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ベルリンの面倒くさい人々
【映画レビュー】『コーヒーをめぐる冒険』

      2016/02/16

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「人生は、時にはコーヒー一杯の暖かさの問題なのだ」と言ったのはアメリカの詩人リチャード・ブローティガンだったけれど、この映画はそんなコーヒーと人生をめぐる物語。

一言で言ってしまえば、間の悪い青年の一日を描いただけの作品なのだけれど、これが素晴らしく心地良い映画に仕立て上げられている。何が良いかとは一概には言えなくて、例えばザ・メジャーマイナーズとシャーリン・マクニールによる軽快なジャズサウンドも抜群に印象深いし、アザナヴィシウス監督の『アーティスト』を彷彿とさせるかのような、あえてモノクロを選んだ監督のセンスの良さも素晴らしい。

とは言え、やはりこの作品の最大の魅力は主人公ニコ(トム・シリング)が1日の間で出会う様々な人々のキャラクターの深さだろう。運転免許証再発行テストの面接官として現れる気むずかしい中年心理学者(アンドレアス・シュレーダース)から始まり、アパートの上階の住人カール(ユストゥス・フォン・ドホナーニ)、かつての同級生ユリカ(フリデリーケ・ケンプター)…etc。。彼らは「決して悪い人間ではないけれど面倒くさい人々」というキャラクターで、だから彼らとニコとの関わり方が面白くもあるし、傍から見ていてもうっとおしくもある。

物語中のニコはコーヒーを求めて街をさすらう…というわけではなく、行く先々でコーヒーを飲もうとするのだけれど、タイミングがずれていてどうしても飲むことが出来ない。小銭が足りなかったり、自販機が故障中だったり…。この間の悪さと彼の出会う面倒くさい人々との間のディスコミュニケーションにはどことなく合い通じるものを感じてしまう。

もう一つ、この映画はベルリンの街を舞台にした映画でもあって、ちょっとした紀行ものの気分を楽しむことができるのもの魅力の一つ。ベルリンの街と人とをめぐる長い一日の物語。果たして、ニコはコーヒーを飲むことができるのか。ぜひコーヒーを片手に楽しんで欲しい映画である。

予告編

基本情報

コーヒをめぐる冒険  Oh Boy85 min

監督:ヤン・オーレ・ゲルスター

音楽:ザ・メジャー・マイナーズ/シェリリン・マクニール

脚本:ヤン・オーレ・ゲルスター

撮影:フィリップ・キルサメル

出演:トム・シリング/マルク・ホーゼマン/フリデリーケ・ケンプター/ユストゥス・フォン・ドーナニー/ウルリッヒ・ノエテン/ミヒャエル・グビスデク

 - 2014年新作映画レビュー