今回のアニメスタイルオールナイトは音響しばりという珍しいセレクトですね。ゲストも岩浪音響監督というレアキャラだし、新文芸坐の音響をわざわざ調整するとという凝りよう。雨すごかったんですが、客席もかなり埋まってました!

 前回の「新文芸坐×アニメスタイルセレクションVol.97 アニメファンなら観ておきたい200本 沖浦啓之と『人狼 JIN-ROH』」のレポートはこちら!

トークショー


!notice!

トークの内容につきましては、その場で速記してまとめています。事実誤認、不適当な記述などございましたらご連絡ください。対応させていただきます。

登壇者

岩浪美和音響監督(最近話題の音響監督。色々やられてるので書ききれない。以下「」)

杉山潔プロデューサー(バンダイビジュアルのプロデューサー。軍用機オタ。以下「」)

瀬下寛之監督(ポリゴン・ピクチュアズ所属。『シドニアの騎士』監督。以下「」)

塩谷直義監督(『PSYCHO-PASS』シリーズ監督。以下「」)

小黒祐一郎さん(アニメスタイル編集長、司会。以下「」))

新文芸坐・花俟さんによる前説

花 こんばんわ、新文芸坐の花俟です。アニメスタイル98回目です。皆さんのおかげで続いています。今回は音繋がりです。音繋がりの企画というのは初めてです。

岩浪さんはめちゃくちゃ早い!

岩 まさかこの雨の中、満席でありがとうございます!

小 音響好きで映画館に通ってる方ー?(結構手が挙がる)3分の一くらいいる!

岩 超豪華なゲストですけど、このあたりはちょくちょく飲んでるんですよね。監督ばかりの飲み会ってのが結構ある。

瀬 80年台の文芸坐1には週一くらいで来てましたね。

岩 僕も100回以上来てますね。

瀬 文芸坐にはお世話になってます。非常にバラエティ富んだラインナップですよね。

岩 ゴダールを観て寝るとかやってました(笑)

塩 そろそろ作品の話したほうがいいんじゃないですか?(笑)

小 今日の音響の特徴は?

岩 おとなしい音響なんですけど、今日はだいぶ暴れてもらいました(会場笑) 大きいところでは今日は全部6.1chです。役人の声が後ろから聞こえてくる(会場笑)普段の文芸座の音とはちょっと違います。

小 前回の「シドニア」と全然音が違いますね。

岩 壊れなければいいな…。多分大丈夫です。

小 杉山さんから観た岩浪さんってどんな人ですか?

杉 おかしい人ですね…。今年の春に大洗の公民館で上映会あったんですけど、5,000人向けの機材持っていってやるという頭のおかしい企画を…(会場笑)なんとか完売してペイしましたけど。

小 瀬下さんからみるとどんな人でしょう。

瀬 「シドニア」から入ったんですけど、岩浪さんのおかげで異業種から来ても2すっと入ってこられました。5年間、色々なアニメを作らせてもらって、わかったのは、早いですね。岩浪さんは。理路整然と迷いなくトントンと進んでいく、気持ちいい仕事ですね。あとは一緒に飲んでいて楽しい

小 神速だそうですよ。

岩 スタッフがいいですからね。他の現場の半分くらいですね。我々の場合は最終形を提示するかたちなので早いんです。

杉 ガルパン劇場版の時は絶対できないと思ってました。時間的に。

岩 ダビングが公開の一週間前…。

小 塩谷さんからみた姿は…。

塩 岩浪さんが作るものが好きなので…。

岩 やめろよぉ(会場笑)

塩 でもほんとですよ。岩浪さんチームでってリクエストしてます。仕事してる時の岩波さんの背中がカッコイイんですよ。

杉 すごいと思ったのは音に対する情熱ですね。日本全国どこでも行く。それで音が映像作品に占める割合が多いことに気付いた人も多い。

岩 今日やるやつ、全部2015年なんですよね。同じ年に3本もやってた。TV版も2本やってる。

瀬 「シドニア」の時に岩浪さんが「大谷くん、そんなに地球救わなくていいから」って聞いて、あー、こうやって指示すれば良いんだって。

岩 劇場アニメに対するスタンスって「サイコパス」で確立した感じがあるんですよね。そのあとで「シドニア」と「ガルパン」があって。

瀬 ここのスピーカー、文芸作品観るようなしっとりしたスピーカーですよ(笑)
「ガルパン」観た時に「あ、これシドニアなんか目じゃねえや」って思いましたね。CGアニメからすると修行みたいなアニメですよ。

岩 手描きアニメだと鬼門ですよね。

瀬 キャタピラ大変なんですよ!それがキャタピラだらけで。キャタピラのたわみもやってるっぽいですよね。やってるんですかあれ。

杉 それやってます(笑)

岩 音つける時に、戦車だけでわかってもらえるか不安でした。やる前にはかなりブルーになりましたね。

(CGとセルアニメの話でめちゃ面白かったんだけど、メモできず…)

岩 実写とアニメで音作りの違う点って、実写の場合は観ればわかるけど、アニメーションの場合は強調してあげなきゃいけない。

杉 ダビングとラッシュで音がついているものとないものだと全然違いますよね。

『劇場版PSYCHO-PASS』は『地獄の黙示録』だ!

小 「サイコパス」の方、今日初めて見る人にここに注目してほしいところがありましたら。

岩 「サイコパス」はドミネーターサウンドだ!と思ったんですけど、よく考えたら一発しか撃ってねえ(会場笑)

塩 本広さん3はとにかく火力だって言ってました(会場笑)劇場版に関しては、冒頭にバーンと爆発させてくれとだけ言われました。

岩 『地獄の黙示録』4ですね。

瀬 あー、あれは『地獄の黙示録』かあ…。

小 それぞれ今後のお仕事について…。

杉 新作を作らさせていただきまして、全6話5

岩 大丈夫かなあ…。

杉 あと、12月に池袋でガルパン原画展やります。

小 TVシリーズとアンツィオ戦の総集編があるんですよね?

杉 作りました。

岩 別もんです!

小 5.1chになるんですね。

岩 音は劇場です。5年も経ったのに総集編作ったのは初めてですよ!

瀬 「GODZILLA」6を3部作で作っておりまして、17日に第一章が公開されます。映像も良いんですけど、ストーリー面白いです!是非劇場でご覧ください。

小 塩谷さんは次回作のタイトルはまだ言えない…?

塩 まあおいおい…。常識を超えて勝負に出てみようかなというものを作っております。

岩 もうじき言えるんでしょ?このプロジェクト聞いた時に「バカじゃないの??」って思った(会場笑)

岩 素晴らしいクリエイターの皆さんとご一緒させて頂く機会がありますし、いろいろな作品やってますし、発表になってないけど、来年も劇場作品何本かやってますので、よろしくお願いします。今日は実は『BLAME!』7もやりたかったんですけど、タッチの差で間に合わなくて。いつかやりたいですね。

小 あれは劇場で聞きたいですね。

岩 よければまた次の機会も作っていただいて…その時はまたみなさん来ていただけますか?(拍手)

上映作品

[cf_cinema post_id=3740 format=3 text=” 久々に観ましたけど、やっぱめちゃくちゃ面白いですよね。この密度で2時間ぽっきりなのもすごいなー。で、ほんとに役人の声が後ろから聞こえてきたっ!笑 初っ端の練習試合の砲撃の音も圧倒されるんですけど、キャタピラの音がなんか印象的。軋む音とか聞こえるの。センシャラウンド体感してないから、どんな違いがあるかわからなかったんですけど(そもそも耳がバカ)、確かにロードショーで観たときはひと味違ってましたね。あ、あと後半に出てくる観覧車先輩がなぜかいい音でした笑 “]

[cf_cinema post_id=8040 format=3 text=” これも初回はロードショーの時に観たっきりですね。言われてみると、たしかにアバンタイトルの場面、『地獄の黙示録』やっ!1回目観たときはなんか内容というかストーリーがピンとこなかったんですが、2回目だと楽しく観れました。やっぱり映画は2回観ないとね。音響について言うと、後半の格闘戦の打撃音の重い感じ、スッキリ大虐殺シーンの銃撃音が良かったです。あとで「ドミネーターサウンドのガイド音声が装備者目線!」というツイートを見かけて、なるほど確かに!と膝を打ちました。”]

[cf_cinema post_id=3787 format=3 text=” シドニアと言えばメインエンジンが動く時の重低音ですけど、さらに重々しいかんじになっていた…!でもそれ以上に、衛人での戦闘時の音響がはっきりくっきりなってたのが印象的。「単に大きな音じゃない」ってのが良かったですね。岩浪監督、『BLAME!』もやりたいと仰ってましたけど、たしかにチューニングされたものを新文芸坐の大画面で観てみたい!”]

写真など

まとめ

 新文芸坐、もともと音大きめだし(下がパチンコ屋だからかな…)、音響設備いいとは思ってたんですが、さすがに今回は一味違ってましたね…。贅沢なことを言うと、全くチューニングしていないバージョンと聴き比べしてみたい…!またこういう企画ぜひやってほしいですねー。


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関連リンク

■新文芸坐 http://www.shin-bungeiza.com/

■Webアニメスタイル http://animestyle.jp/

NOTES

  1. 新文芸坐の前身の文芸坐は1956年から1997年まで存在。
  2. 瀬下監督、たしかゲーム業界出身だった気がする…。
  3. 総監督の本広さん。
  4. 『地獄の黙示録』(1979年、監督:フランシス・フォード・コッポラ)。名作です!
  5. 『ガールズ&パンツァー 最終章』
  6. 第一章は『GODZILLA 怪獣惑星』。監督は 静野孔文さんと瀬下寛之さん。脚本は虚淵玄先生。制作:ポリゴン・ピクチュアズ。
  7. 『BLAME!』(2017年、監督: 静野孔文、瀬下寛之)。これも岩浪さんが音響監督。面白かったです。