目次
はじめに
例によってあんまり数観れてないんですが、とりあえず、今年も「話数単位で選ぶ、2024年TVアニメ10選」に参加したいと思います。
傾向としては作画重視、本編よりも幕間劇が好み。今年は観た作品全部メモ取ってたんですが、メモ程度だと厳しいな。来年はちゃんとやります。
企画の主催は「aninado」さん、レギュレーションは以下の通りです。
■「話数単位で選ぶ、2024年TVアニメ10選」ルール
・2024年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。
・集計対象は2024年中に公開されたものと致しますので、集計を希望される方は年内での公開をお願いします。
ツイッターのハッシュタグは「#TVアニメ話数10選2024」です。
『ダンジョン飯』第6話「宮廷料理/塩茹で」
全体的にクオリティが高いのでどの話にするかだいぶ迷ったのですが、作品のエッセンスが詰まったこの第6話を。
Aパート「宮廷料理」は絵画の中に入り込んで絵の中の飯を食おうする話で、ライオスのロジカルに狂った思考が堪能できる一本。「絵に描いた餅は食えないが絵の中の餅なら食える」は正直イカレてるんだけど、そう言われるとそうかもしれないな、という絶妙なライン。絵の中で作品全体における超重要人物が出てくるのもポイントが高い。
Bパートの「塩茹で」はチルチャックメインのこじんまりとした話だけど、狭い室内でのミミックとのアクションシーンが見どころ。床の近くに視点を据えた躍動感あふれるレイアウトで、さして大きくもないミミックが怪物的に表現されているのが面白い。回想シーンの「罠のこと忘れてたー!」のあたりはすごくトリガーっぽくてここも好き。エピローグで種族間の年齢差について語られるくだりもいい。
『葬送のフリーレン』#27「人間の時代」
最終回も実に良いんですが、今回は最終回一個前の27話を。原作でもそうですけど、フリーレンはこういう静かな話の方が質が際立つ気がしますね。個人的に幕間の話が好きというのもありますが、ゆったりとしたテンポがまた贅沢で素敵。
前半は試験で壊れたフェルンの杖を直すエピソード。試験に落ちたハイターの店に訪れるデンケン、フリーレンらとのやりとりが楽しい。あまり表情を見せないフェルンの芝居も良い。
後半は第三次試験で本編のはずなんだけど、ほとんど動がなく、前半と同じような静かなトーンが面白い。まあ作品全体が動よりも静というのはありますが。試験会場となる温室の背景美術も素晴らしいし、原作にはない、花を使ったゼーリエの芝居もいい。
『メタリックルージュ』第五幕「カーニバルは忘却と踊る」
押井守でいうところのダレ場みたいな話。にしては情報量が多いな…。見どころは多いんだけど、結局どんな話なの?と言われるとよくわからんな…、というあたり押井守(というより神山健治?)感が強い。
作品テーマそのままの「自由になれると自分になれる」のくだりとか人形と人間との違いとかが印象的なんだけど、このへんも押井守っぽいよなあ。人形遣い師もいかにもという感じ。
前半は幻影に囚われたルジュメインの静パート、後半はナオミと合流して脱出アクションの動というのもバランスがいい。ナオミのアクションもキレがいいし、グラディエーターのはちゃめちゃな無双っぷりも楽しい。
話はよくわかっていない。
『この素晴らしい世界に祝福を!3』#07「この成り上がり冒険者にも安息を!」
3期の序盤はいまいちピンと来てなかったんだけど、メンバーが揃う4話あたりからどんどんおもしろくなってくる。
この7話は魔王軍幹部シルヴィアを討伐した報奨金として3億エリスをゲットしたカズマ一行が放蕩生活を送る幕間劇。冒頭の高級レストランでのシェフとのやりとりの間のとり方が最高。あらくれ者がいつもの格好でチラッと映るのが破壊力高い。後半のダクネスいじりもいつものノリで楽しい。
『T・Pぼん』XV「平家の落人」
『T・Pぼん』のヒロインはリームよりユミ子さん派なんだけど、彼女が特にかわいいのでこの回を。男装して意気揚々と乗り込みつつ捕虜生活を楽しんでいたらうっかり斬首されることになってしまい命乞いを始めるというギャップがいい。調子に乗っているシーンの可愛さが最高。
命乞いシーンはリョナラーが好きそうだなと思って観ていました。原作と違って斬首なしだけど、さすがに斬首はこのテイストだと厳しいだろうしいい判断だと思います。そういった意味では一旦ガチで死ぬⅦ「暗黒の大迷宮」はインパクトが強かった。
Watch T・Pぼん | Netflix Official Site
『負けヒロインが多すぎる!』第12話「俺はひょっとして、最終話で負けヒロインの横にいるポッと出のモブキャラなのだろうか」
このシリーズも全体的にクオリティ高くてどのエピソードを選ぶか悩んだんですが、やはり最終話で。最後の八奈見さんの「そういうとこだぞ、温水くん」ですべて持っていかれますね。これまでの関係性構築の帰結としての偽装大人デートの場面がとんでもなく楽しく眼福。4人で来てるけど、どう見ても温水くん×八奈見さんのデートにしか見えなくて最高。八奈見さんといえば変顔ですが、ここでも自分の妄想の中ですら負けヒロインになって絶望するシーンが面白い。からの、観覧車でのラストシーン。ここは背景美術と光の表現も素晴らしくて見ごたえがありますね。
『ダンダダン』第07話「優しい世界へ」
これも選ぶのが難しいシリーズでしたけど、やっぱりこの話でしょうね。原作も読んでいたし、こういう鬱話、湿っぽくてあまり好きじゃないんですけど、回想シーンの演出の素晴らしさには思わず見入ってしまいました。台詞なしBGMだけで回すのもいいし、特に二人だけの誕生日会のシーンは狭い室内を舐めるように映すカメラワークが印象に残る。
『ぷにるはかわいいスライム』#7「Sweet Bitter Summer」
絵コンテ・演出:ちな、作画監督:今岡律之という、シリーズの中で明らかに演出スタイルが違うエピソード。作画はもちろん、ギャグのキレとテンポが良すぎる。
Aパートは女子がいない水着回で、パラソルまわりのホネちゃんの動きが良い。あときららジャンプ(女子抜き)。Bパートは白ワンピ少女のかわいいぷにると入道雲。ロングショットがいいし、オチが楽しい。Cパートは雲母先輩とデートネタ。喫茶店ワンシチュエーションだけど、カメラワークが面白く飽きさせない。ガラス越しのカットが良い。Dパートは夏休みの宿題ネタ。室内を広く映すカットが印象的。ちょっと『お兄ちゃんはおしまい!』の室内カットを思い出した(横手美智子先生つながりでもある)。
『ガールズバンドクライ』第10話「ワンダーフォーゲル」
最終話のあっさりした終わり方やライブメインの話もいいんだけど、最初からわだかまっていた家族との関係がすっきりする第10話で。
今までの回想シーンだと強権的な毒親を想像してたんだけど、普通に良い家族で拍子抜けした。良いシーンが多すぎるんだけど、姉の「生きていてくれてありがとう」のシーンとか、出立の時に壁越しに父と会話する場面とか、父の「行ってらっしゃい」とか、良すぎ。バンドメンバーともこんな感じで和解してくれ。そういう意味では8話も良かったんですけどねー。
あと、仁菜の家の風情の実家感とか熊本の街並みも地味に良かった。
そして、最後に「行ってきます」で小指立てるのはさすがに面白すぎる。らしいなあ。
『ONE PIECE FAN LETTER』
話数表記がないあたりとかレギュレーション的に微妙な感じはするんですが、個人的にどうしても入れたかったので。
基本的にこういうヒーローじゃない市井の人々にスポットライトを当てた作品って大好きなんですよね。海賊と海軍だけじゃない「普通の人々」も確かにあの世界に生きていて、それぞれが自らの想いを胸に日々を暮らしていることが存分に伝わってくる濃密な24分。架空の世界が、この現実と地続きのようにすら思えてくる。
主人公の少女も海軍の兄弟も名前は明かされない。しかしそんな名もなきモブたちであっても、タイミングさえ合えば世界を変えることすらできるという「物語」が語られる。このあたりは同じくジャンプ連載作品であった『僕のヒーローアカデミア』の終盤のテーマとも響き合う。これを25周年記念に持ってくるという選択にも心打たれる。
モブたちの話なのだけれど、作監の森さん林さんを始めとして原画陣も非常に豪華で、光と影のコントラストを強調した画作りも見応えたっぷり。
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