去年の超話題作『銀河特急ミルキー☆サブウェイ』の劇場版『銀河特急ミルキー☆サブウェイ 各駅停車劇場行き』を初日に鑑賞。カトマ目当てなのか女性客がめちゃくちゃ多くて驚きました。元は1話3分のショートアニメ12話を繋いで46分、というわけでかなりの新作カットが入っているわけですが、これが全体のテンポを阻害せずに物語を補完するものになっていてかなり良い。具体的にはメインのメンツが列車内であれやこれややっている間に警察側は何をしてたんですか、というくだりなんですが、真面目な大人たちが集まっているにも関わらずノリは本編の連中と同じというのがいいですよね。まあリョーコさんはヤンキー上がりなので納得ですが。新キャラで言うと署長のハガさんがいい感じのおじさんで良かったなー。単にショートアニメを繋げただけではないバリュー+劇場の大画面でみんなと一緒に(重要!)観られる、ということでかなり良い映画体験だったと思います。タイパがいい、というのはあまり言いたくないけど、短い時間でかなり満足度が高いのはある意味で今の時代に合っていると思いました。
完結!
窓口基先生の『東京入星管理局』が5巻で完結。いやー、面白かった。もっと長く続いてくれてもよかったけど、これくらいのほうが読みやすいし人に勧めやすいという気もする。続きやりたかったら2とかでやればいいわけだし。最終巻は全員集合!でわちゃわちゃやるという感じで映画っぽさがありましたねー。本部が乗っ取られて…みたいな展開もベタだけど熱い!みんな見せ場があって良かった…。まとまりもいいし、キャラも立ってるし、アニメ化しないですかねえ…。
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