2015-01-24_animestyle

 さて、2015年最初のアニメスタイルオールナイトは「スクリーンで観たい劇場アニメ」ということで去年公開された劇場アニメのセレクションです。今回のラインナップの中では『ガールズ&パンツァー』しか見ていないんですよね。特に後半の2作品(星矢とジョバンニ)は全くノーチェックでした。自分では見ないであろう作品もまとめて見れるのもオールナイトの醍醐味ですね!ちなみに、昨年の同時期(3月)に行われた「スクリーンで観たい劇場アニメ」オールナイトのラインナップは『サカサマのパテマ』『劇場版 花咲くいろは HOME SWEET HOME』『ハル』『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』の4本でした。

「佐藤竜雄に訊く、劇場版モーレツ宇宙海賊」@新文芸坐

 今回のトークゲストは佐藤竜雄監督!個人的な話ですけど、この前、阿佐ヶ谷ロフトでやってた「佐藤竜雄に訊く、劇場版モーレツ宇宙海賊R」でも同じテーマでトークを聞いてたんですけど、重なる部分の方が少なかったですね。色々と制作の裏話を聞けるのは楽しいです。

 話があっちにいったりこっちにいったりしたもので、半分もメモできてませんけど参考までにどうぞ。実際のトークはここに書いた10倍くらい濃さでした…!

 

トークの内容につきましては、その場で速記してまとめています。事実誤認、不適当な記述などございましたらご連絡ください。対応させていただきます。

出席者

佐藤竜雄監督(代表作は『機動戦艦ナデシコ』、『学園戦記ムリョウ』、『宇宙のステルヴィア』など。以下「」)

小黒祐一郎さん(アニメスタイル編集長、通称「アニメ様」、司会。以下「」))

新文芸坐 花俟さんによる前説

花 今日は昨年上映された秀作を見てみようというオールナイトでございます。実はアニメというのは映画館で上映するのに大変苦労がありまして、この4本が揃うというのはなかなか無い機会ですので、みなさん、最後まで寝ないで頑張って観てください。

はじめに

佐 結構お客さん入ってますね。

小 え、そうですか。今回はこんなに見応えがある4本立てなのに空席が目立ちますね。正月だからですかね。

佐 (今日上映する作品は)全部90分ですよね。

小 (『モーパイ』の時は)その辺は意識されたんですか?

佐 90分がちょうどいいですね。東映の時代劇フォーマットを意識しまして。「東映まんがまつり」のイメージですね。ひとりまんがまつり。

小 これは密度の濃さから逆算して90分なんですか?

佐 宇宙を舞台にしてるんだけど、少年の心のもっていきかたということと、テレビからの延長ということを考えると、オールスターで90分以上やっちゃうとだらけちゃう。

小 『ナデシコ』の劇場版も90分くらいですよね。あれももう10分欲しいとかなかったんですか?

佐 それはありましたね。最初は60分だったんですけど、なんとか90分まで伸ばしました。併映がスレイヤーズだったし、2本で180分はつらいですね。劇場での回転率を考えると…。

TVシリーズについて

小 そもそものTVシリーズをやることになったきっかけというのは?

佐 TVシリーズ終了と同時にサンキョーさんでパチンコ展開するという事情があって、それにかこつけてスペオペをやろうと(笑)

小 ミニスカからモーレツになったのは?

佐 ミニスカはミニスカポリスがあったので知名度もあるしということで、(キングレコードの)大月さんがサンキョーさんにもってたら「もっと真面目にやってください!」と怒られたんですよね。

小 で、モーレツになったと。

佐 大月さんと相談したら「ミニスカを超えるのはモーレツしかない!」ということで…。

劇場版の位置づけについて

佐 今回の劇場版は今自分ができることの総点検というかたちですね。総決算的な。作り方は毎回少しずつ変わってるんです。

小 でも、カットとかはあまり変わってないですよね。

佐 黒コマとかは『ちびまる子ちゃん』 1 からやってますね。あの時はパキッとしたイメージを出すために3コマ入れてたんですけど、今は自分がやらなくても周りがやっちゃうんですよね。

小 総決算的なところとはどういったところなんでしょうか?

佐 お祭り的なところですね。一人から始まってみんなが集まってくるという。東映時代劇、中でも沢島忠監督 2 の「一心太助」シリーズ 3 、『暴れん坊兄弟』 4 とかが好きなんですけど、そういう時代劇的な映画のリズムを取り入れたかったというのがあります。

メカニック描写について

小 CGによる宇宙船描写という点では劇場版にあたってもっと出来るという目算があったんですか?

佐 宇宙船とは言いつつも動きの基本は戦闘機よりなんで、それをもっと潜水艦ぽくできないか、ということで今回の劇場版があります。

小 ワンカットワンカットの尺も長いですよね。

佐 テレビはカツカツですからね。弁天丸のパーツを他の船に使いまわしたり、いろいろ工夫してます。その点、劇場版はいろいろ怪しいメカがでますね。

小 ちょっとネタバレですけど、ロボットはかなりロボットでしたよね。アクエリオンぽい。

佐 潜水服だけどね(笑) あきまんさんと話してる時に、「少年は自分で未来をつかむ!」「腕がないとだめですよ!」ということで…。

小 今回はかなりジュブナイル色が強いですよね。

佐 海賊だし、宝島だよね。

小 出崎監督の『宝島』 5 は意識されました?

佐 意識してますね。出崎さんの場合はジムとシルバー船長が軸ですけど、「モーパイ」の場合は少年から観た少女のお話になってます。

質問コーナー

Q NHKと民法での違いはありましたか?

佐 特に無いですね。NHKの方が無茶だった気がしますね。「思想的に問題がなければいいですよ」っていうね。「イサミ」でも入浴シーンとかあったんですけど、「胸が大きい人だったらこういう描写になるのはしょうがないですよね」とかね。

Q 次回作は?

佐 これまで突っ走り過ぎだったので、今は休憩中です。

小 4、5年ぶりに休みって聞きましたよ。体作るんですよね?

佐 こないだ、ブルガリアンサンドバッグ買いました!

小 佐藤監督はアニメ業界きっての武闘派ですからね。

Q またオリジナルアニメを作る予定は?

佐 作りたいですけど、チームで作るものと自分で仕込むものはまた別じゃないですか。「ステルヴィア」やって、「ムリョウ」やって引き出しがカラになった感じですね。

Q 佐藤監督作品でもう一回見て欲しい作品はなんですか?

小 『リカちゃんとヤマネコ 星の旅』 6 ですね。みんな見てるよね?

佐 数回しか上映されてないよね…。

小 佐藤監督的にはなんですか?

佐 『ねこぢる草』 7 ですね。あと、『シゴフミ』 8 も光と影を絵的なテーマにした作品です。

小 ファンの方は「イサミ」って言って欲しかったのでは…。

佐 それは当然ですからね。

小 もう一回、『赤ずきんチャチャ』 9 でイベントとかやりたいですね。オフィシャルなものは一回もやってないですよね。

佐 各話スタッフが好き放題やってたんで各話スタッフには取材させない、という方針がありまして…(笑)



今年も個性豊かな劇場映画4本立て!

[cf_cinema post_id=1995 format=3] [cf_cinema post_id=1486 format=3 text=” 2回目の鑑賞だったけれど、それでも面白い。特にどんでん返しがあるわけでもなく、純粋に戦車アクションとキャラの可愛さを堪能する映画ですね。昨年の5月に行われた「池袋シネマチ祭」での「砲撃体感」でのトークショーで「CV-33(カルロベローチェ)が世界で一番活躍するアニメ」と銘打たれていたのだけど、そりゃあ他には無いよなあ。カルロベローチェは劇中、とんでもない機動力ですからね。アニメ的魔術があるとはいえ、豪快にコロコロ転がるし。乾燥重量で3トンくらいあるはずなので、女子2人で起こすことができるかは疑問ですが(笑) でも軽さがうまく表現されているし、ドンドン湧いてくる感じが楽しいので良し!
 ハイライトとしてはⅢ突(カエサル)対セモベンテ(カルパッチョ)の対決なんですけど、ここがとても良かった!どちらの戦車も砲塔が無い対戦車自走砲なので、機動力と装填速度勝負なんですね。こないだ観た『フューリー』(デビッド・エアー監督)でM4がタイガーの背面を狙っていくジリジリとした緊迫感とは対照的に、侍の鍔迫り合いを思わせる激しい動きが楽しいです。
 あと、イタリアらしくごはんが美味しそうだったのが印象的。”] [cf_cinema post_id=2015 format=3] [cf_cinema post_id=2017 format=3]

写真など


まとめ

 今回もアニメスタイルらしいセレクションの4本立てでした!特にジョバンニの島は全くノーチェックだったのもあっていい拾い物でしたね―。昨年上映された中からメジャーなもの2本と比較的人目に触れなかった隠れた傑作2本という取り合わせも絶妙です。来年の「スクリーンで観たい劇場アニメ」特集も楽しみです!

 次回のアニメスタイルオールナイトは2015年2月28日(土)、待望の「押井守映画祭2015 第二夜「Ghost in the Shell」編」です。チケット即日完売でしたね。なんとか朝イチに新文芸坐まで行ってゲットしましたので次回も参加予定です!

 なお、次回の新文芸坐オールナイトの参加予定は2015年1月31日(土)の「海の暴れん坊ナイト」です。


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NOTES

  1. 第1期(1990年)。佐藤監督の初演出作品。
  2. 沢島忠(さわしまただし)[1926年5月19日-]。東映京都撮影所で時代劇、仁侠映画などを手がける。美空ひばりの映画を多く手がけたことでも有名。現在は舞台監督として活躍中。代表作は「人生劇場」シリーズ、「ひばり捕物帳」シリーズなど。
  3. 沢島監督が手がけた「一心太助」は『江戸の名物男 一心太助』(1958年)、『一心太助 天下の一大事』(1958年)、『一心太助 男の中の男一匹』(1959年)、『家光と彦左と一心太助』(1961年)、『サラリーマン一心太助』(1962年)、『一心太助 男一匹道中記』(1963年)の6本。
  4. 1960年。沢島忠監督、出演:東千代之介、中村賀津雄、初代中村錦之助
  5. 1978年、全26話。出崎統監督、音楽:羽田健太郎、作画監督:杉野昭夫、美術監督:小林七郎、原画:中村隆太郎・大橋学 ほか。制作:東京ムービー新社。
  6. 1994年。リカちゃんOVAシリーズの劇場用オリジナル。諸々あってお蔵入り。予告編も何もありませんが、こちらのサイトにレビューがありました。→「映画レビュー:リカちゃんとヤマネコ 星の旅」(儘にならぬは浮世の謀り)
  7. 2001年。OVA。佐藤竜雄監督、作画監督・絵コンテ:湯浅政明、制作:J.C.STAFF。この前のアニメスタイルオールナイトの湯浅監督特集で見ましたが頭がおかしくなる感じの傑作!
  8. 2008年。佐藤竜雄監督、副監督:桜美かつみ。全部見てないけど、絵の雰囲気良かったなあ。
  9. 1994年。辻初樹監督、制作:スタジオぎゃろっぷ。原作にはない変身要素などを大胆に取り入れたことで有名な作品。香取慎吾も出てる。