ベスト10本

今年もアニメ多めなのでアニメ5本実写5本というバランスがいいような悪いような感じになってます。順不同。

『敵』

これはもう長塚京三の色気と存在感だけで100点でしょう。モノクロの静謐な画面と淡々とした日常風景の描き方でもう100点という感じ。ほぼ原作通りだけど、現代的にパソコンがMacになっていたり、「夜間飛行」のくだりのアレンジなどが面白い。原作同様、料理の準備場面が丁寧に描かれるのだけど、モノクロなのであまり美味そうに見えないというのも面白かった。吉田大八監督の代表作になりそう。

映画『敵』オフィシャルサイト 2025年1月17日(金) 公開

『教皇選挙』

おじさんたちが密室で話してるだけなのに異常な緊張感と異常な面白さ。最初は見分けがつかないおじさんたちが段々と見分けられるようになってきて関係性がわかってくると加速度的に面白さが増してくる。後半では「見えない存在」とされてきた「女性たち」が実は裏のテーマであったことがわかり、そのあたりも非常に良かった。

映画『教皇選挙』公式サイト|2025年3月20日(木・祝)全国公開

『平坦な戦場で』

性的搾取を描いた作品で、興味深いのは主人公の男子高校生が加害者でありつつ被害者としても描かれている点で、性別を問わず被害者/加害者になりうることを示しているのが良いですね。平凡なカップルが些細なことで性的搾取の問題に巻き込まれていく展開もいいですね。あと撮影とか細かな演出とかが地味に印象に残ってます。

平坦な戦場で

『スーパーマン』(2025年)

スーパーマンが敗北するという衝撃的なシーンから始まり、明らかにビックテックのあの人あたりをモチーフにした悪役、どうみてもイスラエルみたいな侵略国家、移民として非難の対象になるスーパーマン、と現代社会の病巣詰め合わせ、みたいな内容で驚く。よく公開できたなあ。『ズートピア2』でも思ったけど、向こうの人はあまり気にしてないのかな?あからさますぎると思うんだけども。あと犬(クリプト)が異常にかわいいし、スーパー犬なので死なないのもいい。

映画『スーパーマン』公式サイト|好評デジタル配信中

『国宝』

3時間全く退屈させずに鑑賞させただけでも素晴らしい。3時間あるのにいわゆるダレ場的なところがなく、すさまじい情報密度。主演の吉沢亮と横浜流星の圧倒的な存在感は言うに及ばず、さらにすごいのがやはり撮影と照明ですね。どの場面を切り取っても、文字通り「絵になる」。脇役たちも魅力的で、個人的に一番好きだったのは田中泯演ずる万菊さんの稽古のくだり。「でもいいの。それでもやるの」は「でもやるんだよ!」に通ずる名台詞だと思う。

映画『国宝』公式サイト

『ChaO』

いかにも4℃らしい素晴らしい映画。『崖の上のポニョ』とか『夜明け告げるルーのうた』とか定期的に人魚モノ海モノの劇場アニメが出てくるのはなんなんでしょうね。これもだいぶクセが強めなのだけど、特徴的なキャラクターデザインもさることながら、それをしっかりと動かしていくあたりが老舗アート寄り商業アニメ屋たるStudio 4℃の真骨頂という気がする。近未来の上海の街並みを中心とした緻密な背景美術も見どころ。話はやや飲み込めないところもあるが、それも含めて4℃という感じ(『海獣の子供』ほどではない)。もっとこういうアニメを観たい。

映画『ChaO』公式サイト

『ひゃくえむ。』

100メートル走全く興味ないけど「チ。」の魚豊先生原作だし…え!『音楽』の岩井澤監督なの!?!?そんなの絶対観るでしょ!ということで観たわけですけど、普通にオールタイムベスト級の大傑作でしたね。100メートル10秒を人生そのもののアナロジーとして描き出す原作のテーマ性そのままに、ロトスコープで豊かに表現される身体の動きが素晴らしい。ロトスコでありながらアニメのキャラクターとしても成立しているというのも良かったです。あとエンドロールの入り方が神。主題歌は髭男の『らしさ』なんだけど、これがまたいい曲で作品に合いすぎている。

映画『ひゃくえむ。』公式サイト | 9月19日(金)全国公開

『ホウセンカ』

予告編で繰り返し言及される「一発大逆転」が想像とは全く違っているのだけど、たしかにこれは一発大逆転の物語でありました。この価値観はおそらく若い人だとピンと来ないと思うので、自分のようなそこそこ年を食ったおじさん向けの作品ですね。会話中心で大活劇も無くどんでん返しも無く非常に地味な作品ながら、例えば狭い室内での細やかな芝居などが非常に見応えがありました。もっとこういう作品が増えてほしいですね。

映画『ホウセンカ』 2025年10月10日(金)公開

『羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来』

  • 鹿野がいいお姉さんすぎる。デレるの早すぎ。
  • 哪吒さまの部屋が想像と違いすぎる。
  • 無限師匠がさすがに硬すぎる。

「羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来」2025年11月7日(金) 劇場公開

『トリツカレ男』

絵柄はむしろ好みながら、話がおもんなさそうだな~と思って観てなかったんですが、SNSでの評判が異常に良いので観に行ったら、これがまあすごい大傑作でしたね。こういうパターンが多いのでSNSは侮れない。大筋は予想通りといえばそうなんですが、個々のエピソードの出来が良すぎて驚愕。作画演出音楽レイアウトのクオリティに脱帽。特に気に入ったのは、みんな大好きツイスト親分のあたりですね。

映画『トリツカレ男』公式サイト

ベスト10本には入れてないけどとてもよかったもの

順不同、というか観た順。

『機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning』

開始0秒で???!!!となってとんでもない。サイコミュ搭載型シャア専用ガンダムなんてギレンの野望でも見たことないぞ。キャラデザもそのままでメカはリファインというバランス。音楽やSEも当時のまま。アマテパートはキャラの可愛さもあるけど、コロニーの情景描写が実に良かった。人が生きているという感じ。

『ブラックバード、ブラックベリー、私は私。』

思ったより変な映画だった。主人公のエテロが自分の死を目撃する場面がいくつかあって、死の予感がひしひしとするのだけど、最後は生で終わる。エテロの「自分は自分の好きなように生きたいの!」のあたりはかなり共感できるが、社会性ないなあとも思う。最後の余韻がどっちに取ればいいのか困惑する。

『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』

評判通りの面白さ。キャラクターが立っていて良すぎる。大ボスがデブなのにちゃんと強いのがいいね。人任せにしないで身体張ってるのも好印象。理髪店のおじさんがめちゃくちゃ強い展開は熱い。だんだん人間関係が明らかになっていき、実は主人公が禍根の中心で…というのもいいね。気功が強すぎて笑った。九龍城砦の生活感あふれる廃墟という雰囲気が最高。あと音楽に川井憲次っぽさがあるなあと思って観ていたら普通に川井憲次がやってた。良すぎ。

『野生の島のロズ』

ストーリーは平凡だけど、とにかくビジュアルがいい。主人公ロズがだんだんぼろぼろになっていくのがいい。最後はロボット兵+巨神兵になる。調停者としての巨神兵は島の生態系に対して過剰だと感じたけれど、明らかに人間社会のメタファーなのでまあ良い。それよりも人ならざるものとしての調停者が必要なのではないかという提言のほうが重要だ。狐のチャッカリ、ピンクシッポ等の脇役も良い。

『ファーストキス 1ST KISS』

松たか子が良すぎる。「ドキドキさせないでください」→「もう一回ください」のくだりとかバカバカしくて最高。最後は手紙で泣かせに来るのもずるい。最初から話し合っておくのがベストってことかなとも思ったけど、あのループが重要なんだろうな。

『ペリカンブルー』

TAAF長編コンペにて。まさかの実話軽犯罪もの。2020年の『フリッツィ』を思い出すソ連崩壊ものでもある。実写とアニメが入り乱れるスタイルも面白い。やってた連中が全く犯罪だと思っていなかったのが意外というか、なんというか。偽造に四苦八苦するあたりが良かった。

『ボート・イン・ザ・ガーデン』

TAAF長編コンペにて。よくわからんタイトルだなと思っていたけど、これも良すぎる。こういう個人史的な作品はいいね。アニメーションのスタイルも面白い。

『ブルータリスト』

知らない建築家がいるなあ、と思ってみていたら架空の建築家で横転。すごいリアリティだ。バウハウス出身でああいう作風というのもいかにもありそうだし、彼の境遇もいかにもそれっぽい。ヴァン・ビューレンのコミュニティセンターの十字架の仕掛けとかもすごくそれっぽい。めっちゃコルビジェがやりそう。あとスタッフロールがかっこよすぎる。

『Flow』

動物たちのリアルなやりとりと擬人化?のさじ加減が絶妙。表層的な表現のレベルも高いし、寓意的な部分もかなり良い。鏡と自画像の視点についてはよく考えたい。最後に水が凪いで鏡のようになるのは死の暗喩だよね。

『アノーラ』

前半がめちゃくちゃ退屈だけど、後半はかなり面白い。ダラダラとイヴァンを探してさまようくだりがいいね。ちょっとジャック・リヴェットっぽい。

『HERE 時を越えて』

これは面白い!定点観測カメラなのは聞いてたけど、ウインドウを使って時代をザッピングしていくのが良かった。遠未来まで行ってほしかったところだけど、原作だとそうなのかな。

『ヴァージン・パンク Clockwork Girl』

35分で1700円は強気すぎる設定だろ…と思ったけど、あまりにも面白くてむしろ安いくらいだ。アクションのキレもいいし、テーマもすごく現代的で面白い。とにかく早く続編が観たい。

『ボサノヴァ 撃たれたピアニスト』

素晴らしいアニメーションドキュメンタリー。やや冗長だけど、後半に行くに従って独裁政権の恐ろしさが際立ってくる構成が見事。

『近畿地方のある場所について』

白石晃士の味が出ていて良かった。後半は評価分かれそうな感じ。前半のフッテージ満載も楽しかった。菅野美穂の存在感がすごい。

『映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ』

うえのきみこの脚本はハズレがなさすぎる。ミュージカル映画として面白いし、うえのきみこが作詞やってるのも良すぎる。ゲストキャラクターみんな好き。カビールとディルの兄弟コンビもいいし、アリアーナが可愛すぎる。テーマもケアの倫理に通ずるところがあり見ごたえがある。最後にチャパティでもう一幕あるのは正直驚いた。

『ファンタスティック・フォー:ファースト・ステップ』

全然期待してなかったけど70年代のレトロフューチャーなデザインワークスが良すぎてそれだけで観ていられる。ギャラクタスを結局倒さないのもいいね。ギャラクタスのデザインも好きすぎる。でも自分で赤ん坊を取りに来るのはわけわからん。

『劇場版 チェンソーマン レゼ編』

レゼ編ってこんなに面白かったっけ???冒頭のマキマさんとの映画デートのシーンは原作でもかなり好きなシーンなんだけど、それが霞むくらい中盤のレゼとの逢瀬、後半の怒涛のアクションが素晴らしすぎる。特にアクションはMAPPAらしく豪快でかつ今どきっぽいが観やすい。ボムってこんなに強かったんだ。

『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』

いつものウェス・アンダーソンだけど、冒頭のスプラッタシーンにみられるように死の香りが若干強いように感じた。まあ言うていつもそんな感じでもあるが。ザ・ザ・コルダが度々眠りと臨死体験の中で観る夢の場面が良い。オチは陳腐ながらホッとする。

『大長編タローマン 万博大爆発』

徹頭徹尾イカれててかなり最高。テレビのまんまのOPが見れるのもいい。画質がいかにも70年代。水差し男爵めっちゃ喋るやん。終盤の戦いはべらぼうにデタラメで素晴らしかった。帯を武器にするくだりとか。最期に山口一郎パートがあるのもイかれてる。明日の神話の使徒感がすごい。そして反万博かつ良いディストピア映画でもある。

『新幹線大爆破』(2025年)

池袋グランドシネマサンシャインでの1日限定上映。意外なことに満席ではなかったが、上映後に拍手が起きたりしてなかなか良かった。とにかく最後まで面白い。人間の善性を信じたくなるテーマも良い。犯人は意外だったが中二病でちょっと痛々しい。が、マイノリティという点はいい。ちょい役のピエール瀧の存在感がすごい。

『ワンバトル・アフター・アナザー』

解釈がなかなか難しいけどエンタメとしてもめちゃくちゃおもしろい。家族、暗号、変革、などなどいろいろな切り口がありそう。ベストに入れるか迷ったが、自分の中でまだ消化できていないので見送った。節々で観直していきたい。

『プレデター:バッドランド』

IMAXで観た。主人公の名前がデクでタイミングがいい。あまりにも弱くて驚く。これなら「一族の恥」と言われても全く違和感がない。普通にウェイランドユタニ社が出てきて驚いた。後半の現地のもので武器を現地調達するくだりが過去作のオマージュで良い。「男らしさ」からおりる、というテーマもモダンで素敵。

『旅と日々』

主人公と宿の主人が魅力的なキャラクターで、旅でありつつ日々でもあるというタイトルがそのままだ。前半の劇中劇もいい。撮影と照明がとりわけ素晴らしい。

『ズートピア2』

そういう意図はないんだろうけど、どうみてもパレスチナをテーマにしているように思える。

『ペンギン・レッスン』

ペンギンかわいいだけの映画かと思っていたらめちゃくちゃ社会派で驚いてしまった。アルゼンチンのクーデターがベースにあるのはなかなかハードだし、自由をテーマにしているのが上手いなあ。最後にソフィアが解放されて帰ってくるのはご都合主義すぎるのでは?