そういえば家を買いました。築50年の中古マンション。リノベガッツリ入れる感じでいきます。
『破墓/パミョ』は実質『サイン』
墓破りホラー。まあ墓破りというよりはちゃんと遺族から依頼されて改葬するという話なんだけど、その墓がいわくつきでなにか出てきちゃった、というお話。ありがちな話ではあるんだけど、墓の下から墓が出てくるレイヤー構造(物理)とか、墓の由来を調べ始めるくだりなんかは中村義洋監督の『残穢-住んではいけない部屋-』を連想したりしました。この墓のいわくがまた日韓の歴史に重く横たわるものになっていて、隣の国の話だと思って見ているといきなりこっちにボールが飛んでくる感じも面白い。後半出てくる化け物は「そのタッパは日本人じゃねーだろ」という感じなのだけど、鬼としてはとても迫力があって良い感じ。お寺の住職が一番かわいそう。
ところで、鬼との最後の決闘、武器が木の棒と水(血)なんですが、これってシャマランの『サイン』じゃない?
池松壮亮演ずる冬村かえでがだいぶ最高
『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』、なんかつい最近第2作を観た気がするんだけど、今回はバカンス編。やはり序盤の宮崎県庁でのアクションが白眉。ロケーションの雰囲気の良さもそうだけど、建物の使い方が巧すぎる。入り組んだ建物の中を走る走る。ちょっと薄暗いのが良すぎ。
今回の敵は池松壮亮ですが、池松壮亮、今一番脂乗ってるんじゃないかな。あの独特の雰囲気は彼にしか出せないよなー。バックグランドがほとんど見えない、不器用すぎる男の芝居として実にいい。ターゲットの服をきちんと畳んでいるとか、そういったサイコパス的なんだけどそういったテンプレートに収まらないキャラクター付けも上手い。こういう美味しい登場人物を惜しげもなく退場させてしまうのが阪本監督の価値観が表れているようで面白い。単純に自信があるのかな。
味方側のゲストとして出てくる前田敦子と大谷主水も良いキャラクターでした。前田敦子は本当にいい役者さんになりましたよね。序盤のバチバチした感じが「灰原哀」のあたりから氷解していくのが面白い。大谷主水演ずる七瀬の筋肉キャラも面白いよね。ふたりともいいキャラなので、東京でも出てきて欲しい。
ちさまひの家が出てこなかったのはちょっと物足りないけど、安定した面白さでした。でもやっぱりホテルでダラッとしているシーンくらいはあっても良かったんじゃないかな。
地に足がついた話が多め
今週は『トウキョウ下町SFアンソロジー』を読んでいました。東京という都市を7名の作家が描くアンソロジーですが、SFという括りにもかかわらずハイテック的な話が少ないのが意外でした。というよりむしろ近未来なり過去なりで東京という土地に足をつけて生きている人々のしっとりした話が多く、これはこれで大変好み。
冒頭におかれた大竹竜平の「東京ハクビシン」はYoutuberやってるハクビシンの話で、初っ端からかなり良い。ファンタジーかと思いきやちゃんとSF的なオチが付いてる。続く、桜庭一樹「 お父さんが再起動する」もかなり好み。価値観のアップデートという点で現代的なテーマであるとともに親子の話としても非常に出来が良い。肉食がなくなる未来はいかにもありそう。それに自分は耐えられるのか心配になってしまった。大木芙沙子「朝顔にとまる鷹」は江戸時代の和製スパイダーガールみたいな話で、これも面白い。
個人的に一番好きだったのは東京ニトロさんの「総合的な学習の時間(1997+α) 」で、こういう作品に弱いんですよね。言われて気づいたけど、1997はバブル崩壊の象徴的な事件である山一證券の事件があった年で、東京の歴史を切り取ったという意味でも面白い。
これは第2弾、第3弾も出てほしいなあ。今回は時間がなくて表紙だけやってる久永実木彦先生にも是非ペンをとっていただきたい。
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